「時間外労働」の版間の差分

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しかし、そもそも超える協定を届けられても、是正を求める等[[行政指導]]は行われるものの、その他の要件が整っている限り届出を受理しないことはできず、協定が無効となることもない。特別条項の適用は個人単位(事業所単位でない)であるので、人を交代して配置すれば事業場としては1年を通じて上述の制限時間を超えた労働者を配置することができる。
 
また、特別条項は、時間外労働の限度に関する基準という告示であるので、告示を守らない三六協定であっても労働基準監督署は最終的には受付を拒否できない。たとえば、月45時間を年6回を超える年12回の三六協定が届け出られても、受付を拒否はできない。労使協定で必要な時間数を協定して届出をしてしまえば、'''事実上労働基準法上の残業時間数には上限がない'''というのが現状である。このため、過労死の認定基準を大きく超えるような時間外労働を可能とする協定が受理されている。
 
また、事業場の転勤で別への事業場に転勤ということになれば、特別条項を回数を引き継ぐ法的根拠はなく、転勤前の事業場で6回までの特別条項超えをしていた場合でも、転勤後の事業場で特別条項を6回超えなければ法違反とならない。
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== 立入調査等 ==
[[労働基準監督官]]による[[臨検]](強制立入調査、第101条以下)が行われた場合、三六協定が未締結であったり、三六協定に定める限度時間を超えて時間外労働をさせている、三六協定の労働者代表の選任方法が妥当ではない等の事実が認められると、36条違反を是正するよう指導される。世間の求めに応じ、近年監督実施件数は増加傾向にある。原則として臨検を拒否することは出来ず、監督官の臨検を拒んだり、妨げたり、尋問に答えなかったり、虚偽の陳述をしたり、帳簿・書類(法定帳簿・書類のみならず、第109条でいう「その他労働関係に関する重要な書類」を含み<ref>「平成22年版労働基準法 下」厚生労働省労働基準局編 労務行政</ref>、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、[[タイムカード]]、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録も含まれる(平成29年1月20日策定労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン))と判断されているが、会社への入退場の警備記録やパソコンのログなどは含まれないので、これらについては監督署からの提出は法的根拠はなく、提出を拒否しても罰則は適用されない。また、「その他労働関係に関する重要な書類」を提出しなかったり、虚偽の帳簿・書類を提出した場合は、30万円以下の[[罰金]]に処せられる(第120条)。しかし、労働基準法第104条の2を根拠に書面により帳簿等の提出を求められたときでなければ、帳簿等を提出しなかったり、虚偽の帳簿・書類を提出した場合でも罰則の適用は、事実上行えない
 
このため、過重労働撲滅特別対策班が東京労働局と大阪労働局に設置されているが、所詮、労働時間にかかる労働基準法の手続き違反を取り締まるだけで、長時間労働そのものを取り締まる機能は全くない。また、過重労働撲滅特別対策班に通常の労働基準監督官と比較してなんら特別の権限が与えられているわけではない。このため、過重労働撲滅特別対策班の設置は、世間の求めに応じたふりをする厚生労働省の生き残り対策として設置されている色合いが強く、問題職員の配置場所として一部利用されているところさえある。