「闇の奥」の版間の差分

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[[File:Houghton EC9 C7638 902y (A) - Conrad, Heart of Darkness 1.jpg|thumb|"Heart of Darkness" in ''Youth:A Narrative'', 1902]]
{{Portal|文学}}
『'''闇の奥'''』(やみのおく、''Heart Of Darkness''、[[1902年]][[出版]])は[[イギリス]][[小説家]]、[[ジョゼフ・コンラッド]]( Joseph Conrad, [[1857年|1857]] - [[1924年]])の代表作。西洋[[植民地主義]]の暗い側面を描写したこの[[小説]]は、英国[[船員]]時代に[[コンゴ川]]で得た経験を元に書かれ、[[1899年]]に発表された。[[ランダム・ハウス]]、モダン・ライブラリーが選んだ「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」に選出されている。闇の奥というタイトルはアフリカ奥地の闇でもあるが、人間の心の闇、[[西欧文明]]の闇をも含意していると考えられる。
 
この作品の舞台であるコンゴ川一帯には[[ベルギー]]国王[[レオポルド2世 (ベルギー王)|レオポルド2世]]<ref>
[[マーク・トウェイン]]「レオポルド王の独白 彼のコンゴ統治についての自己弁護」(日本語訳に[[佐藤喬]]訳・1968年(昭和43年)[[理論社]]が文学作品として有名。</ref>の「私有地」であった[[コンゴ自由国]](後に[[ベルギー領コンゴ]])が存在し、同地住民に対する苛烈な搾取政策をった事からことで欧州各国から国際的非難が叫ばれていた(同国参照)
 
== あらすじ ==
ある日の夕暮、船乗りのマーロウが、船上で仲間たちに若い頃の体験を語り始める。
 
マーロウは、各国を回った後、[[ロンドン]]に戻ってぶらぶらしていたが、いまだ訪れたことのない[[アフリカ]]に行くことを思い立ち、親戚の伝手で[[フランス]]の貿易会社に入社した。ちょうど船長の1人が現地人に殺され、欠員ができたためだった。マーロウは、船で出発し、30日以上かかってアフリカの出張所に着いた。そこでは、黒人が[[象牙]]を持ち込んで来ると、木綿屑やガラス玉などと交換していた。またマーロウは、[[]]につながれた[[奴隷]]を見た。ここで10日ほど待つ間に、奥地にいるクルツ(Kurtz)<ref>英語読みでカーツ</ref>という代理人の噂を聞く。クルツは、奥地から大量の象牙を送ってくる優秀な人物で、将来は会社の幹部になるだろうということだった。マーロウは、到着した隊商とともに、200[[マイル]]先の中央出張所を目指して出発し、[[ジャングル]][[草原]]、岩山などを通って、15日目に目的地に着いた。
 
中央出張所の支配人から、上流にいるクルツが[[病気]]らしいと聞いた。[[蒸気船]]が故障しており、修理まで空しく日を送る間に、再びクルツの噂を聞く。クルツは、象牙を乗せて奥地から中央出張所へ向かってきたが、荷物を助手に任せ、途中から1人だけ船で奥地に戻ってしまったという。マーロウは、本部の指示に背いて1人で奥地へ向かう孤独な白人の姿が目に浮かび、興味を抱いた。
 
ようやく蒸気船が直り、マーロウは支配人、使用人4人(「巡礼」)、現地の船員とともに川([[コンゴ川]])を遡行していった。クルツの居場所に近づいたとき、突然矢が雨のように降り注いできた。銃で応戦していた舵手のもとへ長い槍が飛んできて、腹を刺された舵手はやがて死んだ。
 
奥地の出張所に着いてみると、25歳の[[ロシア人]]青年がいた。青年は、クルツの崇拝者だった。青年から、クルツが現地人から神のように思われていたこと、手下を引き連れて象牙を略奪していたことなどを聞き出した。一行は、病気のクルツを担架で運び出し、船に乗せた。やがてクルツは、"The horror! The horror!"<ref>中野訳「地獄だ! 地獄だ!」、黒原訳「怖ろしい! 怖ろしい!」</ref>という言葉を残して息絶えた。
 
== 影響 ==
[[T.S.エリオット]]は詩『[[荒地 (詩)|荒地]]』The Waste Landの初稿で、エピグラフに『闇の奥』の一節 "The horror! The horror!" を引用していたが、[[エズラ・パウンド]]の助言により、別の文に差し替えた。詩『[[虚ろな人々]]』The Hollow Menでは "Mistah Kurtz--he dead." の一節を引用している。
 
[[村上春樹]]の『[[羊をめぐる冒険]]』『[[1Q84]]』などに『闇の奥』の影響が指摘されている<ref>光文社古典新訳文庫版、解説</ref>。
 
=== 映像化 ===
[[オーソン・ウェルズ]]はラジオ・ドラマとして放送。また、映画初監督作として準備していたが、資金調達できなかった。(ウェルズは『[[市民ケーン]]』を作って[[ハリウッド]]では異端とみなされる事になる。)
 
[[1979年]]に[[映画監督]][[フランシス・フォード・コッポラ]]によって「翻案」され、『[[地獄の黙示録]]』として映画化された。ただし、舞台背景は[[ベトナム戦争]]に変更されている。この中にエリオットの『虚ろな人々』の引用がある。<!--また、[[2005年]]の[[映画]]『[[キング・コング (2005年の映画)|キング・コング]]』にもこの本への言及があるらしい。-->
 
[[1994年]]のテレビドラマ『真・地獄の黙示録』は原作に沿った映像化である。監督は[[ニコラス・ローグ]]で、マーロウを[[ティム・ロス]]、クルツを[[ジョン・マルコヴィッチ]]が演じ、原住民女性役で[[イマン・アブドゥルマジド|イマン]]が出演した。
 
=== 劇画化 ===
[[2000年]]に[[滝沢聖峰]]が『'''HEART OF DARKNESS'''』のタイトルで劇画化、『[[月刊モデルグラフィックス]]2000年9月号から2001年7月号まで連載された。舞台背景は[[第二次世界大戦]]末期の[[ビルマ]]に変更され、部隊ごと任務を放棄しジャングルの奥にこもる日本軍の大佐に、[[関東軍]]の[[特務機関]]員が刺客として送られるという筋書きに脚色されている。<ref>滝沢聖峰 『フー・ファイター』 大日本絵画〈MGコミックス〉、2004年。</ref>
 
==注釈==
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== 日本語訳 ==
**「『闇の奥』の奥 コンラッド・植民地主義・アフリカの重荷」(三交社、2006年)の著作もある。
*黒原敏行訳、[[光文社古典新訳文庫]]、2009年
 
== 注釈 ==
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{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:やみのおく}}
[[Category:ジョゼフ・コンラッド]]
[[Category:イギリスの小説]]
[[Category:コンゴ民主共和国を舞台とした作品]]
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