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{{出典の明記|date=2014-09}}
{{東洋医学}}
'''按摩'''(あんま)とは、なでる、押す、揉む、叩くなどの手技を用い、生体の持つ[[恒常性]]維持機能を反応させて健康を増進させる[[手技療法]]である。按摩の按とは「押さえる」という意味であり、摩とは「なでる」という意味である。
 
また、江戸時代から、按摩の施術を職業とする人のことを「按摩」または「あんまさん」と呼ぶ。
 
== 概要 ==
按摩は中国発祥の手技療法である<ref name="toyo20">東洋医療研究会『なる本 はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師』週刊住宅新聞社、2006年、20頁</ref>。按摩の按とは「押さえる」という意味であり、摩とは「なでる」という意味である<ref name="toyo20" />。
{{See also|マッサージ#概要}}
法令で手技・治療法は規定されていない。それは、立法当時において'''手技による施術を行う者'''が「[[あん摩マッサージ指圧師]]」しか存在しなかったためである。
 
按摩は西洋発祥のマッサージなどとともに手技療法の一種にあたるが厳密には区別されている。按摩は衣服の上から遠心性(心臓に近い方から遠い方)に施術を行うのに対し、マッサージは求心性(指先から心臓に近い方)に原則として肌に対して直接施術を行う<ref name="toyo20" />。按摩とマッサージはそれぞれ発祥となった地や治療方法は異なるが<ref name="toyo20" />、東洋医学と西洋医学の長所を互いに取り入れた統合的なケア(統合治療)が重要視されるようになっている<ref>東洋医療研究会『なる本 はり師・きゅう師・あんまマッサージ指圧師』週刊住宅新聞社、2006年、25頁</ref>。
日本最初の按摩を行った按摩生は、包帯法も行っていた。
 
== 関連法規歴史 ==
{{see also|マッサージ#無資格者と名称問題|[[無資格マッサージ士問題]]}}
[[日本]]では、[[あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律]]([[1947年|昭和22年]][[12月20日]]公布)において、[[あん摩マッサージ指圧師]]免許もしくは[[医師]]免許(共に国家資格)がなければ按摩を業として行う事が出来ない。しかし、按摩の手技定義が法的に明文化されておらず、また医業類似行為においては患者に害のある行為だと立証されない限り「職業選択の自由」の観点から法的に禁止出来ないとの最高裁判断もあり、国家資格でない各種民間療法は禁止の対象とならない。
なお、最高裁判決は医業類似行為に関する判断であり、あん摩、マッサージ、指圧については判断しておらず、無免許でそれらの行為を行えば健康に害を及ぼす虞の有無にかかわらず違法になる(昭和三五年三月三〇日 医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)。
 
上記の案件には国会でも度々、法改正の質疑応答がなされている。
尚法的には、従来通り按摩と表記して無資格者が按摩を行うのは違法であり、厚生労働省通達でも保健所への取り締まり強化を指示している。これは、国家資格保持者と民間資格保持者や無資格者を混同せぬよう、また施術行為を広告で明示する事で世間の混乱を抑える役目が期待されている。
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== 按摩にまつわる誤解の例 ==
{{出典の明記|section=1|date=2011年1月}}
按摩の按は瀉法を意味し摩は補法を意味すると按摩手引には記載されており、[[経絡]]に沿って「虚」「実」を判断し、按と摩を使い分けて、身体の気血を循環させる事により自然治癒力を高め、健康を維持・促進させる事を基本的な考え方をしている。しかし、按摩手引を詳細に読むと、経脈についての誤った記述があること、あるいは、この書自体が一般向けに書かれたもので専門家向けではないことを考えると、按と摩を瀉法と補法に分けるのは、東洋医学的に根拠が希薄と考えられる。{{要出典|date=2011年1月}}
 
