「トチノキ」の版間の差分

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== 人間との関わり ==
木材として利用される。木質は芯が黄金がかった黄色で、周辺は白色調。綺麗な[[杢目]]がでることが多い。また真っ直ぐ伸びる木ではないので変化に富んだ木材となりやすい。比較的乾燥しにくい木材ではあるが、乾燥が進むと割れやすいのが欠点である。巨木になり、大材が得られるのでかつては[[臼]]や木鉢の材料にされたが、[[昭和]]中期以降は一枚板の[[テーブル (家具)|テーブル]]に使用されることが多い。乱伐が原因で産出量が減り、[[21世紀]]頃には[[ウォールナット]]などと同じ銘木級の高価な木材となっている。
 
[[種子]]は[[デンプン]]や[[タンパク質]]を多く含み、「栃の実」として[[渋抜き]]して食用になる。食用の歴史は古く、[[縄文時代]]の遺跡からも出土している。渋抜きは[[コナラ]]や[[ミズナラ]]などの果実([[ドングリ]])よりも手間がかかり、長期間流水に浸す、大量の[[灰汁]]で煮るなど高度な技術が必要だが、かつては耕地に恵まれない山村では[[ヒエ]]やドングリと共に[[主食]]の一角を成し、常食しない地域でも[[飢饉]]の際の食料(救荒作物)として重宝され、天井裏に備蓄しておく民家もあった。積雪量が多く、稲作が難しい[[中部地方]]の山岳地帯では、盛んにトチの実の採取、保存が行われていた。そのために森林の伐採の時にもトチノキは保護され、私有の山林であってもトチノキの勝手な伐採を禁じていた[[藩]]もある。また、各地に残る「栃谷」や「栃ノ谷」などの地名も、食用植物として重視されていたことの証拠と言えよう。山村の食糧事情が好転した現在では、食料としての役目を終えたトチノキは伐採され木材とされる一方で、渋抜きしたトチの実をもち米と共に搗いた[[栃餅]](とちもち)が現在でも郷土食として受け継がれ、土産物にもなっている。