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'''領収書'''(りょうしゅうしょ、{{lang-en-short|receipt}})とは、[[代金]]の受取人が支払者に対して、何らかの対価として[[金銭]]を受け取ったことを[[証明]]するために[[発行]]する[[書類]]のことをいう
{{出典の明記|date=2013年10月}}
{{国際化|領域=[[日本]]|date=2007年8月21日 (火) 14:19 (UTC)}}
[[ファイル:receipt_JPY.jpg|thumb|250px|日本の領収書(加筆防止のため、金額の先頭に[[通貨記号]]、末尾に[[ハイフン]]を記入)]]
'''領収書'''(りょうしゅうしょ、{{lang-en-short|receipt}})とは、[[代金]]の受取人が支払者に対して、何らかの対価として[[金銭]]を受け取ったことを[[証明]]するために[[発行]]する[[書類]]のことをいう。
 
英語ではレシート(receipt)というが、日本では手書きのものを領収書とレジなどで機械印字されたものをレシートを区別して呼ぶ場合もある<ref name="sansyu98" />。
== 領収書に当たるもの ==
 
[[ファイル:ReceiptSwiss.jpg|thumb|250px|[[スイス]]の[[ホテル]]のレシート]]
== 領収書に当たるも形式 ==
領収書に最低限記載すべき事項として、金額、日付、発行者または受領権者の記名(押印)、宛名がある<ref name="sansyu99" />。
 
* 手書きの場合、[[改竄]](書き換え)を防止するために、[[漢数字]]でも特に[[大字 (数字)|大字]](壱(1)、弐(2)、参(3)…)が用いられることが多い。高額な領収書では[[チェックライター]]という専用の機械を使用することもある。
 
== 国際的な日本の領収書 ==
=== 概説 ===
[[ファイル:receipt_JPY.jpg|thumb|250px|日本の領収書(加筆防止のため、金額の先頭に[[通貨記号]]、末尾に[[ハイフン]]を記入)]]
[[ファイル:Receipt of JR tickets.jpg|thumb|250px|[[四国旅客鉄道|JR四国]]、[[佐古駅]]での領収書(機械印字)]]
領収書とはお金を受け取ったことを証する書類である<ref name="sansyu98">大門則亮『すぐに役立つ契約書・印鑑・領収書・手形・小切手の法律知識 改訂新版』三修社、98頁</ref>。領収書は、「領収書」という文言が入った[[文書|書面]]のみを指すのではなく、受取書、引落明細書、領収、受領等の[[文言]]の入った書面でも金銭授受の[[証拠]]となりうる。受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」や「了」などと記入したものや、これらの文言の入った[[インターネット]]上の取引[[画面]]や[[電子メール]]の[[プリントアウト]]したものも同様である。
 
* 領収書を英語でいうとレシートとなるが、日本語で"'''レシート'''"と言うと[[キャッシュレジスター]](レジ)から印字された“レジ・シート”のことを指し、手書きなどで領収書の書式に記載された「領収書」と使い分けることが多い。このためレシートは領収書として使えないという認識があり、[[税法]]上の「領収書としての要件」を満たしていない場合もあり、別途[[手書き]]や打痕印字された「領収書」と文言の入った書式を請求することがある。<br /> [[スーパーマーケット]]や[[コンビニエンスストア]]などのキャッシュレジスターから印字され手渡しされる"レシート"も、領収書の一つである。レシートも要件を満たしていれば領収書として認められるため、領収書の二重発行とならないように、レシートに『領収書』等と印字したり、『領収書として使える』ということを周知させたりしており、また近年では、操作により宛名・但し書きの記入欄がある領収書スタイルのレシートを発行するレジスターが広く普及している。なお、感熱紙で印刷されたレシートは時間がたつと読めなくなることがあるので、保存には注意が必要。
先述のように、英語ではレシート(receipt)というが、日本では手書きのものを領収書と[[キャッシュレジスター]](レジ)などで機械印字されたものをレシートを区別して呼ぶ場合もある<ref name="sansyu98" />。しかし、レシートも領収書の一種であり、日常生活ではレジで印字されたレシートが領収書として代用されていることもある<ref name="sansyu98" />。ただし、会社経費の処理などではレジで印字されたレシートでは認められない場合があるが、それは領収書に最低限記載すべきとされている事項(金額、日付、発行者または受領権者の記名(押印)、宛名)が具備されていない場合である<ref name="sansyu99">大門則亮『すぐに役立つ契約書・印鑑・領収書・手形・小切手の法律知識 改訂新版』三修社、99頁</ref>。
* 手書きの場合、[[改竄]](書き換え)を防止するために、[[漢数字]]でも特に[[大字 (数字)|大字]](壱(1)、弐(2)、参(3)…)が用いられることが多い。高額な領収書では[[チェックライター]]という専用の機械を使用することもある。
 