教科書には、上から下に施術していくとあるが、これは着物を常用していた時代に、はだけるのを防ぐためにそうしていただけであって、臨床的な意味は全くないものと思われる。{{要出典|date=2011年1月}}
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== 足裏マッサージ ==
名称は[[マッサージ]]であるが、その手技は「'''あん摩'''」に近い。一般人がサービス内容を理解しやすい名称としてよく使われている。例としては中国式足つぼや台湾式足つぼや英国式[[リフレクソロジー]]等がある。しかしながら、あん摩マッサージ指圧師国家資格者で足ツボマッサージを生業とする者はほとんどいない。経穴(いわゆるツボ)も足の裏には[[湧泉]]しか正確には存在しない。
 
== 按摩の歴史 ==
[[File:C20 Chinese medical illustration in trad. style; Hand massage Wellcome L0039666.jpg|thumb|right|中国文献に記されたハンドマッサージ]]
先史時代に人々の生活において、自然環境の中で生きていく上で様々な理由によって負傷して瘀痛(疼痛)や腫痛に苦しむ事も少なくなかったと考えられる。そんなときに、人々は自分あるいは仲間の患部を手で撫でたり擦ったりすることによって、外傷による瘀痛を散らして腫れをひかせて痛みを和らげる効果があることを発見した。当時においてはこれも有効な外科治療の一環であり、これが按摩術のルーツであると考えられる。
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現代の各種法令では、流派を名乗る事は許されていないので、コマーシャル的に意味が無い状態である。
 
== 推拿 ==
{{Chinese|c=推拿|p=tuī ná|j=teoi<sup>1</sup> naa<sup>4</sup>|l=Push and grasp<ref>{{cite web |url=http://www.acchs.edu/programs/tui-na-mtcp/ |title=Tui Na MTCP |author= |date= |work= |publisher=Academy of Chinese Culture and Health Sciences |accessdate=24 July 2012 }}</ref>|showflag=p|pic=|piccap=Tui na treatment}}
 
中国大陸では明代以後、医療行為としての按摩は'''[[推拿]]'''(すいな)と言うようになった。これは日本では'''[[中国整体]]'''と呼称しているものであり、現在の[[中華人民共和国|中国政府]]も公式な[[中医学]]の医療用語として「推拿」を採用している。現在、日本国内の按摩と中国大陸の'''推拿'''は、技法は似ているが、用法が全く違うので注意が必要だ。
 
日本において中国整体という民間療法が行う技法の多くは、推拿の一部の専門手法を用いた推拿式整体療法といえる。しばしば中国整体は日本で言う按摩と誤解されるが、それは按摩が推拿の技法に一番近いことも関連する。現在では、数は少ないが推拿専門の教育機関も存在している。
 
「推」には手を一方向へ押し進めるという意味があり、「拿」にはその押し進めた手で掴みあげるという意味がある。中国医学では、その理論に基づいて経絡や筋肉・関節などに様々な手技(後述の[[按摩#按摩の基本手技|按摩の基本手技]]と同一のものも多い)を用いて疾病の予防・治療を行っており、鍼灸と並んで「推拿科」として治療をしている病院も多い。また、中国には法的にも推拿師・保健推拿師・推拿医師という資格がある。
 
== 按摩の基本手技 ==
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:開いた手の小指側の縁を体表に当てて手根を素早く前後に動かし筋肉の走行に滑らすように動かす手技である。この時、関節がコツコツと鳴るようにするために鳴骨の術とも呼ばれる。
 
== 按摩と足裏マッサージの違いについて ==
名称は[[マッサージ]]であるが、その手技は「'''あん摩'''」に近い。一般人がサービス内容を理解しやすい名称としてよく使われている。例としては中国式足つぼや台湾式足つぼや英国式[[リフレクソロジー]]等がある。しかしながら、あん摩マッサージ指圧師国家資格者で足ツボマッサージを生業とする者はほとんどいない。経穴(いわゆるツボ)も足の裏には[[湧泉]]しか正確には存在しない。
あん摩マッサージ指圧理論の教科書には、按摩とマッサージの違いに付いて、按摩は遠心的(心臓に近い方から遠い方に向けて)治療し、マッサージは求心的に行うと書かれている。そのほかには、按摩が衣服の上から(首筋や手足の先などの露出部分は、わざわざ日本手ぬぐいを架けて行うこともある)行うのに対し、マッサージは滑りをよくするため、タルク(汗知らず)やマッサージオイルをつけることはあるが、原則として膚に直接行う。また、按摩は[[経絡]]理論に従うが、マッサージは西洋医学の解剖学をよりどころとする、按摩は「もみりょうじ」とも呼ばれるように、もむ手技が多いが、マッサージは軽擦法などこする手技が多いなどと言われる。しかし例外はいくらもあり、本来起源の違う両者を比較するのがおかしいのだが、後述するように、「あんま」の呼称が[[視覚障害者]]に嫌われ、実際は按摩をしていても「マッサージ」の看板を出している人が多いため、こうしたことが言われるようになったものである。
 
