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==== 公然性の問題及び伝播性の理論 ====
日本の刑法の名誉毀損罪では公然性が明文で要件となっているが民事上はそのような要件はない{{Sfn|佃克彦|2008|p=112}}。しかし名誉毀損は社会的評価を低下させる行為であり、名誉毀損が成立するためには当該言論がある程度他人に伝播する態様のものであることが必要である{{Sfn|佃克彦|2008|p=54}}。したがって刑事と民事で決定的な違いを生じるものではない{{Sfn|佃克彦|2008|p=54}}。
 
かつて判例(大審院大正5年10月12日判決民録22輯1879頁)は公然性を不要としたが、このような立場に立つ裁判例は圧倒的少数派とされ、特定少数人に対する事実の摘示では社会的評価の低下するとはいえないことから多くの裁判例や実務では公然性必要説に立っているとされている{{Sfn|松尾剛行|2016|p=111}} 。
 
ただし刑法上の名誉毀損では特定少数人に対する名誉毀損的言辞であっても不特定多数人に伝播する可能性があれば公然性が認められるとする伝播性の理論がとられており、この理論は民事上の名誉毀損にもそのまま導入されている{{Sfn|佃克彦|2008|p=55}}。伝播性の理論に関しては、民事法上の名誉毀損においては伝播の可能性ではなくて現に伝播しそれによって社会的評価が低下したしか否かを問題にすべきとの考え方もある{{Sfn|佃克彦|2008|p=56}}。
 
==== 意見ないし論評との区別 ====