「電子伝達体」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
電子受容体の項を新設
電子受容体を加筆
12行目:
*B(還元型) + C(酸化型) → B(酸化型) + C(還元型)…
上記の反応の方向性は、[[酸化還元電位]]が低いほうから高いほうに流れる。すなわち、AからBには自然に電子は流れてもBからAに電子を流すにはエネルギーの投入が必要となる。
 
== 電子受容体 ==
'''電子受容体'''(でんしじゅようたい、electron acceptor)とは、電子を他の物質から自分自身へと移動させる化学物質である。電子の受け取りは電子受容体自身を[[還元]]させ、また、電子供与体を[[酸化]]させる。このため、電子受容体は本質的に(特定の物質に対する)[[酸化剤]]である<ref name=toxics.usgs.gov />。典型的な酸化剤は他の物質と共有結合またはイオン結合することにより電子を完全かつ不可逆に受け取り、恒久的に他の物質へと変化する。実際には電子は完全に移動せず、したがって電子受容体が受け取る電荷はより少ない場合が多い。この場合、電子供与体と受容体は[[電子共鳴]]により電子を共有する。また、電子の授受の過程で一時的に[[電荷移動錯体]]が形成される。
 
==酸化還元電位==
32 ⟶ 29行目:
酸化還元電位の詳細については、[[酸化還元電位]]を参照。
 
== 電子伝達受容のリスト ==
'''電子受容体'''(でんしじゅようたい、electron acceptor)とは、電子を他の物質から自分自身へと移動させる化学物質である。電子の受け取りは電子受容体自身を[[還元]]させ、また、電子供与体を[[酸化]]させる。このため、電子受容体は本質的に(特定の物質に対する)[[酸化剤]]である<ref name=toxics.usgs.gov />。典型的な酸化剤は他の物質と共有結合またはイオン結合することにより電子を完全かつ不可逆に受け取り、恒久的に他の物質へと変化する。実際には電子は完全に移動せず、したがって電子受容体が受け取る電荷はより少ない場合が多い。この場合、電子供与体と受容体は[[共鳴理論|電子共鳴]]により電子を共有する。また、電子の授受の過程で一時的に[[電荷移動錯体]]が形成される。
 
電子受容体が電子を受け取る能力の程度は[[電子親和力]]として測定できる。電子親和力とは、[[最低空軌道]](LUMO)を電子で満たしたときに放出されるエネルギーの大きさである。
 
電子供与体から受容体への電子の授受の際のエネルギー差(ΔE)、エネルギーの獲得量または損失量は受容体の電子親和力(A)の変化と供与体の[[イオン化エネルギー]](I)との差によって決まる。
:<math>{\Delta}E=A-I\,</math>
 
化学において、電子を一つだけでなく、2つ獲得して共有結合を形成する電子受容体はルイス酸に分類される。この結合形成はルイス酸塩基の化学分野において普遍的にみられる現象である<ref name=Jensen1980book />。電子供与体および受容体の挙動原理は電子供与体の電気陽性度と電子受容体の[[電気陰性度]]の原子または分子実体の理論に基づく。電子受容体は生物において生化学反応のエネルギー源となり、[[細胞呼吸]]や[[光合成]]といったエネルギー獲得過程や、有機物の生分解に関与したりする。
 
=== 電子受容供与の一覧 ===
電子受容体には[[酸素分子]]、[[硝酸]]イオン、[[鉄]]イオン(III)、[[マンガン]]イオン(IV)、[[硫酸]]イオン、[[二酸化炭素]]がある。一部の微生物細胞の場合、[[テトラクロロエチレン]](PCE)、[[トリクロロエチレン]](TCE)、[[ジクロロエチレン]](DCE)、および[[クロロエチレン]](VC)といった塩素化溶媒も電子受容体として働く。電子受容体は生物において生化学反応のエネルギー源となり、細胞にエネルギーを与えたり、有機物の[[生分解]]に関与したりする。
 
==電子伝達体の一覧==
電子伝達体はその構造や酸化還元電位で類別は行われていないが、大まかに存在している生物や電子伝達系によってある程度類別される。以下にそれらのリストと簡単な説明を提示しておく。
 
90 ⟶ 100行目:
{{Reflist|refs=
<ref name=toxics.usgs.gov>http://toxics.usgs.gov/definitions/electron_acceptor.html</ref>
<ref name=Jensen1980book>{{cite book |title=The Lewis acid-base concepts : an overview |last=Jensen |first=W.B.|year=1980 |publisher=Wiley |location=New York |isbn=0-471-03902-0 }}</ref>
}}