領収書として最低限記載すべき事項が具備していればレジで印字されたレシートでも領収書として認められる<ref name="sansyu99" />。
 
* 領収書を英語でいうとレシートとなるが、日本語で"'''レシート'''"と言うと[[キャッシュレジスター]](レジ)から印字された“レジ・シート”のことを指し、手書きなどで領収書の書式に記載された「領収書」と使い分けることが多い。このためレシートは領収書として使えないという認識があり、[[税法]]上の「領収書としての要件」を満たしていない場合もあり、別途[[手書き]]や打痕印字された「領収書」と文言の入った書式を請求することがある。<br /> [[スーパーマーケット]]や[[コンビニエンスストア]]などのキャッシュレジスターから印字され手渡しされる"レシート"も、領収書の一つである。レシートも要件を満たしていれば領収書として認められるため、領収書の二重発行とならないように、レシートに『領収書』等と印字したり、『領収書として使える』ということを周知させたりしており、また近年では、操作により宛名・但し書きの記入欄がある領収書スタイルのレシートを発行するレジスターが広く普及している。なお、感熱紙で印刷されたレシートは時間がたつと読めなくなることがあるので、保存には注意が必要。
 
* 領収書を別途発行した場合のレシート無効処理としては、店員の不正防止策として、領収書の控えへレシートを貼り付ける、領収書を発行したレシートを取りまとめレポートとして報告する(レジには発行したレシートの処理通番や発行枚数が記録され、レジ日報として出力可能なものがあり、これとの照合により不正を行っていないことを証明する)がある。また、レシート自体が、領収書スタイルのものとレシートの明細部分を合体させた様式のものとして、別途領収書は手書きを含めて一切発行できないとする日本の[[家電量販店]]がある。さらに、領収書に取り扱いが管理された指定印の押印がないものは無効、と明記することで不正対策とするケースもある。
* 納品書として印字するレシート、伝票類に「現金でのお取引の場合は、領収書に代えさせていただきます。」と明記しているものもある。日本のガソリンスタンドで発行されるレシート(伝票)に多い。
* 法律的に領収書の要件を満たしても、日本では、法人団体等の不正経理防止対策の一環として、団体の内部規則で法律より厳しい要件条件が定義されている場合もある。
 
;=== 公共交通機関の場合 ===
* 日本の鉄道運賃の場合、[[鉄道駅]]や[[旅行会社]]窓口・専用の[[みどりの券売機|指定席券売機]]で発売される長距離乗車券類を除き、近距離用の金額選択式[[自動券売機]]では領収書を発行できる券売機は古い機械では少ない。[[乗車カード]]([[プリペイドカード]])の購入の場合、領収書を発行できる券売機が多い。領収書が必要となった際、購入したきっぷを持って窓口で領収書を作るよう請求すると作ってくれる。ただし無人駅や[[名古屋鉄道]]などの[[駅集中管理システム]]対応の駅等の場合、駅員がいないために発行が出来ない。そのために領収書が必要な場合は「下車駅で発行(有人駅の場合)」「接続駅等で発行(有人駅の場合)」「郵送」等で対処している。いずれにしても、[[タッチパネル]]式の券売機では領収書が発行できるものが多いが、購入する乗車券類の条件、また鉄道事業者等ごとの設定によって発行の可否が制御されている場合もある。<br /> 日本国外の鉄道を利用した場合、[[信用乗車]]制などにより、チケットが手元に残るケースでは、日本の法律の要件を満たせば、領収書の代わりとして利用できると考えられる。
* 日本の[[路線バス]]や[[路面電車]]も、その乗降システム上、車内で領収書の発行に応じることは難しい。窓口等でプリペイドカードを購入した場合、領収書を発行してもらえる場合がある。[[高速バス|高速路線バス]]は、バス会社や旅行会社窓口で購入して領収書を請求すれば、発行に応じる場合がほとんどである。コンビニエンスストアで高速バスチケットを購入した場合、コンビニエンスストアが、[[収納代行]]企業または旅行会社の代理として、収納代行企業または旅行会社名義の領収書を発行する。インターネット上の[[クレジットカード]]払いの場合、後日クレジットカード会社が発行するカード利用明細書兼請求書が領収書として認められる事が多い。なお、日本国外の事例は鉄道とほぼ同じである。
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* [[日本のタクシー]]ではほとんどの場合、領収書([[プリンター]]から打ち出されるレシート形式)が渡される。それ以外の場合も、手書き領収書を備え、発行に応じる。
 
