「放射線医学総合研究所」の版間の差分

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放医研センター病院では、約65m×120mだった加速器を、約45m×65mと小さくすることに成功。その中に、重粒子を最高で[[光速]]の70%程度の速度まで加速する、直経約20mのシンクロトロン加速器と、3つの治療室を持つ。放医研が主体となって研究開発を進めて来た「普及小型重粒子線照射装置の技術機第1号」と位置づけられ、[[群馬大学]]では[[群馬県]]との共同事業として、[[2010年]][[3月]]の治療開始に至る。
 
重粒子線がん治療は、正常な組織への放射線障害を最小限に止め、[[がん]]の部位のみを狙い撃ちができ、通常の放射線治療では治癒することが困難な「放射線抵抗性のがん」にも威力を発揮するとされている。また「切らずにがんを治す」治療法で、[[臓器]]の機能や形態が温存できることから、治療成績の向上のみでなく、患者の治療後の社会復帰や、生活の質(QOL)[[クオリティ・オブ・ライフ]]の向上も期待できる治療法である。
 
放医研での重粒子線治療の治療成績は、5年生存率で見ると、前立腺がん=約95%、手術不能Ⅰ期肺がん=約70%、頭頸部悪性黒色腫=約50%、体幹部・進行骨肉腫=約50%、再発進行肝がん=約50%、Ⅲ-Ⅳ期進行子宮頸がん=約45%などの報告がなされている。最も治療の難しい[[骨肉腫]]では、腫瘍が消失した後に正常骨組織が再生するなど、がんが制御されるばかりか、機能や形態まで温存される、劇的な治療効果も得られていると言う。