「パワーテイクオフ」の版間の差分

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[[File:Zapfwelle eines Traktors - power take-off of a tractor.jpg|thumb|農業用トラクタのPTO軸]]
[[File:A Tractor's rear.jpg|thumb|PTO軸は左右のタイヤに挟まれた中央下部に配置される]]
'''パワー・テイク・オフ'''(英: '''Power take-off''' ) は、車両駆動用の[[エンジン]]動力を作業機の駆動のために取り出す機構のこと。'''動力取り出し'''あるいは単に '''PTO''' とも呼ばれる。
[[耕耘機]]、[[農耕]]用[[トラクター]]、[[ダンプカー]]、消防車のような[[ポンプ]]カーなどに使われ、用途に応じてエンジン回転数に比例するものと、比例しないものとがある。ただし[[空調]]用[[コンプレッサー]]や[[オルタネーター]]のように[[ベルト (機械)|ベルト]]駆動のものはPTOとは呼ばない。
 
== 危険性 ==
[[画像:TractorPTOshaftMay04.jpg|thumb|黄色い樹脂製の防護カバーに覆われたPTOシャフト]]
PTO軸とそれに接続されるPTOシャフト([[自在継手|ユニバーサルジョイント]])は、農業はじめとする産業界に共通する危険要因である。米国安全性評議会([[:en:National Safety council|NSC]])によると、1997年に米国での[[トラクター]]による死者のうち、6%がPTOにかかわる原因であった。衣服のほんの小さな一片でも回転部に接触すると簡単に巻き込まれてしまう。衣服が巻き込まれることによって、手や足の切断、或いは死亡事故に至る。
 
2009年4月13日、元メジャーリーガーの[[マーク・フィドリッチ]]は、自宅の農場で作業中、PTOによる事故で死亡した。友人が彼を発見したとき、彼は大型ダンプトラックの下で作業をしており、「彼は稼働中のトラックのPTOシャフトに衣服が巻き込まれた。」と弁護士が声明を出している。
 
いくつかの作業機は、作業者がPTOシャフトに巻き込まれるのを防止するため、樹脂製の防護カバーを備えているが、PTOシャフトをトラクタやトラックに装着する時に注意する点がある。いくつかの国では、シャフトの防護カバーが無い状態で使用するのが違法だからである。防護カバーはベアリング、あるいはスリーブを介してPTOシャフト全体を覆っており、チェーンによって固定され作業者がPTOシャフトに巻き込まれる事故を防止している。
 
== 歴史 ==
実験的なパワーテイクオフ装置は1878年にはすでに試みられていたが、[[ケースIH|インターナショナル・ハーベスターカンパニー]](以下、IHC)は1918年に最初のPTOを装備したトラクタを製作した。1920年、IHCは自社の15から30馬力のトラクタにPTOの装備をオプション設定し、ネブラスカトラクター試験所(Nebraska Tractor Test Laboratory)に送られた最初のPTOを装備したトラクタとなった。
 
最初のPTO標準規格は1927年4月に米国農業工業会([[:en:American Society of Agricultural and Biological Engineers| ASAE]])により採用された。PTOの回転数は536±10rpmとして指定され、回転方向は(トラクタ後方から見て)時計回りと定められ、後に回転数は540rpmに改められた。
 
1945年、[[カナダ]]の[[オンタリオ州]][[ブラントフォード]]のCockshutt Farm Equipment社は、ライブPTOを装備したCockshutt Model 30を発表した。ライブPTOはトラクタの走行とは独立してPTOの回転を制御することが出来た。これは、作業機をPTOによって駆動しながらでも、低速で走行したり停車したり出来る利点があった。近代的なトラクターでは、ライブPTOは押しボタンスイッチや切り替えスイッチで制御され、作業者をPTOシャフトから遠ざけることによって安全性を高めている。
 
== 技術的標準化 ==
[[File:A Tractor's rear.jpg|thumb|PTO軸は左右のタイヤに挟まれた中央下部に配置される]]
農業用トラクタのPTOは寸法と回転数が標準化されている。PTOのISO規格はISO 500で定められており、2004年の改訂でISO 500-1(一般仕様、安全要求事項、防護カバーの寸法等)、ISO 500-2(小型トラクタでの防護カバーの寸法等)、ISO 500-3(主なPTO寸法とスプラインの寸法、PTO軸の位置関係等)の3つに分割された。
 
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:[[いすゞ・エルフ]]のハイブリッド車ではエンジンアシストとエネルギー吸収を行う電動機/発電機をPTOでリンクしている。
;マスト車(飛行船係留車)
 
== 危険性 ==
[[画像:TractorPTOshaftMay04.jpg|thumb|黄色い樹脂製の防護カバーに覆われたPTOシャフト]]
PTO軸とそれに接続されるPTOシャフト([[自在継手|ユニバーサルジョイント]])は、農業はじめとする産業界に共通する危険要因である。米国安全性評議会([[:en:National Safety council| NSC]])によると、1997年に米国での[[トラクター]]による死者のうち、6%がPTOにかかわる原因であった。衣服のほんの小さな一片でも回転部に接触すると簡単に巻き込まれてしまう。衣服が巻き込まれることによって、手や足の切断、或いは死亡事故に至る。
 
2009年4月13日、元メジャーリーガーの[[マーク・フィドリッチ]]は、自宅の農場で作業中、PTOによる事故で死亡した。友人が彼を発見したとき、彼は大型ダンプトラックの下で作業をしており、「彼は稼働中のトラックのPTOシャフトに衣服が巻き込まれた。」と弁護士が声明を出している。
 
いくつかの作業機は、作業者がPTOシャフトに巻き込まれるのを防止するため、樹脂製の防護カバーを備えているが、PTOシャフトをトラクタやトラックに装着する時に注意する点がある。いくつかの国では、シャフトの防護カバーが無い状態で使用するのが違法だからである。防護カバーはベアリング、あるいはスリーブを介してPTOシャフト全体を覆っており、チェーンによって固定され作業者がPTOシャフトに巻き込まれる事故を防止している。
 
== 関連項目 ==