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'''無党派'''(むとうは)は、どの[[政党]]にも属していない人や、どの政党も支持していない人のことである。[[議員|公職議員]]や[[首長]]が党派に属していない場合は主に[[無所属]]と
▲'''無党派'''(むとうは)は、どの[[政党]]にも属していない人や、どの政党も支持していない人のことである。[[議員|公職議員]]や[[首長]]が党派に属していない場合は主に[[無所属]]という。支持政党を持たない有権者層を'''無党派層'''([[日本放送協会|NHK]]では支持なし層)ともいう。
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有権者のうち支持政党を持たない層を無党派層または政党支持なし層という<ref name="kiso142">堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、142頁</ref>。
初期の投票行動の分析では、無党派層は政治的関心の薄い有権者層とされ、政治的にもほとんど重視されなかった<ref name="kiso142" />。しかし無党派層にも政治的関心が高く投票を行う者も多いことがわかってきており、無党派層の投票の行方が政治を大きく左右することもある<ref name="kiso142" />。そのため、選挙において当選するには無党派の支持を拡大することが重要といわれることもある。
[[1995年]]に[[1995年東京都知事選挙|東京都知事選挙]]と[[大阪府知事選挙]]で無所属の[[青島幸男]]と[[横山ノック]]が当選し、既成政党の候補が敗れた時、無党派が注目されるようになった。同年、「無党派」は[[新語・流行語大賞]]の年間大賞に選ばれた。▼
日本の政治学者である[[田中愛治]]は、投票行動を分析して無党派層を、そもそも政治的無関心で投票に行くことも少ない政治的無関心層、政治に関心はあるが支持政党をもたない政党拒否層、かつて支持政党をもっていた脱政党層の3つに分類している<ref name="kiso143">堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、143頁</ref>。
== 無党派拡大の背景 ==▼
== アメリカ合衆国 ==
それ以外にも、度重なる政治家の汚職や政治不信などが有権者の政治に対する無関心を増大させつつあり、低投票率の場合、近年は[[組織票]]で勝る政党が勝利するケースが多いため、選挙に行くこと自体が無意味と考える人々が多く、そのためさらに[[投票率]]が下がるという悪循環に陥ってしまう。▼
アメリカでは投票行動の分析・研究が特に発達してきた<ref name="kiso134">堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、134頁</ref>。
1950年代の世論調査をもとにした[[ミシガン大学]]での研究は投票者の政党帰属意識(政党支持態度)の観点から分析を行うもので「ミシガン・モデル」または「政党帰属意識モデル」として投票行動理論の古典的地位を占めた<ref>堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、135-136頁</ref>。ところが、1960年代中盤以降になると政党離れによる無党派層の増大や争点志向の増大により投票行動モデルの修正が必要となった<ref name="kiso136">堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、136頁</ref>。
個々人の価値観が極度に多様化していることも、特定の政党を支持しづらいことにつながっている。▼
1960年代には[[ベトナム戦争]]や人種問題といった新たな問題を背景に、候補者評価の基準に所属政党ではなく争点を挙げる有権者が増大した<ref name="kiso136" />。このような投票行動をもとにした投票モデルは争点投票モデルと呼ばれる<ref name="kiso136" />。
1970年代になりベトナム戦争などが主要な政策上の争点から外れると争点投票モデルの有効性も低下し<ref name="kiso136" />、かわって政権の業績に対するラフな評価が投票行動に影響しているとみる業績投票モデルが登場した<ref name="kiso137">堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、137頁</ref>。この業績評価モデルは政党帰属意識モデルと対立するものではなく、政党帰属意識モデルに業績評価の観点を組み込んだ投票行動モデルである<ref name="kiso137" />。
== 日本 ==
日本では無党派層は1960年代後半までは有権者の1割程度であった<ref name="kiso142" />。その後、1970年代から1990年代初めにかけて無党派層は有権者の2割から3割程度となったものの政党支持層に比べると少数派であった<ref name="kiso142" />。
しかし、1990年代に無党派層は急増し、1990年代中頃には無党派層が有権者の半数前後を占めるようになった<ref name="kiso142" />。
▲[[1995年]]に[[1995年東京都知事選挙|東京都知事選挙]]と[[大阪府知事選挙]]で無所属の[[青島幸男]]と[[横山ノック]]が当選し、既成政党の候補が敗れた時、無党派が注目されるようになった。同年、「無党派」は[[新語・流行語大賞]]の年間大賞に選ばれた。
1990年代の無党派層の増大は、国際的には冷戦構造の終焉、国内的には五十五年体制の崩壊後の政党の分裂と新党の結成などによる有権者の認知的不協和が原因にあるとされている<ref name="kiso138">堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、138頁</ref>
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▲個々人の価値観が極度に多様化していることも、特定の政党を支持しづらいことにつながっている。
1990年代に増大した無党派層は必ずしもすべてが政治的関心が低い層というわけではなく、政治的関心をもち投票へ行く有権者層もあることから無党派層の投票の行方が政治を大きく左右することもある<ref name="kiso142" />。
2000年衆院選の前、無党派層が野党民主党に多く投票すると予想されていたため、当時の総理[[森喜朗]]は「無党派層は寝ていてくれれば」と発言した。<ref>[http://www.nikkei.co.jp/topic3/elecnews/archive/20000620diii210020.html 首相「無党派は寝ていてくれれば・その後記者団に訂正」]2000年6月20日NIKKEI NET選挙ニュース、2015年12月31日閲覧。</ref>▼
2005年の[[第44回衆議院議員総選挙]]での自民党の大勝は無党派層の投票動向が選挙結果に大きく影響した事例と考えられている<ref>堀江湛 編『政治学・行政学の基礎知識 第2版』一藝社、2007年、142-143頁</ref>。
=== 無党派
無党派層の投票行動を分析する場合、棄権、政党候補への投票、無所属候補への投票が考えられる<ref name="kiso143" />。
▲2000年衆院選の前、無党派層が野党民主党に多く投票すると予想されていたため、当時の総理[[森喜朗]]は「無党派層は寝ていてくれれば」と発言した。<ref>[http://www.nikkei.co.jp/topic3/elecnews/archive/20000620diii210020.html 首相「無党派は寝ていてくれれば・その後記者団に訂正」]2000年6月20日NIKKEI NET選挙ニュース、2015年12月31日閲覧。</ref>
既存政党にマイナスのイメージを持っている有権者に対しては無所属候補が有利となり、政党の支持を受けている候補者も政党色を抑えた選挙活動を行うことがある。
また、消極的無党派層を取り込むための策として、[[タレント政治家|タレント候補]]を立てることがある。多くは[[比例代表制]][[非拘束名簿式]]の候補者名簿に置かれ、そのファンなどの票に期待するものである。
== 関連書籍 ==
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