「サードの定理」の版間の差分

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これは、直感的に言えば、集合 ''X'' が大きな集合であっても、その像はルベーグ測度の意味で大変小さいということである。''f'' には、[[定義域]] '''R'''<sup>''n''</sup>上の「[[臨界点]]」はたくさん存在するのかもしれないが、[[終域]] '''R'''<sup>''m''</sup> 上の「[[臨界値]]」は少数しか存在しないということである。
 
そして一般に、上記の内容は ''m'' 次元の[[第二可算的空間|第二可算]]な[[多様体#.E5.BE.AE.E5.88.86.E5.8F.AF.E8.83.BD.E5.A4.9A.E6.A7.98.E4.BD.93|微分可能多様体]] ''M'' から ''n'' 次元の第二可算な微分可能多様体 ''N'' への写像について成り立つ。ただし、''C''<sup>''k''</sup> 級関数 ''f'' : ''N'' → ''M'' の臨界点とは、点 ''x'' における ''f'' の微分 d''f'' : ''TN'' → ''TM'' の線形変換としての階数が ''m'' より真に小さいような点 ''x'' のことである。このような点 ''x'' 全体の集合を ''X'' とするとき、サードの定理によれば、k ≧ max { ''n'' - ''m'' + 1, 1 } のとき ''X'' の ''f'' による像が ''M'' の部分集合として測度 0 であるというのである。
 
このことは、ユークリッド空間についてのサードの定理をもとに、多様体に[[可算集合|可算個]]の[[多様体#.E5.B1.80.E6.89.80.E5.BA.A7.E6.A8.99局所座標系|局所座標空間]]の貼りあわせを考えることによって導かれる。なぜならば、「測度 0 の集合の可算個の和集合は測度 0 である」ことと、局所座標空間の部分集合について「測度 0 であるという性質は、[[位相同型#.E4.BD.8D.E7.9B.B8.E7.A9.BA.E9.96.93.E8.AB.96.E3.81.AB.E3.81.8A.E3.81.91.E3.82.8B.E5.90.8C.E5.80.A4.E9.96.A2.E4.BF.82位相空間論における同値関係|微分同相]]によっても変わらない」ということから、それぞれの[[多様体#.E5.B1.80.E6.89.80.E5.BA.A7.E6.A8.99|局所座標]]において議論すればすむからである。
 
== 定理の他の形 ==
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本定理は、高度な解析学を用いて証明される強力な定理である。[[位相幾何学]]においては、(たとえば、[[ブラウワーの不動点定理]]や諸々の[[モース理論]]の応用において)本定理の系である「定数写像でない滑らかな写像は少なくとも 1 つの正則な値をとる」、あるいは「――したがって、少なくとも 1 つの正則点がある」という定理を導くためにたびたび使われている。
 
1965年に、本定理はサードによってさらに一般化された。それによると、''f'' : ''M'' → ''N'' が ''C''<sup>''k''</sup> 級で、''k'' ≧ max { ''n'' - ''m'' + 1, 1 } であるとし、''M'' 上の点 ''x'' であって d''f''<sub>''x''</sub> の階数が ''r'' 以下であるような点 ''x'' 全体の集合を''A''<sub>''r''</sub>とするとき、''f'' ( ''A''<sub>''r'' </sub>) の[[次元 (数学)#.E3.83.8F.E3.82.A6.E3.82.B9.E3.83.89.E3.83.AB.E3.83.95.E6.AC.A1.E5.85.83ハウスドルフ次元|ハウスドルフ次元]]は ''r'' 以下であるというのである。