「紅い眼鏡/The Red Spectacles」の版間の差分

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当初は、[[声優]]の[[千葉繁]]のプロモーション・ビデオを作るという話で[[16mmフィルム]]で撮影する500万円規模の作品として[[1986年]]1月に企画されたが、徐々に話が大きくなり、[[35mmフィルム]]撮影の映画製作にまで膨らんでいた<ref name="bclub16">『B-CLUB』Vol.16、バンダイ、1987年、p.20</ref><ref name="persona">アニメージュ編集部編『ロマンアルバム イノセンス押井守の世界 PERSONA増補改訂版』2004年、徳間書店、p.114 ISBN 978-4197202294</ref>。千葉は押井が監督を務めていたアニメ『[[うる星やつら (アニメ)|うる星やつら]]』の人気キャラクター「メガネ」を演じており、製作した[[オムニバスプロモーション]]は『うる星やつら』の音響製作会社、プロデューサーの[[斯波重治]]も同社の[[音響監督]]であった<ref name="bclub16" />。本作のプロテクトギアも『うる星やつら』に登場するメガネのパワードスーツが起源である<ref>押井守『映像機械論メカフィリア』大日本絵画、2004年、p.23 ISBN 978-4499227544</ref>。
 
出演者は主演の千葉を始めとして、『うる星やつら』で共演していた声優やアニメ業界関係者<ref>漫画家の[[ゆうきまさみ]]、メカニック・デザイナーの[[出渕裕]]がエキストラで参加。</ref>が多く参加。千葉らのスケジュールを考慮し、撮影は土、日、月曜日の深夜を中心に行われたという<ref name="persona115">『ロマンアルバム イノセンス押井守の世界 PERSONA増補改訂版』p.115</ref>。スタッフも脚本の[[伊藤和典]]など『うる星やつら』の関係者が参加し<ref name="mechaphilia36">『映像機械論メカフィリア』p.36</ref>、その他には日本映画学校の学生を起用した<ref>「じんのひろあきインタビュー」『前略、押井守様。』野田真外編著、フットワーク出版、1998年、p.109</ref>。小道具もスタッフの持ち込みという自主製作映画に近い体制で(安価な小道具の調達、拾い物の活用、ロケ現場の清掃作業、撮影スケジュールに合わせたセット構築など、美術スタッフの作業は過酷を極めた<ref name="bclub11">『B-CLUB』Vol.11、バンダイ、1986年、p.67</ref>)、当初16ミリフィルム撮影で500万円から600万円の予算を予定していたがプロカメラマンを起用して35ミリフィルムで1000万円という話になり<ref>アニメージュ編集部編『ロマンアルバム イノセンス押井守の世界 PERSONA増補改訂版』2004年、徳間書店、p.114</ref>、最終的に2500万円になったものの、かなりの低予算で仕上げている。プロデューサーの斯波は自宅を[[抵当]]に入れて製作費を捻出し、出演者はノーギャラと一部で言われているが、実際にはギャラを払っている。ただしお願いして通常の出演料の半分の額だったという<ref>『まんだらけZENBU』61号、まんだらけ出版、2013年、p.221。斯波重治インタビューより。</ref>。大量の眼鏡が出るシーンがあるが、フレームを買う予算も無く全国のファンに呼びかけてフレームの寄付を募った程で、返礼に高田明美デザインの特製ステッカーが送られた。
 
事前の[[アニメ雑誌]]等での記事では、主人公が着用する特殊強化服のプロテクトギアが前面に出されて、あたかもアクション映画であるかのようであったが<ref>渡辺隆史、[[井上伸一郎]]「対談 編集長が覗いた押井守の奇妙な世界」『キネ旬ムック 押井守全仕事 増補改訂版 「うる星やつら」から「アヴァロン」まで』キネマ旬報、2001年、p.70 ISBN 978-4873765600</ref>、実際には迫力のあるアクションはプロローグのみ、後はその後日談と言う構成<ref>肝心のプロローグと本編の間は映画『[[ケルベロス-地獄の番犬]]』で描かれる。</ref>、映像はほぼモノクロ、台詞中心のストーリー構成で粗が見えないように夜間シーン中心<ref name="persona115" />という節約に勤しんだ演出となった。[[ジャン=リュック・ゴダール]]の『[[アルファヴィル]]』と[[鈴木清順]]の『[[殺しの烙印]]』、[[ウォルター・ヒル]]の『[[ウォリアーズ]]』が参考にされている<ref name="persona" />。さらにアニメ監督である押井守らしく、事前に[[絵コンテ]]を描き、それにあわせて役者が演技する形になっている<ref>『ロマンアルバム イノセンス押井守の世界 PERSONA増補改訂版』p.53</ref>。