「米艦コール襲撃事件」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m →‎攻撃: s/アデン湾/アデン/
本文加筆・改筆 項目名の変更 Commmonsへのリンク追加 他
1行目:
[[ファイル:INTEL-COGNITIVE-Cole.jpg|thumb|300px|コールの損傷部分]]
'''米艦コール襲撃事件'''(べいかんコールしゅうげきじけん)は、[[2000年]][[10月12日]]に発生した、国際テロ組織[[アルカーイダ]]による[[アメリカ海軍]]所属の[[アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦]]「'''[[コール (ミサイル駆逐艦)|コール]]'''」(USS '''Cole''', DDG-67)に対する[[自爆]]攻撃である
 
== 攻撃概要 ==
[[image:MV Blue Marlin carrying USS Cole.jpg|thumb|300px|コールを運搬中の[[重量物運搬船]]「ブルー・マーリン」]]
[[2000年]][[10月12日]]、[[ミサイル駆逐艦]]「[[コール (ミサイル駆逐艦)|コール]]」(艦長、カーク・リッポルド中佐(CDR,Kirk Lippold)は定時[[燃料]][[補給]]のため、[[イエメン]]の[[アデン|アデン港]]に停泊中であった。09:30に係留作業を完了し、燃料補給は10:30に開始された。現地時間11:18(08:18 [[協定世界時|UTC]])小型[[ボート]]が艦の左舷に接近し、[[自爆]]した。[[爆発]]によって左舷に12m四方12x18m亀裂破孔が生じ、艦大きく損傷した。これにより大量の浸水が発生したが[[ダメージコントロール]]の努力により、その日の晩までに機関部への浸水を食い止めることに成功したが、完全に浸水を止めるには3日間を要した。浸水を食い止めた後に[[潜水士|ダイバー]]が船体を検査したが、[[竜骨 (船)|竜骨]]の損傷は認められなかった。
'''米艦コール襲撃事件'''(べいかんコールしゅうげきじけん)は、[[2000年]][[10月12日]]に発生した[[アメリカ海軍]]の[[アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦]]「'''[[コール (ミサイル駆逐艦)|コール]]'''」(USS '''Cole''', DDG-67)に対する[[自爆]]攻撃。
 
自爆攻撃は2名の[[テロリズム|テロリスト]]、イブラヒム・アル=サウアとアブドラ・アル=ミサワによって行われ、[[ガラス繊維]][[繊維強化プラスチック|強化プラスチック]]製の小型ボートに、被害の規模から算定しされたところでは約180kgから320kgの爆薬を搭載しており、爆薬は[[成形炸薬]]として加工されていたと推定されている<ref>{{cite news| url= http://transcripts.cnn.com/TRANSCRIPTS/0010/18/bp.00.html | work=CNN | accessdate=21 Aug 2017 | title=Burden of Proof}}</ref> 。
== 攻撃 ==
[[2000年]][[10月12日]]、[[ミサイル駆逐艦]]「[[コール (ミサイル駆逐艦)|コール]]」は定時[[燃料]][[補給]]のため、[[イエメン]]の[[アデン|アデン港]]に停泊中であった。09:30に係留作業を完了し、燃料補給は10:30に開始された。現地時間11:18(08:18 [[協定世界時|UTC]])に小型[[ボート]]が艦の左舷に接近し、[[自爆]]した。[[爆発]]によって左舷に12m四方の亀裂が生じ、艦が大きく損傷した。[[ダメージコントロール]]の努力により、その日の晩までに機関部への浸水を食い止めることに成功した。[[潜水士|ダイバー]]が船体を検査したが、[[竜骨 (船)|竜骨]]の損傷は認められなかった。
 
自爆攻撃は2名の[[テロリズム|テロリスト]]、イブラヒム・アル=サウアとアブドラ・アル=ミサワによって行われた。彼らは、[[ウサーマ・ビン・ラーディン|オサマ・ビンラディン]]の率いるテロ組織、[[アルカーイダ]]のメンバーであった。アルカーイダは同年[[1月3日]]に同じアデン港で[[ミサイル駆逐艦]]「[[ザ・サリヴァンズ (ミサイル駆逐艦)|ザ・サリヴァンズ]]」を同様の自爆攻撃で[[撃沈]]する予定であったが、ボートに搭載した[[火薬|爆薬]]の量が多すぎて失敗していた。そのため、[[マレーシア]]の[[クアラルンプール]]で[[1月5日]]から極秘裏に行われたアルカーイダの最高首脳会議で改めて計画が策定された。
 
この自爆攻撃により17名の水兵が死亡し、39名が爆風で負傷した。負傷者は[[ドイツ]]の[[:en:Ramstein Air Base|ラムシュタイン空軍基地]]にある[[:en:Landstuhl Regional Medical Center|ラントシュトゥール戦域医療センター(LRMC)]]に搬送され、その後本国へ帰還した。
 
