「ツキノワグマ」の版間の差分

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:日本では主に6 - 7月にカラマツ、スギ、ヒノキなどの樹皮を剥いで形成層を食べるため、林業における害獣とみなされている<ref name="watanabe"/>。全周剥皮では枯死、部分剥皮では剥皮が大規模なら衰弱し、腐食などにより材木の価値が下がるなどの被害が生じる<ref name="watanabe"/>。樹皮剥ぎの理由はよく分かっておらず、食物が乏しいため樹皮を食用とする説、繁殖行動のためのメスの誘引などの説がある<ref name="watanabe"/>。樹皮剥ぎの被害は[[西日本]]の[[太平洋]]側が中心と言われてきたが<ref name="watanabe"/>、近年では西日本の[[日本海]]側や[[東北地方]]でも深刻なことが確認されている<ref>{{cite journal|author=北原英治ほか|year=1997|title=ツキノワグマによる林木剥皮被害|journal=森林総合研究所関西支所年報|volume=第38号|publisher=[[森林総合研究所]] 関西支所|url=http://www.ffpri.affrc.go.jp/fsm/research/pubs/nenpo/past/38_03.html}}</ref>。1998 - 2000年に岐阜県で行われた糞の内容物・血中尿素濃度・血中ヘモグロビン濃度の調査では[[ウワミズザクラ]]の果実の比率が下がる年は針葉樹の樹皮の比率が上昇したこと・樹皮の比率が上昇した年は血中尿素濃度が高く血中ヘモグロビン濃度が低いことから、凶作により栄養状態の悪い年には樹皮剥ぎを行われることを示唆する報告例もある<ref>吉田洋, 林進, 堀内みどり, 坪田敏男, 村瀬哲磨, 岡野司, 佐藤美穂, 山本かおり 「[http://doi.org/10.11238/mammalianscience.42.35 ニホンツキノワグマ (''Ursus thibetanus japonicus'') によるクマハギの発生原因の検討]」、『哺乳類科学』 第42巻 1号、日本哺乳類学会、2002年、35-43頁。</ref>
 
:日本国内における個体数は、10,000頭前後と推定されていた。しかし堅果類の凶作年の[[2004年]]に約2,300頭、[[2006年]]に約4,600頭のクマが捕殺<ref>[http://www.wwf.or.jp/activities/2010/10/930829.html ツキノワグマの大量出没への対応を!政府と環境省に要望] - WWF日本ホームページ2010年10月28日</ref> された後も、大量頻繁に目撃されていることから実態数は不明である。[[2010年]]の大量出没年の際に朝日新聞が、各都道府県の担当者に聞き取り調査を行った数では16,000頭-26,000頭<ref>クマの大量出没(朝日新聞2010年11月26日夕刊17面)</ref> と幅が大きい上、数十頭の個体数と考えられていた[[岡山県]]などで推測数の半分近くが捕獲される例が相次ぎ、誤差の大きさをうかがわせている。これは、平均生息密度が1平方kmあたり1頭以下と極めて低いことなどに理由があり、個体数の推測に用いる区画法、ラインセンサス法、ヘアートラップ法などでは限界があるためである{{要出典|date=2013年9月}}。
:近年でのクマの異常出没の原因、要因として、短期的(直接・至近)要因では、堅果類の大凶作、ナラ枯れ等によるナラ枯損面積の拡大が挙げられる。
:また、長期的背景として、生息数の回復・増加、奥山林の変化、拡大造林地の成熟と生息地シフト、[[里山]]地域の放棄と生息変化、誘引要因の増加([[カキノキ|カキ]]など放置果樹、果樹の大量放棄、残飯、ゴミ)、ハンターの減少、新世代グマの登場などが挙げられる<ref>[http://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/background/full.pdf 環境省:研究プロジェクト成果集「ツキノワグマ大量出没の原因を探り、出没を予測する」] [[独立行政法人]] [[森林総合研究所]] [[2011年]]2月 ISBN 978-4-902606-77-5</ref><ref name="坪田2013">{{Cite journal|和書|author=坪田敏男|year=2013| title=クマの生息動向と最近の被害状況 |journal=日獣会誌 |volume=66|pages=131-137}}</ref>。