「ヴァイオリン協奏曲 (ブラームス)」の版間の差分

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{{Portal クラシック音楽}}
[[ヨハネス・ブラームス|ブラームス]]の'''ヴァイオリン協奏曲''' ニ長調 (''Violinkonzert D-Dur'') 作品77は、[[1878年]]に作曲された[[ヴァイオリン]]と[[管弦楽]]のための[[協奏曲]]。
 
== 概要 ==
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| audio2 = [https://www.youtube.com/watch?v=yciOPN1bGA4 第2~3楽章 Adagio …]<br />ペク・ジュヤン(Baek Ju-Young)の[[ヴァイオリン|Vn]]独奏、イム・ホンジョン(林憲政)指揮富川フィルハーモニー管弦楽団による演奏。[[芸術の殿堂]]公式YouTube。
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; 第1楽章 Allegro non troppo 22分ー - 23分
: [[ニ長調]]、[[ソナタ形式]]。冒頭からゆったりとした第1主題がヴィオラ、チェロ、ファゴットにより演奏され、オーケストラが力強く提示する。オーケストラによる第2主題の提示がないまま弦楽器群が[[マズルカ]]風のリズムを力強く奏すとコデッタとなり流れるように下降して、そのまま第2提示部へ入る。独奏ヴァイオリンが情熱的な音で演奏に加わり第1主題をオーケストラと歌い交わす。オーケストラによる提示部で披露された動機が回想されるうちに独奏ヴァイオリンが優美な第2主題を奏でる。これが第1ヴァイオリン、ヴィオラに引き継がれ再びコデッタが現れ、総休止で提示部が終わる。
: 展開部はオーケストラのトゥッティによる第1主題で始まり、これまでに登場した動機を次々に活用し、入念に変形・組み合わせしてブラームスの美質を存分に味わえる。また独奏ヴァイオリンには9度、10度という幅広い音程での重音奏法が要求されている。これについてヨアヒムが「よほど大きな手でないと難しい」と修正を提案したのを拒絶している。ここではブラームスらしく弦楽器群とティンパニによる激しいトレモロと木管楽器の分散和音にのって独奏ヴァイオリンが重音奏法で演奏を続け更に音楽は力を増して再現部に入る。やはりトゥッティによる第1主題で始まり、提示部の主題を順番に再現し、オーケストラによるトゥッティで力強く締めくくってから[[カデンツァ]]となる。
: ブラームスはカデンツァを書いていないため、この協奏曲は多くのヴァイオリニストがそれぞれのカデンツァを書いており、その種類が多いことでも知られている。主なものに、初演者のヨアヒム、[[フリッツ・クライスラー]]、[[レオポルト・アウアー]]、[[アドルフ・ブッシュ]]、[[ヤッシャ・ハイフェッツ]]らのものがあるが、ヨアヒムとクライスラーのものが演奏される。カデンツァの後は第1主題に基づくコーダで独奏ヴァイオリンが静かに奏でるが、徐々に力を増しながらテンポも速まり、最後は強奏の主和音で力強く終わる。
; 第2楽章 Adagio 9分ー - 10分
: [[ヘ長調]]、[[三部形式]]。管楽器による合奏で始まり、オーボエが美しい主題を奏でる。[[パブロ・デ・サラサーテ|サラサーテ]]がこの作品の出版譜をブラームスから贈られながら、それでも演奏しない理由として「オーボエが旋律を奏でて聴衆を魅了しているというのに、自分がヴァイオリンを持ってぼんやりそれを眺めていることに我慢がならない」と語ったと言われる魅惑的な旋律である。独奏ヴァイオリンがこの旋律を引き継ぎ装飾的に奏でた後、経過句に入り中間部へ移る。中間部はヴァイオリンが憧れを切々と訴える「ヴァイオリンによる[[コロラトゥーラ]]のアリア」と評される部分である。主部に戻ると再びオーボエが旋律を歌うが、時折中間部の動機が聞こえ、平穏のうちに終わる。
; 第3楽章 Allegro giocoso,ma non troppo vivace - Poco piu presto 7分ー - 8分
: ニ長調、変則的な[[ロンドソナタ形式]]。前楽章とは打って変わってジプシー風の力強い主題で、独奏、トゥッティと何度か繰り返される。第1主題はブルッフの[[ヴァイオリン協奏曲第1番 (ブルッフ)|ヴァイオリン協奏曲第1番]]に似た3度の重音奏法の熱狂的な主題で、この楽章の重要なモチーフである。第1副主題は独奏ヴァイオリンが8度音程の重音で奏でる上行音型。続くロンド主題の後の第2副主題は2拍子と3拍子を組み合わせリズムに変化を持たせた主題。この主題を操作して行くうちやがて第1副主題が再現される。再び冒頭主題が戻ると続いて[[対位法]]的なカデンツァとなる。これにオーケストラが順次加わって行き結尾へと移る。ポコ・ピウ・プレストの[[コーダ (音楽)|コーダ]]は[[トルコ行進曲]]風のリズムをチェロが刻み、独奏ヴァイオリンが主題を変形した旋律を演奏するが、やがて管楽器が第1副主題を暗示する。最後は低弦が[[ピッツィカート]]を奏する上で独奏ヴァイオリンが主要主題による和音を静かに奏で、八分休符をはさんで力強く終わる。
 
== 外部リンク ==