== 中国(推拿 ==
{{Chinese|c=推拿|p=tuī ná|j=teoi<sup>1</sup> naa<sup>4</sup>|l=Push and grasp<ref>{{cite web |url=http://www.acchs.edu/programs/tui-na-mtcp/ |title=Tui Na MTCP |author= |date= |work= |publisher=Academy of Chinese Culture and Health Sciences |accessdate=24 July 2012 }}</ref>|showflag=p|pic=|piccap=Tui na treatment}}
 
中国大陸では明代以後、医療行為としての按摩は'''[[推拿]]'''(すいな)と言うようになった。これは日本では'''[[中国整体]]'''と呼称しているものであり、現在の[[中華人民共和国|中国政府]]も公式な[[中医学]]の医療用語として「推拿」を採用している。現在、日本国内の按摩と中国大陸の'''推拿'''は、技法は似ているが、用法が全く違うので注意が必要だ。
 
日本において中国整体という民間療法が行う技法の多くは、推拿の一部の専門手法を用いた推拿式整体療法といえる。しばしば中国整体は日本で言う按摩と誤解されるが、それは按摩が推拿の技法に一番近いことも関連する。現在では、数は少ないが推拿専門の教育機関も存在している。
 
「推」には手を一方向へ押し進めるという意味があり、「拿」にはその押し進めた手で掴みあげるという意味がある。中国医学では、その理論に基づいて経絡や筋肉・関節などに様々な手技(後述の[[按摩#按摩の基本手技|按摩の基本手技]]と同一のものも多い)を用いて疾病の予防・治療を行っており、鍼灸と並んで「推拿科」として治療をしている病院も多い。また、中国には法的にも推拿師・保健推拿師・推拿医師という資格がある。
 
== 日本 ==
[[日本]]では、[[あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律]]([[1947年|昭和22年]][[12月20日]]公布)において、[[あん摩マッサージ指圧師]]免許もしくは[[医師]]免許(共に国家資格)がなければ按摩を業として行う事が出来ない。しかし、按摩の手技定義が法的に明文化されておらず、また医業類似行為においては患者に害のある行為だと立証されない限り「職業選択の自由」の観点から法的に禁止出来ないとの最高裁判断もあり、国家資格でない各種民間療法は禁止の対象とならない。
なお、最高裁判決は医業類似行為に関する判断であり、あん摩、マッサージ、指圧については判断しておらず、無免許でそれらの行為を行えば健康に害を及ぼす虞の有無にかかわらず違法になる(昭和三五年三月三〇日 医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)。
 
上記の案件には国会でも度々、法改正の質疑応答がなされている。
尚法的には、従来通り按摩と表記して無資格者が按摩を行うのは違法であり、厚生労働省通達でも保健所への取り締まり強化を指示している。これは、国家資格保持者と民間資格保持者や無資格者を混同せぬよう、また施術行為を広告で明示する事で世間の混乱を抑える役目が期待されている。
 
{{see also|マッサージ#無資格者と名称問題|[[無資格マッサージ士問題]]}}
 
法令で手技・治療法は規定されていない。それは、立法当時において'''手技による施術を行う者'''が「[[あん摩マッサージ指圧師]]」しか存在しなかったためである。
 
== 視覚障害者とあんまさん ==