「ベータ崩壊」の版間の差分

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各種ベータ崩壊のメカニズムを記す。
 
: ここでは[[電子]]を <ce>\mathit{e}^-</ce>、陽電子を <ce>\mathit{e}^+\,</ce>、[[陽子]]を <math>\mathrm{p}\,</math>、[[中性子]]を <math>\mathrmmathit{n}\,</math>、[[ニュートリノ|電子ニュートリノ]]を <math>\nu_{\mathrm{e}}\,</math>、[[アップクォーク]]を <math>\mathrm{u}\,</math>、[[ダウンクォーク]]を <math>\mathrm{d}\,</math>、負電荷を持つ[[Wボソン]]を <math>\mathrm{W}^{-}\,</math> と表記する。なお、[[反粒子]]は(例えば <math>\bar{\nu}_{\mathrm{e}}</math> のように)アッパーバーであらわす。
 
=== β<sup>&minus;</sup>崩壊 ===
[[Image:Beta decay artistic.svg|thumb|300px|right|クォークレベルでのβ<sup>&minus;</sup>崩壊]]
中性子が電子(ベータ粒子)と反電子ニュートリノを放出して陽子になる現象。単にベータ崩壊といった場合これを指す。一般的に、安定同位体よりも中性子の多い核種でβ<sup>&minus;</sup>崩壊が発生する。
: <ce>\mathit{n} -> p^{+}\ + \mathit{e}^-\ + \bar{\nu}_{\mathit{e}}</ce>
[[クォーク]]のレベル(右図参照)では、次のように表される。
: <math>\mathrm{d}^{(1/3)-} \to \mathrm{u}^{(2/3)+} + \mathit{e}^{-} + \bar{\nu}_{\mathit{e}}</math>
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{{Main|陽電子放出}}
陽子が陽電子(ベータ粒子)と電子ニュートリノを放出して中性子になる現象。正のβ崩壊<ref name="iee" />、陽電子崩壊とも呼ぶ。一般的に、安定同位体よりも中性子の少ない核種でβ<sup>+</sup>崩壊が発生する。
: <ce>p^+ -> \mathit{n}\ + \mathit{e}^+\ + \nu_{\mathit{e}}</ce>
クォークのレベルでは、次のように表される。
: <math>\mathrm{u}^{(2/3)+} \to \mathrm{d}^{(1/3)-} + \mathit{e}^{+} + \nu_{\mathit{e}}</math>
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{{Main|電子捕獲}}
陽子が軌道上の電子を捕獲して中性子に換わり、電子ニュートリノと[[特性X線]]を放つ現象。ベータ粒子は放出しない。ε または EC ('''e'''lectron '''c'''apture) と略される。書籍によって「軌道電子捕獲」と記述されることもある。
: <ce>p^+\ + \mathit{e}^- -> \mathit{n}\ + \nu_{\mathit{e}}</ce>
原子番号が一つ小さい元素に変化する。崩壊のメカニズムは大きく異なるものの、原子番号が一つ小さい同重体となる結果だけを見れば、β<sup>+</sup>崩壊と電子捕獲は同じものといえる。
: <ce>_{18}^{37}Ar -> _{17}^{37}Cl</ce>、[[アルゴン]]37から[[塩素]]37(半減期 36日)
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ニュートリノがマヨラナ粒子である場合、例えば次のように二重ベータ崩壊が起きる可能性がある。
: <ce>\mathit{n} -> p^+\ + \mathit{e}^-\ + \bar{\nu}_{\mathit{e}}</ce>(1つ目のベータ崩壊)
: <ce>\bar{\nu}_{\mathit{e}} -> \nu_{\mathit{e}}?</ce>(反電子ニュートリノと電子ニュートリノは同一?)
: <ce>\mathit{n} + \nu_{\mathit{e}} -> p^+\ + \mathit{e}^{-}</ce>(2つめのベータ崩壊)
 
結局、全体では次のようになるので、ニュートリノは放出されない。
: <ce>2n2\mathit{n} -> 2p^+\ + 2\mathit{e}^-</ce>
 
=== 二重電子捕獲 ===