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'''サブリース'''(sublease)とは[[賃貸借#転貸借、賃借権の譲渡|又貸し、転貸]]のことである。[[不動産賃貸業|不動産賃貸]]においては'''転貸を目的とした一括借上'''(いっかつかりあげ)のことをサブリースと言うことが多い。'''近年、訴訟が多発するなど社会問題となっ取り上げられることが多々あ'''
 
== 概要 ==
サブリースとは物件を一括賃借し(マスターリースともいう)、それを分割またはそのままの規模で第三者に転貸する事業形態である。物件の所有者が運用ノウハウ、運用体制をもたない場合などに、サブリーサーにフィーを支払って運営代行を委託し、サブリーサーは自社の持つノウハウ、人員を用いて物件を円滑に運営する。'''長期的に家主の利益を保証する契約ではないため十分な注意が必要である'''。
 
== 一括借上 ==
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== 問題点 ==
*賃料は長期間一定ではない、にも関わらず数十年一定の賃料を保証するかのように勧誘されている場合が多々ある
*サブリース会社が借地借家法による保護を受ける。
*借地借家法の強行法規性により賃料減額請求を排除する契約は無効である。すなわち法的には「家賃3035年保証」や「契約10年更新」などの契約をサブリース会社は基本的に守る必要はなくいつでも減額請求を行う事ができる。
*訴訟になっているケースでは「家賃35年保証、契約10年更新」であったが建築から数年で家賃減額された事例が存在する。
*サブリース会社と家主の間に宅建業法は適用されない。
*オーナーが賃料減額に応じない場合にサブリース会社から契約解除を迫られる事がある。
*借地借家法により家主からサブリース契約を解除することは困難であるが、サブリース会社から契約を解除することは比較的たやすい。
*家主側から契約を中途解約すると高額な違約金を請求される場合がある。
*サブリース会社と家主の間に宅建業法は適用されない。
*サブリース契約を解除する場合はローンを全額借り換えねばならない場合がある。
*サブリースの条件として不動産会社が指定した建物を指定した業者が建設する場合がほとんどある。指定した建設業者が建設する場合には、サブリース会社はオーナーからの支払われる建設費とサブリース会社が建設業者に支払う建設費の差額で儲けるため、建設会社に出来る限り安く建物を作らせオーナーに出来る限り高く売る場合がある。
*大手専業会社も「一括借上げ方式」の管理では利益をあまり上げておらず利益の80%は建物の建築で稼いでいる(上場会社のセグメント情報で実態が判る)。このためサブリースを行って長期的に利益を確保するのではなく、家賃保証をセールストークに建物を建てさせることが目的となっている。
*建物管理、修繕などについて不動産会社が指定した割高な業者、仕様となる場合がある。
*修繕費が賃料から差し引かれているのに当初契約した修繕サービスが守られていない場合がある。
*敷金・礼金・更新料・修繕費などを家主が受け取れない場合がある。
*不動産会社は住居需要がなくマンション経営が成り立たない場所にまで営業を行っている。
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*家賃保証の場合は、実家賃(実際入居者が支払う家賃)と転貸家賃(オーナーから一括借上げる家賃)の差額(保証料)は10〜20%であるが、転貸開始後数年で家賃を下げるケースが発生している。このためオーナーと借上げ会社との見直しでトラブルが多発しているがオーナー側が譲歩せざるを得ない場合が多い。
*「長期一括借上げ方式」のアパート専業会社が大きい利益を上げたため、他のハウスメーカーや建設会社などが一斉にこれに参入し人口減少の中でアパートの乱立し既存のアパートの空室率は年々高くなり地方の物件は空室50%以上も珍しくない。
*建物が竣工して引き渡された当初の2 - 3か月間は家賃収入が不安定であることから募集期間とされ、この期間内はオーナーに対して保証賃料が支払われない(免責期間)場合がある
*不動産会社の中では「家賃30年保証」など賃料が長期にわたり固定されると謳われている場合があるが、周辺環境、経済環境の変化などを理由として不動産会社、オーナー双方、賃料の減額、増額を要求することができる([[b:借地借家法第32条|借地借家法32条]]1項に定められており、最高裁判例<ref>平成12(受)123 建物賃料改定請求事件 {{Cite web |url=http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62463 |title=裁判例情報 |publisher=最高裁判所 |accessdate=2016-08-14}}</ref>でも示されているものの、現実的には値上げ、値下げともによほど大規模の物件でない限り裁判の費用対効果を考慮すると双方にメリットが無く、貸主、借主協議の上で据え置きとなるケースも多い)。
*オーナー側から中途解約すると全室空室にして契約解除を行われる場合がある。これはサブリース会社は最終的な借り手の個人情報を知っているがオーナーは知らないためである。
*サブリース会社が破綻した場合、契約も反故になる。
*サービス付き高齢者向け住宅など介護施設においてもサブリースが増えている。破綻したサブリース会社もあり、その場合に通常の賃貸物件よりも深刻な問題を引き起こしている。
*建築後に賃料減額を受け入れた結果、建物建築維持の借入金・ローンが払いきれず最終的に土地建物を手放す事例も出てきている。事例のなかには資産を全て処分したが借金だけが残っている例も存在している。
*資産を全て処分しても借入金を返せなくなった場合に保証人が債務返済を迫られるが、高齢者の親が相続税対策として行っており保証人である子が多大な借金の返済を迫られる事がある。
 
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さらに2015年10月には「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」を設置し<ref>{{Cite web |url=http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000113.html |title=賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会 |publisher=国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 |accessdate=2016-08-14}}</ref>、そこで取りまとめられた対応策をもとに2016年8月12日に「賃貸住宅管理業者登録規程」および「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正を行った<ref>{{Cite web |date=2016-08-12 |url=http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000136.html |title=「賃貸住宅管理業者登録規程」及び「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正 〜制度創設5年を迎え賃貸住宅管理業務の適正化を一層促進〜 |publisher=国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課 |accessdate=2016-08-14}}</ref>。この改正により、サブリース業者による大家への重要事項の説明および契約成立時の書面交付が義務化され、これに違反した場合は業者名を公表するといった措置がとられることとなった<ref name="asahi160811" />。
 
== 国会 ==
* 2013年4月15日の衆議院予算委員会においてサブリース被害への質疑応答が行われている。
* 2017年2月22日の衆議院予算委員会においてサブリース物件への供給過剰と金融機関による融資について質疑応答が行われている。
* 2017年5月10日の衆議院財務金融委員会においてサブリース事業のトラブルへの対策強化を求められている。
* 2017年5月24日の衆議院国土交通委員会においてサブリース会社への法制化を含めた規制を求められている。
 
== 脚注 ==