ミサイル駆逐艦「[[ドナルド・クック (ミサイル駆逐艦)|ドナルド・クック]]」(USS Donald Cook, DDG-75)およびミサイル[[フリゲート]]「[[ハウズ (フリゲート)|ハウズ]]」(USS Hawes, FFG-53)が全速力でその日の午後にアデン港に到着し、修理と[[兵站]]援助を行った。艦隊航洋曳船「[[:en:USNS Catawba (T-ATF-168)|カターバ]]」(USS Catawba, ATF-168)、[[補給艦|高速戦闘支援艦]]「[[カムデン (高速戦闘支援艦)|カムデン]]」(USS Camden, AOE-2)、[[ドック型揚陸艦]]「[[アンカレッジ (ドック型揚陸艦)|アンカレッジ]]」(USS Anchorage, LSD-36)、ドック型輸送揚陸艦「[[:en:USS Duluth (LPD-6)|ダルース]]」(USS Duluth, LPD-6)、[[強襲揚陸艦]]「[[タラワ (強襲揚陸艦)|タラワ]]」(USS Tarawa, LHA-1)が数日内にアデン港に到着し、監視交代要員の提供、港内のセキュリティ、補修設備の提供、コール乗組員のための食料、宿泊設備の提供を行った。
 
コールは、[[ノルウェー]]の[[重量物運搬船]]「ブルー・マーリン」によってアデン港から搬送された。艦は2000年[[12月24日]]に[[ミシシッピ州]][[パスカグーラ]]に到着して大規模が施され、[[2003年]]に復帰した。
17名の水兵が死亡し、39名が爆風で負傷した。負傷者は[[ドイツ]]の[[:en:Ramstein Air Base|ラムシュタイン空軍基地]]にある[[:en:Landstuhl Regional Medical Center|ラントシュトゥール戦域医療センター(LRMC)]]に搬送され、その後本国へ帰還した。
 
== 事件の影響 ==
「[[コール (ミサイル駆逐艦)|コール]]」は、[[イージスシステム]]を搭載した[[ミサイル駆逐艦]]であったが、[[自爆]]用小型[[ボート]]などの民間擬装船は、優れた[[レーダー]]を持つ大型艦にも接近攻撃が可能である事が認識され、沿海域戦闘においては、安価な[[武器]]でも高価格・高性能な艦に近寄り、大きな損害を与えうる<ref>これは"Cheap Kill"(チープキル)と名付けられた。</ref>危険性があり、[[イージス艦]]の盲点が浮き彫りにされた。この様な偽装小型ボートに対しての回避性は、高額大型な[[軍艦|艦艇]]よりも小型艦が有利である事も認められ、小型かつ低コストで量産可能な「[[沿海域戦闘艦]]」が研究され、実証試験された(詳細は、'''[[沿海域戦闘艦]]'''の項目参照)
 
この様な偽装小型ボートに対しての回避性は、高額大型な[[軍艦|艦艇]]よりも小型艦が有利である事も認められ、小型かつ低コストで量産可能な「[[沿海域戦闘艦]]」が研究され、実証試験された。
コールは、[[ノルウェー]]の[[重量物運搬船]]「ブルー・マーリン」によってアデン港から搬送された。艦は2000年[[12月24日]]に[[ミシシッピ州]][[パスカグーラ]]に到着して補修が施され、[[2003年]]に復帰した。
{{main|沿海域戦闘艦}}
 
== 事後脚注・出典 ==
<references />
「[[コール (ミサイル駆逐艦)|コール]]」は、[[イージスシステム]]を搭載した[[ミサイル駆逐艦]]であったが、[[自爆]]用小型[[ボート]]などの民間擬装船は、優れた[[レーダー]]を持つ大型艦にも接近攻撃が可能である事が認識され、沿海域戦闘においては、安価な[[武器]]でも高価格・高性能な艦に近寄り、大きな損害を与えうる(これは"Cheap Kill"(チープキル)と名付けられた)危険性があり、[[イージス艦]]の盲点が浮き彫りにされた。この様な偽装小型ボートに対しての回避性は、高額大型な[[軍艦|艦艇]]よりも小型艦が有利である事も認められ、小型かつ低コストで量産可能な「[[沿海域戦闘艦]]」が研究され、実証試験された(詳細は、'''[[沿海域戦闘艦]]'''の項目参照)。
 
== 外部リンク ==
{{commons|Category:Images_related_to_the_USS_Cole_bombing}}
* [http://www.al-bab.com/yemen/cole1.htm Detailed information and timeline]
* [http://www.defenselink.mil/releases/2000/b10202000_bt648-00.html Department of Defense Casualty release]