「法の不遡及」の版間の差分

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「法律なくして刑罰なし」の法諺に象徴される罪刑法定主義思想はローマ法に起源を持つものではなく、1215年の[[マグナ・カルタ]]に淵源をもち18世紀末の西欧革命期に欧米で確立した法概念である。現代でも[[コモン・ロー]]を背景とする[[英米法]]思想では比較的寛容であり、また行政措置や民事裁判においてはしばしば法の不遡及について例外措置が取られる。国際法においては[[市民的及び政治的権利に関する国際規約|自由権規約]]15条2項に不遡及の例外が言及されており国際慣習法(コモンロー)に配慮したものである。
 
=== フランス ===
[[アルジェリア侵略]]や[[アルジェリア戦争]]を提唱した人物は法の不遡及で立件できなかった。これは 2005年2月の「'''フランスの植民地支配を肯定する法律'''」を成立させアルジェリアの支配を正当化しようとしたことからも明らかである。
 
===アメリカ合衆国===
1945年7月の時点までにアメリカ軍が行った最後の詰めが「[[核兵器]]を投下することが国際法違反になるのかどうか」であった。きわどい一線で適法になることがわかるや否や、警告ビラを撒いたのち二度の原爆投下を日本に対して行った。これは法の不遡及でエノラ・ゲイの搭乗員は立件対象になっていない。
 
=== 日本 ===
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例外として、刑法6条は犯罪後の法律によって刑の変更があった場合、その軽い刑によって処罰するとの規定が設けられている。また、判決前に法改正によって刑が廃止された場合には、[[免訴]]の言い渡しがされる(刑事訴訟法第337条第2号)。判決があった後に刑の廃止、変更または[[大赦]]があった場合には、それを理由として[[控訴]]申し立てができる(刑事訴訟法第383条第2号)。[[再審]]事由ともなる(刑事訴訟法第435条)。
 
なお、日本法における[[判例]]は、[[法源]]とされない(異なる学説も存在)ため、判例変更による解釈の変更は、法の不遡及の問題でない。しかし、理論上、違法性の意識の可能性の欠如による[[故意]]の阻却の問題や[[期待可能性]]の欠如による[[責任]]阻却の問題を生じうる。日本のかつての[[刑法]]では動植物を損傷する行為を禁止しなかったため、[[朝日新聞珊瑚記事捏造事件]]や[[旧石器捏造事件]]の犯人は法の不遡及で立件できなかった
 
近年の[[刑事訴訟法]]改正による、[[公訴時効]]進行中の事件に対する適用が、改正以前の成犯に対しても公訴時効が成立していないものについては適用されることから日本国憲法第39条に違反する可能性が指摘されている。この近年の公訴時効延長に関する問題は諸学説あるが、判例は「時効の廃止は憲法で禁止されているような違法性の評価や責任の重さをさかのぼって変更するものではない」としている<ref>{{Cite 判例検索システム|法廷名=最高裁判所第一小法廷|事件番号=平成26(あ)749|事件名= 強盗殺人被告事件|裁判年月日= 平成27年12月3日|裁判要旨=公訴時効を廃止するなどした平成22年法律第26号の経過措置を定めた同法附則3条2項は憲法39条,31条に違反しない|url=http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85518}}</ref><ref>{{Cite news|title=時効廃止は「合憲」=18年前強殺で無期確定へ-最高裁|newspaper=時事ドットコム|date=2015-12-03|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015120300694|accessdate=2015-12-30|publisher=[[時事通信社]]}}</ref>。