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'''ヒケ'''(ひけ、Sink Marks)とは、[[工業製品]]において[[材料]]が起こす成形収縮によって生じるへこみ、窪みである。主として[[射出成形]](インジェクション)などの[[金型]]を用いて作られた[[プラスチック|合成樹脂]]製品に顕著に見られる現象である。
 
== 合成樹脂のヒケ ==
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ヒケの発生を防ぐには、なるべく均等な製品設計を行い、同一製品内でもブロック状に厚みがある部分には製品の品質に影響しない形で意図的に凹部を形成する(いわゆる「肉抜き」「肉盗み」)を施すといった配慮が必要になる。また逆に、ヒケることを予め計算してその部分に厚みを持たせ、ヒケた状態で狙った形状を得るという方法もあるが、これには極めて高度な金型製作技術が要求される。
 
成形条件でヒケ発生を抑制するには、樹脂にかかる温度を可能な限り抑える手法が用いられる。樹脂温度や金型温度を低める設定が一般的である。また、ヒケ対策には樹脂の充填密度を高める手法も有効であり、このために射出圧力や背圧を強める方法も取られる。ただし、これらの手段は樹脂の分子配向や[[残留応力]]を高めたり、成形時間が長くなるなどの欠点があり、これらを織り込んだ成形条件のバランス調整が求められる。
 
== プラモデル ==
[[プラモデル]]では、金型技術が向上して薄肉で成形することが可能になったため、2014年現在ではあまり見られなくなったが、かつてのプラモデル・キットでは部品のヒケや[[バリ]]の存在は当たり前だった。綺麗な完成品を目指す場合には、模型用の[[パテ (材料)|パテ]]を用いてパーツのヒケを埋める必要があるが、このパテ自体もヒケを起こす。
 
[[エポキシパテ]]のような化学硬化性のものはさほどではないが、[[ラッカー]]系パテのように[[溶媒|溶剤]]を揮発させて硬化するパテでは、揮発した溶剤の分だけ容積が減少し、パテを充填・塗布した面がヒケてしまう。そのためパテは厚めに盛り、硬化後に余分を削り落とすと言う作業が必要になる。
 
== 鋳造でのヒケ ==
樹脂ほど顕著ではないが、金属の[[鋳造]]においてヒケは生じる。例えば[[自動車]][[内燃機関|エンジン]]部品のように分厚い金属ブロックを鋳造する際に発生するヒケは、[[鬆|ス]](製品に空気が入って予期しない空洞を形成する)と並んで注意を要する。
 
== 出典 ==
; 合成樹脂のヒケ
* 廣恵章利/本吉正信 著 『プラスチック物性入門』 日刊工業新聞社 ISBN 4-526-01573-3
 
== 関連項目 ==
* [[物性]]
 
== 外部リンク ==
; 材料
* [http://www.umgabs.co.jp/jp/solution/trouble/t_36.htm 製品トラブル ヒケ]
; プラモデル
* [http://momiage.net/5-hike.shtml ヒケのしくみとその処理]
 
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