「リノール酸」の版間の差分

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記事はリノール酸なのにω-6系の摂取量説明が過剰(主語がω-6となるべき文章) 「適正」が「必要」に書き換えられている 欠乏しにくいので過剰に食品にリンクする必要もないと思う
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'''リノール酸'''(リノールさん、{{lang-en-short|linoleic acid}}、数値表現 18:2(n-6)または18:2(Δ<sup>9,12</sup>))は、炭素数18の[[不飽和脂肪酸]]の1種である。9位と12位に炭素炭素間のシス型[[二重結合]]を2つ持っており、18:2(n-6) とも表記される [[ω-6脂肪酸|n-6]]系の多価不飽和脂肪酸である。分子式 C<sub>18</sub>H<sub>32</sub>O<sub>2</sub>、示性式 CH<sub>3</sub>(CH<sub>2</sub>)<sub>4</sub>(CH=CHCH<sub>2</sub>)<sub>2</sub>(CH<sub>2</sub>)<sub>6</sub>COOH。
[[File:EFA to Eicosanoids ja.svg|400px|thumb|[[必須脂肪酸]]の代謝経路と[[エイコサノイド]]の形成。]]
[[File:Essential fatty acid in oil.JPG|400px|thumb|[[食用油]]の[[必須脂肪酸]]<ref name=ndb>[http://ndb.nal.usda.gov/ USDA National Nutrient Database]</ref>。]]
'''リノール酸'''(リノールさん、{{lang-en-short|linoleic acid}}、数値表現 18:2(n-6)または18:2(Δ<sup>9,12</sup>))は、炭素数18の[[不飽和脂肪酸]]の1種である。9位と12位に炭素炭素間のシス型[[二重結合]]を2つ持っており、18:2(n-6) とも表記される [[ω-6脂肪酸|n-6]]系の多価不飽和脂肪酸である。分子式 C<sub>18</sub>H<sub>32</sub>O<sub>2</sub>、示性式 CH<sub>3</sub>(CH<sub>2</sub>)<sub>4</sub>(CH=CHCH<sub>2</sub>)<sub>2</sub>(CH<sub>2</sub>)<sub>6</sub>COOH。
 
リノール酸は、ヒトの体内で合成されないため[[必須脂肪酸]]である。植物または微生物中で、ω6位に二重結合を作る[[Δ12-脂肪酸デサチュラーゼ]] によりオレイン酸の二重結合が1個増えてリノール酸が生成される。ヒトを含めた動物はΔ12-脂肪酸デサチュラーゼを有していないので自らリノール酸を合成することができない<ref name="kinjotp1">[http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/topic1.pdf I章 最新の脂質栄養を理解するための基礎 ― ω(オメガ)バランスとは?] 『 [http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/research/topic.html 脂質栄養学の新方向とトピックス]』</ref>。
リノール (linoleic) はギリシャ語で[[亜麻]]の linon と油の oleic に由来する。油の oleic は[[オレイン酸]] (oleic acid) の由来でもある。[[栄養学]]では、摂取することが必須の[[栄養素 (栄養学)|栄養素]]である[[必須脂肪酸]]である。
 
リノール (linoleic) はギリシャ語で[[亜麻]]の linon と油の oleic に由来する。油の oleic は[[オレイン酸]] (oleic acid) の由来でもある。[[栄養学]]では、摂取することが必須の[[栄養素 (栄養学)|栄養素]]である[[必須脂肪酸]]である。
植物または微生物中で、ω6位に二重結合を作る[[Δ12-脂肪酸デサチュラーゼ]] によりオレイン酸の二重結合が1個増えてリノール酸が生成される。ヒトを含めた動物はΔ12-脂肪酸デサチュラーゼを有していないので自らリノール酸を合成することができない<ref name="kinjotp1">[http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/document/topic1.pdf I章 最新の脂質栄養を理解するための基礎 ― ω(オメガ)バランスとは?] 『 [http://www.kinjo-u.ac.jp/orc/research/topic.html 脂質栄養学の新方向とトピックス]』</ref>。
 
