「ヒッパソス」の版間の差分

彼については、[[ピュタゴラス|ピタゴラス]]教団について述べた記録の中に断片的な記述が残るのみである。また記述の内容も食い違っているため、彼の事績については曖昧なことが多い。しかし各史料に共通している点では、彼は[[古代ギリシャ]]時代において随一の数学の研究機関だったピタゴラス教団のメンバーであった。そして、教団の教義に反する[[無理数]]の研究に手を出したため、教団の[[リンチ]]にあって死んだ。

ピュタゴラスは、宇宙の万物は数から成り立つこと、そして宇宙を構成する数は、調和した比を保っていると信じていた。しかしある資料では、ヒッパソスは[[正方形]]の研究をしているうち、その辺と対角線の長さの比は整数でも分数でも表せない不可解な比未知の数、すなわち無理数であるらしいことを発見した。ピタゴラスと教団は教義の反証であるこの発見に動揺し、不都合な事実を隠すため、発見者のヒッパソスを処刑したのだという。

またある記述では、ヒッパソス自身は無理数の発見者ではなく、教団が無理数の存在する事実を隠蔽すると決めたとき、この決定に反発し、あくまで事実を外部に暴露しようとしたために、教団に粛清されのだたとも伝わる。

ピタゴラス教団は、規律違反者は船上から海に突き落として処刑することにしてい掟だった。ヒッパソスは教団によって[[エーゲイオニア海]]に突き落とされ、現在でもそこに眠っている。