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ここでは例として[[エネルギー固有状態]]に[[摂動]]が加わったときの遷移確率について考える。[[ハミルトニアン]]の[[固有ベクトル]]([[固有関数]])であるエネルギー固有状態は定常状態であり、系の外部からの[[摂動]]が無ければ系は定常状態にとどまっている。外部からの摂動が加わると、系は新たなハミルトニアンの固有状態になっていないときは[[シュレディンガー方程式]]に従って時間変化し、他の定常状態に遷移する。始状態<math>|i\rangle</math>に摂動が加わってからt秒後の状態を<math>|t\rangle</math>とすると、状態<math>|i\rangle</math>から別の定常状態<math>|f\rangle</math>への'''遷移確率'''は<math>|\langle f|t\rangle|^2</math>で定義される。
 
たとえば摂動が加わってt秒後の系<math>|t\rangle</math>において、摂動を取り除き、間髪入れずにエネルギーの測定をしたとする。このときエネルギーの測定は摂動が加わってない状態で行われている。よってエネルギーの測定値が<math>E_i</math>がである確率は[[ボルンの規則]]より、摂動が無いときのハミルトニアンの<math>E_i</math>に対応する固有ベクトル<math>|E_i\rangle</math>を用いて<math>|\langle E_i|t\rangle|^2</math>と表せる。よってこのとき遷移確率が100%であるということは、最初<math>|i\rangle</math>だった系が、摂動によってt秒後には測定値が必ず100%の確率で<math>E_i</math>であが得られる状態<math>|E_i\rangle</math>に行き着いており、他の状態は[[重ね合わせ]]られていないことを意味する。
 
摂動が加わって十分に時間がたつと、遷移確率は時間tに比例することが多いため、単位時間当たりの遷移確率<math>\lim_{t \to \infty}\frac{d}{dt}|\langle f|t\rangle|^2</math>がよく用いられる。時間依存を考慮した[[散乱理論]]によると、摂動<math>\hat{H}'</math>が与えられて十分に時間が経過したときの単位時間あたりの遷移確率<math>W_{i \rightarrow f}</math>は以下のように表される。