== 生理学 ==
[[File:EFA to Eicosanoids ja.svg|400px|thumb|[[必須脂肪酸]]の代謝経路と[[エイコサノイド]]の形成。]]
植物油に多く含まれ、特にベニバナ油([[サフラワー油]])や[[コーン油]]に多い。ヒトを含めた動物の体内ではリノール酸の不飽和化、炭素鎖の長鎖化が進行し、[[アラキドン酸]]から[[アラキドン酸カスケード]]と呼ばれる生体反応を経て[[プロスタグランジン]]などの生理活性物質の原料となるほか、細胞膜の膜脂質として多く見られる。
 
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最近の研究結果では、日常で摂取する飽和脂肪酸の一部(15%程度)をリノール酸に置き換えた場合、全死因死亡、心血管死亡、冠疾患死亡リスクが上昇する可能性が指摘されている<ref>[http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201302/529109.html リノール酸の摂取増加で死亡リスクが上昇]</ref>。
 
不飽和脂肪酸共通する性質は[[不飽和脂肪酸]]の項に詳しい。
 
== 必要摂取量 ==
2004年に国際的に脂質を評価しているISSFAL(International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids)<ref>[http://www.issfal.org.uk/ ISSFAL] '''(英語)''' (ISSFAL: International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids) </ref>は、2004年には、リノール酸の適正な摂取量は全カロリーの2%(4-5g)としている<ref>Cunnane S, Drevon CA, Harris W, et al. "Recommendations for intakes of polyunsaturated fatty acids in healthy adults" ISSFAL Newsletter 11(2), 2004, pp12-25</ref>。日本の1999年の報告では、リノール酸を2.4%(5-8g)が必要適正だとされた<ref>『第六次改定 日本人の栄養所要量―食事摂取基準』健康・栄養情報研究会編、第一出版、1999年。ISBN 9784804108940。53-54頁。</ref>。
 
リノール酸の必要量は「[[日本人の食事摂取基準]](2005年版)」で成人では、ω-6系脂肪酸は1日に7-12グラム以上とされている。[[日本人の食事摂取基準]](2010年版)では、ω-6脂肪酸について1日9g前後の摂取が適正で、摂取上限は総摂取エネルギーの10%(22-30g)としている<ref>「[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4g.pdf 脂質]」『[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html 日本人の食事摂取基準」(2010年版)]』pp77-108</ref>。
 
他方で、日本人のリノール酸摂取量は平均して13-15g/日で過剰にω-6脂肪酸を摂取しており、ω-6脂肪酸由来の過剰な生理活性物質の産生を防ぐために、代表的なω-6脂肪酸であるリノール酸摂取量を7-8g/日に制限すべきとの意見もある<ref name="kinjotp1"/>。炎症性のある[[ロイコトリエン]]や[[プロスタグランジン]]のような[[アラキドン酸カスケード]]の原料であるω-6脂肪酸(リノール酸)の摂り過ぎとそれと代謝酵素が重複しているために拮抗関係にあるω-3脂肪酸(α-リノレン酸)との摂取バランスがこわれて過敏性が増加し[[アレルギー]]が惹起されやすくなっているとの報告もある<ref>馬場實、中川武正:食物アレルギーの手引き、南江堂、1、54-55、1994</ref>。
 
*[[植物油]]の[[脂肪酸]]組成は[[植物油の一覧#植物油の脂肪酸組成]]を参照。
*[[魚介類]]100g中の主な脂肪酸については[[魚介類の脂肪酸]]を参照のこと。
*{{TL|野菜中の必須脂肪酸量}}を参照。
 
== 工業的用途 ==
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== 関連項目 ==
* [[不飽和脂肪酸]]
* [[共役リノール酸]] (CLA)
* [[リノレン酸]]
* [[必須脂肪酸]]
* [[現代病]]
 
== 外部リンク ==