「ロックフォール (チーズ)」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
24行目:
[[フランス]]南部[[ミディ=ピレネー地域圏]][[アヴェロン県]]の[[ロックフォール=シュル=スールゾン]]村の地下に広がる[[洞窟]]に、[[コムギ]]と[[オオムギ]]の粉で作った[[パン]]を設置して採取、繁殖させたアオカビの一種 ''Penicillium roqueforti'' により熟成させた[[ヒツジ]]の乳によるチーズ。
 
伝説的には数千年前、この村内の[[#コンバルー山|コンバルー山]]北側斜面に形成された巨大な洞窟で、羊飼いがたまたま置き忘れたチーズに青カビ菌が付着してこのチーズが出来たとも言われるが、確かなところはわからない。現在もこの洞窟で採取されたアオカビを使い、またこの洞窟を利用した熟成庫で熟成させたものでないと、ロックフォールとして販売出来ない[[アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ]](AOC、原産地統制呼称)指定を受けている。
 
== 製法 ==
原料乳は[[羊乳]]である。古くは[[牛乳]]や[[山羊乳]]を多少混ぜることもあったが、[[1925年]]の法令で禁じられた。原料乳を[[搾乳]]する羊の[[品種]]はラコーヌ種、マネッシュ種、バスコ・ベルネーズ種が使われており、ラコーヌ種の割合が30%ともっとも多い。羊の飼料は草を主に与え、穀類などの配合飼料はあくまでも補助程度にとどめることになっている。
 
熟成に用いるアオカビ ''P. roqueforti'' は、先述のようにコンバルー山北側の石灰岩質の断崖が崩落して形成された斜面内部の洞窟で採取する。空気の流通のよい場所を選び、[[オオムギ]][[コムギ]]で作った10kgの大きさの丸パンを1-2ヶ月放置する。[[カビ]]が内部にまで十分繁殖したところでパンの皮を除き、カビの[[分生子|胞子]]を含んだ内部から良質の部分を選抜し、乾燥して緑色の粉を得る。収率は重量比でもとのパンの1%程度である。なお、近年では人工培養した菌が用いられることもある。
 
原料乳を温めて、乳酸菌のスターターを加える。これに凝乳酵素を加えて[[カード_(食品)|カード]]を得るが、酵素を加えるのは搾乳後48時間以内と定められている。得られた[[カード (食品)|凝乳]](カード)は切断して自然に[[清]](ホエー)を排出させる。このカードを過熱したり圧搾したりせずに加塩して型に入れる。このあとのホエー排出も圧搾せずに自重で自然に行い、カード片の間の隙間を温存させてチーズ内部のアオカビ繁殖面とする。
 
アオカビの接種は、原料乳を温めた段階で混入するものと、カードを型に移す段階でまぶすものがある。カードにまぶす場合も、胞子を含んだ粉を直接振り掛ける場合と、液状にして表面にかける場合がメーカーによって分かれるようである。