=== 交付義務 ===
全ての取引について発行が強制されている訳ではないが、日本の[[b:民法第486条|民法第486条]]は「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と規定し、また、債権者が受取証書を発行しないときは、債務者は[[同時履行の抗弁権]]を行使して弁済を拒むことができるものと解されている。
 
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また、一部の[[量販店]]のように各階、あるいは売り場ごとの精算になっている場合、とりあえずレシートを受け取り、複数のレシートを最終的に1枚の領収書にまとめる場合もある。
 
==== 支払い手段による違い ====
[[ファイル:Volkswagen Invoice.jpg|thumb|250px|自動車修理店の領収書(英語)]]
; 銀行振込等による支払いの場合
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: クレジットカードによって決済した場合は、支払人(カード利用者)はクレジットカード会社に対して金銭を支払うのでクレジットカード会社発行の利用[[明細書]]が領収書相当となる。従って物品やサービス提供者(販売元)は領収書を発行する立場にはなく控え(取引明細)を発行するのみとなる。<!--民法の規定で受取証書発行(領収書とは記載されていない)の義務は現金のみとは記載されていない為、クレジットカード決済等についても販売店等も領収書発行義務の免除にはならないとする解釈があるがカード決済等の領収書発行については現金払いかそうではないかが問題ではなく、実際に「弁済をした者」は誰で「弁済を受領した者」は誰かということである。<br />カード利用控えの発行が民法でいうところの受取証書(カード決済に対する)発行にあたるという解釈もある。<br />販売店等ではカード決済分については領収書発行する立場にはなくカード発行元に代わりカード利用控えをカード利用者に発行するのみである。<br />しかし、お門違いとは言えカード決済分についての領収書発行を販売店等に要求する客は多く、許否されれば購入を取りやめるというケースもあり、領収書を発行する店、しない店と対応が違うのが現実である。<br />正直者は損をするというような例えは不謹慎かもしれないが領収書発行が任意とされるのは、民事不介入の原則の元、あえて曖昧さを残して商行為の妨げにならないようにすると共に、取引上のトラブルも当事者同士での解決すべしとの当局の立場からのものだ。<br />ただし、いい加減な領収書発行がもとで不正に加担することになった場合、領収書発行者の責が問われることがあるのは当然である。<br />物品をもって対価とするなど例外的な事例もあるが、領収書というタイトルの受取証書は実際の現金の受け渡しをもって発行するのが妥当であり原則といえる。
 
==== 代理購入での領収書 ====
会社など組織に従属する者が直接、現金で購入した場合は単純に支払い先に会社宛、領収書を請求すれば良い。<br />振込等での立て替え払いの場合は会社宛(実際の購入者)振込証と請求書、納品書等を持って清算するのが妥当と考えられる。<br />個人名義での振込や個人名義のカード決済の場合、厳密には請求書や納品書を基に清算(現金を受け取った)された時点で代理購入した本人が個人名にて会社宛、領収書を発行することになる。<br />つまり会社は社員ではあるが一個人から商品あるいはサービスの提供を購入したとし取引を完結し、代理購入した個人が実際に代金を支払ったかどうか等は、その代理購入者と販売者、決済代理人(クレジットカード会社等)との問題として切り分ける必要がある。<br>-->
 
=== 税法上の扱い ===
日本における経理処理では、[[公共交通機関]]の[[運賃]]や慶弔費などの例外を除き、受取証書で証明ができないと、税法上[[損金|経費]]として認められないと誤解されることが多いが、一部の例外(一定額以上の消費税の仕入控除など)を除いて必要経費の形式的証明義務は一切課されていない。課税当局が経費計上を否認するには経費の証明がないことだけでは足らず、計上された経費が架空であることを課税当局自身が証明する必要がある([[白色申告]]の場合を除く)。また、年月日、相手先、内容、対価の明記が必要であるとの誤解があり、消費税法特有の規定であるが、税法一般では「上様」や「品代」の記載でも認められる。
 
