「7月20日事件」の版間の差分

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7月11日のベルクホーフでの会議。しかしこの日、[[ヘルマン・ゲーリング]]と[[ハインリヒ・ヒムラー]]が出席していなかった。この時点では「黒いオーケストラ」グループは、ヒトラーと共に他のナチス首脳も暗殺すべきだと考えていた。彼らはゲーリングは特に問題視しなかったが、[[親衛隊]]指導者ヒムラーは暗殺せねばならないと主張。彼が生存していると、親衛隊と陸軍の間で内乱になる恐れがあったからだ。シュタウフェンベルクは会議を抜け出しオルブリヒトに連絡。ヒムラー不在を告げると、オルブリヒトは計画中止を指示。落胆した彼はシュティーフに向かって「こん畜生め!行動すべきではないのか?」と口にしたという<ref name="クノップ_2008_248"/><ref name="ホフマン_2010_386"/><ref name="マンベル_1972_111">{{Cite book|和書|author=マンベル|title=ヒトラー暗殺事件|year=1972|pages=p.111}}</ref>。
 
7月14日、ヒトラーは予告なしでベルクホーフから、東プロイセンの[[ケントシン|ラステンブルク]]の総統大本営「[[ヴォルフスシャンツェ]](狼の砦)」へ移動。一方、シュタウフェンベルクは、国内予備軍司令官[[フリードリヒ・フロム]]上級大将と共に7月15日に出頭し、東部戦線へ投入する新しい師団立ち上げについて報告するよう命じられた。彼は1942年秋以来「ヴォルフスシャンツェ」へ行った事が無く土地勘は無かったが、今やヒトラーがベルクホーフに戻るのを待つ時間は無く、総統大本営での暗殺決行を決意した<ref name="クノップ_2008_250">{{Cite book|和書|author=クノップ|title=ヒトラー暗殺計画|year=2008|pages=p.250}}</ref><ref name="ホフマン_2010_393">{{Cite book|和書|author=ホフマン|title=ヒトラーとシュタウフェンベルク家|year=2010|pages=p.393}}</ref>。
2人がベルリンを発った後、ベントラー街のオルブリヒト大将とその副官[[アルブレヒト・メルツ・フォン・クイルンハイム]]大佐は、フロムの留守を好機に「[[ヴァルキューレ作戦]]」を発動。ベルリン郊外の陸軍学校と予備訓練部隊に最高レベルの緊急出動態勢を取らせた<ref name="ホフマン_2010_396">{{Cite book|和書|author=ホフマン|title=ヒトラーとシュタウフェンベルク家|year=2010|pages=p.396}}</ref>。事前に「ヴァルキューレ作戦」を発動したのはこの時だけだった<ref name="マンベル_1972_111"/>。
 
7月15日もヒムラーは会議には出席していなかった。彼の欠席を確認後、シュタウフェンベルクは会議室を抜け出し、ベルリンのクイルンハイム大佐に連絡。ヒムラー不在だが、それでも決行したいので許可が欲しい旨を伝えた。クイルンハイムはそれをオルブリヒト、さらにベック、ヘプナーにも伝えたが、将軍たちは計画中止を命じる。シュタウフェンベルクは「僕ら2人で決めるしかない」と言い、将軍たちの指示を無視する事を提案した。クイルンハイムも「やりたまえ」と答えたが時すでに遅し、会議はその後すぐに終了してしまった<ref name="クノップ_2008_251">{{Cite book|和書|author=クノップ|title=ヒトラー暗殺計画|year=2008|pages=p.251}}</ref>。一方、オルブリヒトたちは「あれは演習だった」としてベルリンの警戒態勢を解除して取り繕った。後刻この「間違った警報」の件でカイテル元帥がフロム上級大将を叱責し、さらにフロムがオルブリヒトを叱った。ただ、かろうじてクーデターの真意は隠し通せた<ref name="マンベル_1972_112">{{Cite book|和書|author=マンベル|title=ヒトラー暗殺事件|year=1972|pages=p.112}}</ref><ref name="クノップ_2008_281">{{Cite book|和書|author=クノップ|title=ヒトラー暗殺計画|year=2008|pages=p.281}}</ref>。シュタウフェンベルクは意気消沈してベルリンへ戻ると、クイルンハイムと話し合う。2人は、次のチャンスには将軍たちの意向は無視しよう、ということで一致した<ref name="クノップ_2008_252">{{Cite book|和書|author=クノップ|title=ヒトラー暗殺計画|year=2008|pages=p.252}}</ref>。