「枯草菌」の版間の差分

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==分布と特徴==
土壌中や植物体に普遍的に存在する。空気中に飛散している[[常在菌|常在細菌]]([[空中雑菌]])の一つである。
 
0.7-0.8 × 2-3 µmの大きさの[[好気性生物|好気性]]の[[グラム陽性]][[桿菌]]である。中温性で、[[芽胞]]を形成す最適生育温度は25-35℃である。
 
[[芽胞]]を形成する。この形態となったとき、様々な[[環境ストレス]]や飢餓に対して耐久性を有する。その他の耐久機構として、外部DNAを取り込み自己ゲノムと[[相同組換え]]することによって[[形質転換]]する能力(自然形質転換能natural competence)を持つ。これらの耐久機構の発現には長い時間を要する。枯草菌は素早く適時に環境ストレスに対応するため、[[シグマ因子]]などの環境ストレス応答機構を有する。この応答機構により熱、酸、塩基、[[エタノール]]、および[[グルコース]]や[[リン酸]]の飢餓に耐性を示す<ref name=BandowBrotz2002>{{cite journal |author=Bandow, J.E., H. Brötz, M. Hecker. |title=''Bacillus subtilis'' Tolerance of Moderate Concentrations of Rifampin Involves the sigma(B)-dependent General and Multiple Stress Response. |journal=Journal of Bacteriology. |year=2002 January; |volume=184|issue=2| pages=459-467. |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11751823 |pmid=11751823 |pmc=139561 }}</ref>。
[[芽胞]]を作ることによって熱や消毒薬などに対する耐久性を示すため、[[培地]]や食品の汚染([[コンタミネーション]])の原因になることがあるため、培養には細心の注意が必要となる。ヒトに対する病原性を持たないため医学上問題視されることは少ないと考えられているが、菌血症、心内膜炎、呼吸器感染症、食中毒、眼感染症をごく稀に引き起こす<ref>[http://bac.hs.med.kyoto-u.ac.jp/ Pathogenic Bacteria Database]</ref>。
 
[[芽胞]]を作ることによって熱や消毒薬などに対するしても耐久性を示す。このため、一般的な消毒手法でも除去しきれないことがあり、[[培地]]や食品の汚染([[コンタミネーション]])の原因になることがあるため、培養には細心の注意が必要となる。ヒトに対する病原性を持たないため医学上問題視されることは少ないと考えられているが、菌血症、心内膜炎、呼吸器感染症、食中毒、眼感染症をごく稀に引き起こす<ref>[http://bac.hs.med.kyoto-u.ac.jp/ Pathogenic Bacteria Database]</ref>。
 
[[藁]]などの枯れた草(特に[[イネ科]][[草本]]の枯死した茎葉が多く用いられる)を水に浸けて煮沸すると、ほとんどの微生物はその熱によって死滅するが、枯草菌の芽胞は高い耐熱性を持つため生き残る。その後、[[浸出液]]を放置すると芽胞が発芽して、枯草菌が[[優占]]して繁殖する。枯草菌は[[好気性生物|好気性]]であるため浸出液の液面で増殖し、また菌膜(バイオフィルム)を産生して液面を覆うことが多い。この現象は、[[ルイ・パスツール]]が白鳥の首フラスコによる実験で微生物の[[自然発生説]]を否定した後、[[ジョン・ティンダル]]によってその例外的な現象として発見された。