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== 歴史 ==
* [[1959年]] - [[ユニオン・カーバイド]]の子会社[[ナショナル・カーボン]]が、[[レーヨン]]から[[黒鉛]]にする世界初の炭素繊維を発明した。現在、このレーヨン系は廃れている<ref>{{Cite book |和書|author=志村幸雄 |title=誰が本当の発明者か : 発明をめぐる栄光と挫折の物語 |publisher=講談社 |series=ブルーバックス, B-1525 |date=2006-08 |isbn=4062575256 }}</ref>。
* [[1961年]] - 通商産業省工業技術院大阪工業試験所(現[[産業技術総合研究所]])の[[進藤昭男]]によりPAN系炭素繊維が発明される<ref>{{PDFlink|[http://www.carbonfiber.gr.jp/pdf/23th_seminar_PAN.pdf 立林 康巨「PAN系炭素繊維の現状と将来」炭素繊維協会第23回複合材料セミナー資料(PDFファイル)]}}、2010年6月29日掲載、2011年10月17日閲覧</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.carbonfiber.gr.jp/jigyo/rekisi.pdf 「PAN系各社の炭素繊維開発の歴史」(PDFファイル)]}}[[炭素繊維協会]]、2010年6月29日掲載、2011年10月18日閲覧</ref><ref group="注釈">特許出願(特願昭34-028287号、特公昭37-004405号)は1959年9月にさかのぼるが、論文により公知となった1961年が発明年として紹介されることが多い</ref>。
* [[1963年]] - [[群馬大学]]の[[大谷杉郎]]によりピッチ系炭素繊維が発明される<ref name="協会24ピッチ">{{PDFlink|[http://www.carbonfiber.gr.jp/pdf/24th_seminar_Pitch.pdf 深川 敏弘「ピッチ系炭素繊維の現状と将来」(PDFファイル)]}}、炭素繊維協会第24回複合材料セミナー資料、2011年8月21日掲載、2011年10月18日閲覧。</ref>。
* [[1970年代]]以降 - 優れた強度を持つ特性から、強化[[合成樹脂|プラスチック]]の補強材や[[複合材料]]の素材として使われ始めるようになる。
* [[1980年代]]以降 - 製造コストの低減や加工方法の進歩が見られ、[[ロケット]]や[[航空機]]などの大型[[輸送]]機器から[[テニスラケット]]や[[釣り竿]]、[[白杖]]など身近な道具、さらには[[剣道]]の[[竹刀]]や[[弓道]]の[[和弓|弓]]など、[[武道]]の分野にまで応用の幅を広げた。
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== PAN系炭素繊維 ==
PAN系炭素繊維の単繊維は太さは5-7μm7[[マイクロメートル|μm]]である。この多数の単繊維で構成された繊維束を'''フィラメント'''と呼び、さらに1,000本から数万本のフィラメントの束を'''トウ'''と呼ぶ。このトウがPAN系炭素繊維の製品形態としてもっともよく扱われている。
 
トウは、そのフィラメントの本数の多寡により区分されており、24,000本以下で'''レギュラートウ'''あるいは'''スモールトウ'''、40,000本以上で'''ラージトウ'''と呼ばれる。レギュラートウは低密度、高比強度、高比弾性率で、[[航空機]]や[[人工衛星]]の材料や、[[ゴルフ]]用シャフト、[[釣り竿]]、[[テニスラケット]]といったスポーツ・レジャー用途で多く使われている。一方のラージトウは、レギュラートウに比較的して安価なため、[[風車]]や[[自動車]]などの材料など産業用として主に利用されている。
 
PAN系炭素繊維の[[2010年]]の全世界生産量は、レギュラートウが55,300トン、ラージトウが14,800トンで合計70,100トンと推計されている<ref name="IADF">{{PDFlink|[http://www.iadf.or.jp/8361/LIBRARY/MEDIA/H19_dokojyoho/H19-2.pdf 「航空機材料としての炭素繊維適用の動向について」(PDFファイル)]}}、(財)航空機国際共同開発基金、航空機等に関する解説概要、2007年度掲載、2011年10月18日閲覧</ref><ref>[http://www.carbonfiber.gr.jp/faq/faq.html FAQ]、炭素繊維協会、2011年10月18日閲覧</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.carbonfiber.gr.jp/pdf/24th_seminar_PAN.pdf 河村 雅彦「PAN系炭素繊維の現状と将来」(PDFファイル)]}} 、炭素繊維協会第24回複合材料セミナー資料、2011年8月21日掲載、2011年10月18日閲覧</ref>。
 
=== PAN系炭素繊維の製造方法 ===
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# 耐炎化工程:[[空気|空気中]]で200-350℃で数時間<ref name="ギズモード"/>[[熱処理]]する。この工程は不融化、安定化とも言う。
# 炭素化工程:[[窒素]]などの[[不活性気体|不活性ガス]]雰囲気下1,000-1,500℃で加熱する。
# 黒鉛化工程:窒素などの不活性ガス雰囲気下2,000-3,000℃で加熱する。この工程で強度は若干低下する<ref>村上 陽太郎「{{PDFlink|[http://www.ostec.or.jp/TOP/37.pdf 炭素繊維の製法、構造及び性質]}}」(財)大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンター、NMCニュース2005年4月号、No.37-[http://www.ostec.or.jp/nmc/TOP/37.pdf PDFファイル]、2011年10月18日閲覧</ref> が、高弾性の炭素繊維を製造できる。高弾性を目的としない汎用の炭素繊維の製造では含まれない工程である。黒鉛化工程を経た炭素繊維を'''黒鉛繊維'''と呼び、汎用の炭素繊維と区別する場合もある。
# 表面処理工程
# サイジング処理工程
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== 出典 ==
{{Reflist|2}}
 
== 関連項目 ==
* [[カーボンナノチューブ]]
* [[酸化アルミニウム]]
* [[炭素繊維協会]]
 
== 外部リンク ==
* [http://www.carbonfiber.gr.jp/ 炭素繊維協会]
 
{{Normdaten}}
{{炭素の同素体}}
 
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[[Category:化学繊維]]
[[Category:不織布]]
[[Category:1970年代]]