=== 連母音融合 ===
母音(a, i, u, e, o)が連続する部分を連母音という。薩隅方言では連母音が現れると、その部分が融合し母音の短音に変化する場合がある。薩隅方言では原則として長音は短音化する。以下は同方言における連母音融合の主なパターン。
*[/ai] [/,/ae]/ →> [/e]/
**長い(nagai) /nagai/ → ナゲ(nage) /nage/
**具合(guai) /guai/ → グエ(gue) /gue/
**橙(daidai) /daidai/ → デデ(dede) /dede/
**蝿(hae) /hae/ → ヘ(he) /he/
**考えた(kangaeta) /ka{{smallcaps|n}}gaeta/ → カンゲタ(kangeta) /ka{{smallcaps|n}}geta/{{#tag:ref|薩隅方言 『カンゲタ』 ・ 『ソレタ』 の現在形はそれぞれ 『カングッ』 ・ 『ソルッ』 ( /考える・揃える)/ 。薩隅方言において、ア行下一段活用動詞の活用は前出と同じように変化するケースが多い。例 : キグッ・キゲタ( /着替える・着替えた)/、ソヌッ・ソネタ( /供える・供えた)/、カンズッ・カンゼタ( /数える・数えた)/、オンブッ・オンベタ( /覚える・覚えた)/|group="注"|name="doushi-katsuyou"}} .... etc
*[/oi]/, [/oe]/ →> [/e]/
**太い(futoi) /futoi/ → フテ(fute) /fute/
**匂い(nioi) /nioi/ → ニエ(nie) /nie/
**揃えた(soroeta) /soroeta/ → ソレタ(soreta) /soreta/<ref group="注" name="doushi-katsuyou"/>
**添え物(soemono) /soemono/ → セモン(semon) /semon/ .... etc
*[/ui]/ →> [/i]/
**軽い(karui) /karui/ → カリ(kari) /kari/
**雑炊(zousui) /zo{{smallcaps|r}}sui/ → ズシ(zushi) /zusi/
**縫い物(nuimono) /nuimono/ → ニモン(nimon) /nimon/ .... etc
[[固有名詞]]について母音の短音化が行われる例は少ない。ただ、高齢層においては「生産物名」「地名」「歴史上の人物の名前」など、「生活において使用が一般化されている固有名詞」を短母音化させる人も多い(例:西郷隆盛→「さいごうさん/さいごうさま」→「セゴドン/セゴサァ」)。一般人の人名については高齢者でも短母音化させる傾向は少ない。そのため「使用頻度の多い音節に対して、[[アーティキュレーション (発声法)|滑舌]]の使用頻度を下げ、疲労を軽減させ発語の速度を上げるための変化」とも言える。
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