「ヴィシュヌ」の版間の差分

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中世インドの学者{{仮リンク|メーダーティティ|en|Medhātithi}}は「浸透する」という意味の「ヴィシュ」(viś)にヴィシュヌの語源を求めている。すなわち「ヴィシュヌ」は「どこにでも存在し、全ての中に存在する者」という意味を含むとする<ref name="Klostermaier2000p84">{{Cite book|author=Klaus K. Klostermaier|title=Hinduism: A Short History|url=https://books.google.com/books?id=l3LXAAAAMAAJ|year=2000|publisher=Oneworld|isbn=978-1-85168-213-3|pages=83–84}}</ref>。
 
=== 特徴 ===
[[比較神話学]]者[[ジョゼフ・キャンベル]]の『千の顔をもつ英雄』で、ヴィシュヌが扱われている{{sfn|キャンベル|2004|p=49}}。ヴィシュヌについてアルジュナの言葉では、「あなたの終わりも中間も、また始まりもわたしはみとめない」{{sfn|キャンベル|2004|p=49}}。「あなたは全[[世界]]をあまねく貪りつつ、燃えたつ[[口]]で舐めわたす」{{sfn|キャンベル|2004|pp=51-52}}。
 
ヴィシュヌの描写は次のようにある。
{{quotation|幾多の[[顔]]と[[眼]]とをもち、さまざまな[[この世]]のものとも思えぬ姿をあらわし、多くの神々しい[[装飾]]で飾りたて、多くの神々しい[[武器]]を携え、素晴らしい[[花冠]]と[[衣服]]を身にまとい、聖なる[[香料]]を塗り、あらゆる奇瑞よりなり、眩くも無際限の、あらゆる方角にさまざまな容顔をさらす神 … 神々のなかの[[最高神]]のみ姿のなかに、多様に分かたれた全世界がただ一つのものに収められているのを、アルジュナはそのときそこでみたのであった。{{sfn|キャンベル|2004|p=50}}}}
 
ヴィシュヌ自身の言葉はこうある。
{{quotation|わたしは[[力]]であり、この世を滅ぼす「[[時間]]」である。ここに集まる者どもを殺さんがためにここに出現した。たとえ汝がいなくとも、敵陣に並び立つ[[戦士]]らはみな生きつづけはしないだろう。 … わたしによってすでに殺された、[[ドローナ]]、[[ビーシュマ]]、[[ジャドラタ]]、[[カルナ]]、またその他の[[勇士]]たちを殺せ。これらの者どもはすでにわたしが殺し終えている者どもである。{{sfn|キャンベル|2004|p=52}}}}
 
==聖典==
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{{Main|{{仮リンク|ヴィシュヌ・サハスラナーマ|en|Vishnu sahasranama}}}}
ヴィシュヌの多くの名前と信奉者がヴィシュヌ・サハスラナーマ{{Refn|group"注"|ヴィシュヌの1000の名前の意。サハスラナーマは聖典の1つの形、ジャンル。}}に集められている。有名なものはマハーバーラタに収められているもので、[[ビーシュマ]]は[[クルクシェートラ]]の戦場にて、クリシュナの前でこれを暗唱し、ヴィシュヌを最高神として称える。
 
比較神話学者ジョゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』では、次の例が挙げられている{{sfn|キャンベル|2004|p=49}}。
{{Columns-list|colwidth=15em|
* 宇宙神
* [[それ]]
* 神としての姿
* [[ヨーガ]]の主
* [[不滅]]
* [[超自然]]的であり、とりどりの色や形をもつさまざまの姿
* すべての神の群れと[[天使]]の群れ
* いまだかつてみたことのない、多くの奇瑞
* 統一されている、動と不動の全世界
* あなたがみたいと願う、他の〔いかなる〕もの{{sfn|キャンベル|2004|p=49}}
* 世界の主
* 至高の形姿
* 偉大な[[一者]]
* [[主]]
* 生きとし生けるものの群れ
* 蓮華の座にある主たる[[梵天]]([[ブラフマー]])
* すべての[[聖仙]]
* 聖なる[[竜王]]たち
* 無数の[[腕]]
* 無数の[[腹]]
* 無数の[[顔]]
* 無数の[[眼]]
* 一切方に[[無限]]の形姿をしめすあなた
* 全世界の主
* あらゆる形をもつ者
* あらゆる方向に光輝を放つ凝視しがたいあなた
* はかり知ることのできないあなた
* この世の至高の安息所
* 恒久的[[正義]]の不滅な[[守護]]者
* [[永遠]]の霊我
* 王子の[[御者]]{{sfn|キャンベル|2004|p=50}}
* 眉目麗しき神
* [[友]]
* 数知れぬ恐ろしい口
* 天までとどき、さらには多彩に輝く燃えさかる姿
* [[世界終末|世界終滅]]時の火にも似た恐ろしげな[[牙]]をもつあなた
* 神々の主{{sfn|キャンベル|2004|p=51}}
* かくも恐ろしい形姿をまとうあなた
* 神々のなかの最高の者
* 太初
* [[力]]
* [[時間]]
* 神々のはじめ
* 太初の魂
* 宇宙の至高の安息所
* 知るもの
* 知られるべきもの
* 最後の目的地
* 無限の形姿をもつ者
* [[風神]]
* [[死神]]
* [[火神]]
* [[月]]
* [[水神]]
* 最初の[[人間]]
* 太祖(ブラフマー){{sfn|キャンベル|2004|p=52}}
* 千臂をもつ者
* 普遍
* 無限
* いまだ汝のみたことのないわたしの姿
* 宇宙の光り輝く真髄{{sfn|キャンベル|2004|p=53}}
* 宇宙[[男]]
* 宇宙[[鷲]]
* 宇宙[[樹]]
* 宇宙[[蟷螂]]{{sfn|キャンベル|2004|p=54}}}}
 
==シク教==
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===参考文献===
<!--Wikipediaのガイドライン:「これはウィキペディア日本語版なので、わたしたちの読者に便利なように、日本語の情報源はできるだけ提供されるべきであり、外国語の情報源より常に優先して使われるべきです」。詳細については「Wikipedia:信頼できる情報源#日本語以外の言語で書かれた情報源」へ-->
{{Refbegin|30em}}
*{{Cite journal| last=Brown| first=C. Mackenzie|year=1983| title=The Origin and Transmission of the Two "Bhāgavata Purāṇas": A Canonical and Theological Dilemma| journal=Journal of the American Academy of Religion| publisher=Oxford University Press| volume=51 | issue=4| pages=551–567| jstor=1462581| doi=10.1093/jaarel/li.4.551 |ref=harv}}
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*{{Cite journal|doi=10.1353/pew.2002.0005|last=Sheth|first=Noel| year= 2002| title=Hindu Avatāra and Christian Incarnation: A Comparison| journal=Philosophy East and West| publisher={{仮リンク|University of Hawai'i Press|en|University of Hawai'i Press}}| volume=52| issue=1 (January)|pages=98–125 |jstor = 1400135 |ref=harv}}
*{{Cite book| last=Varadpande| first= Manohar Laxman|title=History of Indian theatre | publisher=Abhinav Publications| year=1987| isbn=81-7017-221-7| volume = vol. 3| url=https://books.google.com/?id=SyxOHOCVcVkC |ref=harv}}
*{{Cite book|和書| last=キャンベル| first= ジョゼフ|title=千の顔をもつ英雄 | publisher=人文書院| year=2004|edition=オンデマンド版第一刷| isbn=978-4409590096| volume = 下||ref=harv}}
{{Refend}}