==== 印紙税に関して ====
金額が'''5万円'''以上(2014年(平成26年)3月31日以前は3万円以上)<ref>金額について、税抜金額を記載している、あるいは消費税額が明確に明示されている場合以外の場合では、税込金額で判断される。消費税の免税業者が作成する領収書も、税抜きの記載があっても税込金額で判断される。</ref>の領収書には原則として[[収入印紙]]を貼り、[[消印]]をすることで[[印紙税]]を納税しなければならない。なお、あらかじめ税務署に届けていれば、「印紙税申告納付につき○○税務署承認済」と領収書に表示(あらかじめフォーマットへの機械印字するケースや印紙貼付欄にスタンプを押捺するケースなどがある)し、印紙額相当分を税務署に納めれば、貼付しなくともよい。<br />
印紙を貼る義務は、領収書の発行側にある。収入印紙を貼らなかった場合、あるいは不足していた場合は、不足した分の3倍の金額の過怠税が課せられる。印紙が貼付されていない領収書であっても、領収書としての有効性には変わりはない。また、収入印紙の貼付義務を免脱するために、取引を分割しないまま受領金額が5万円未満となるように分割して発行した場合には、印紙税法上明確な禁止規定がないため追徴課税は出来ないとされている。<!--追徴課税されなかった例、http://fukuki.blog23.fc2.com/blog-entry-230.htmlを参照。-->なお、クレジットカード会社発行の利用明細書は、課税当局が領収書と認めていないため印紙を貼る必要がない。{{main|印紙税}}
 
== 欧米の領収書の収集趣味 ==
[[ファイル:ReceiptSwiss.jpg|thumb|250px|[[スイス]]の[[ホテル]]のレシート]]
[[切符]]、[[切手]]、[[駅弁]]の包み紙など印刷された紙片を集める[[収集家]]のうち、1円(または1[[通貨単位]])以上の[[商品]]を[[買い物]]をすれば必ず入手できる領収書に着目し、ありとあらゆる領収書を集める収集家も現れた。この場合、領収書を略して「'''書'''」と呼ぶことがある。日本の"領収書"の場合、[[コクヨ]]や[[ヒサゴ]]など[[文具]]メーカー製の既製品はあまり好まれない。発行者[[オリジナル]]のものが好まれ、例えば[[不二家]]では[[マスコットキャラクター]]である[[ペコちゃん]]の絵が入っているかないかで[[価値]]が大きく異なるという。また、日本でレシートスタイルの領収書の収集家もいる。店の名前や[[ロゴマーク]]が印刷される物が多くを占めるため価値がある。特に[[旅行]]等で地元に進出していない[[チェーン店]]はもちろん、その土地にしかないローカルな店の物を実際に買い収集する人も少なくない。
 
== 国際的な領収書 ==
日本以外でも、レジから領収書を自動的に印刷して渡す習慣の国がある。
またクレジット支払いに対して、領収した金額を渡す場合もある。
しかし、チップを領収書に含めるかどうかなど、各国の実情を調査して整理すると良い。
 
== 領収書の収集趣味 ==
[[切符]]、[[切手]]、[[駅弁]]の包み紙など印刷された紙片を集める[[収集家]]のうち、1円(または1[[通貨単位]])以上の[[商品]]を[[買い物]]をすれば必ず入手できる領収書に着目し、ありとあらゆる領収書を集める収集家も現れた。この場合、領収書を略して「'''書'''」と呼ぶことがある。日本の"領収書"の場合、[[コクヨ]]や[[ヒサゴ]]など[[文具]]メーカー製の既製品はあまり好まれない。発行者[[オリジナル]]のものが好まれ、例えば[[不二家]]では[[マスコットキャラクター]]である[[ペコちゃん]]の絵が入っているかないかで[[価値]]が大きく異なるという。また、日本でレシートスタイルの領収書の収集家もいる。店の名前や[[ロゴマーク]]が印刷される物が多くを占めるため価値がある。特に[[旅行]]等で地元に進出していない[[チェーン店]]はもちろん、その土地にしかないローカルな店の物を実際に買い収集する人も少なくない。
 
== 注意点 ==