「標準報酬」の版間の差分

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;[[健康保険]]・[[船員保険]]
*2016年(平成28年)4月現在、第1級58,000円(報酬月額が63,000円以下)〜第50級1,390,000円(報酬月額が1,355,000円以上)の50等級(健康保険法第40条1項)。
*健康保険では、毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が1.5%を超えその状態が継続すると認められるときは、[[厚生労働大臣]]は[[社会保障審議会]]の意見を聞いて、その年の9月1日から[[政令]]により最高等級該当者の割合が0.5%未満にならない限度で、当該最高等級の上にさらに等級を加える等級区分の改定を行うことができる(健康保険法第40条2項、3項)。船員保険では、被保険者の受ける報酬の水準に著しい変動があった場合においては、変動後の水準に照らし、速やかに、改定を行うものとする、とされている(船員保険法第16条2項)。
 
;[[厚生年金]]
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=== 標準報酬月額の決定 ===
特記しない限り、健康保険・船員保険と厚生年金とで共通であり、以下この節では健康保険法の条項に基づいて述べる。
==== 定時決定 ====
毎年7月1日現在使用される事業所において、同日前3ヶ月間(その事業所に継続して使用された期間に限り、かつ報酬支払基礎日数が17日([[健康保険#短時間労働者|4分の3要件]]を満たさない短時間労働者については11日。以下同じ)未満である月があるときはその月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額(報酬月額)に基づき、標準報酬月額等級表の等級区分によって定められる(第41条)。つまり、通常は4~6月に'''実際に支払われた賃金'''(何月分であるかではなく)を用いて算定する。
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**4~6月の3月間の報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年7月~当年6月までの報酬の月平均額から算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合で、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合、年間報酬の平均で算定する。
*定時決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで有効である。
*事業主は、毎年7月1日現に使用する被保険者(定時決定の対象とされない者を除く)の報酬月額について、7月10日までに[[日本年金機構]]等(健康保険で、保険者が協会けんぽの場合は日本年金機構、健康保険組合の場合は当該健康保険組合。船員保険では日本年金機構。厚生年金では各実施機関。以下「機構等」と略す。)に届け出なければならない(規則第25条)。
==== 資格取得時決定 ====
新規採用時等、被保険者の資格を取得した段階で決定する標準報酬月額は、一定期間(月給・週給制等)によって報酬が定められている場合はその報酬の額をその期間の総日数で除した額の30倍を報酬月額とする(第42条)。日給制、時給制、出来高、請負によって報酬が定められている場合は、被保険者資格取得時前1月間において同様の業務に従事した者が受ける同様の報酬を平均した額となる。これらの方法で算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前1月間に、その地方で同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を報酬月額とする。
*資格取得時決定による標準報酬月額は、1月から5月に決定があったときはその年の8月まで、6月から12月までに決定があった場合は翌年の8月まで有効である。
*会社都合により採用当初より自宅待機となり[[休業手当]]が支払われるとき、その休業手当に基づいて報酬月額を算定する。その後に自宅待機が解消したときは、随時改定の対象となる。
*事業主は、被保険者の資格を取得した日から5日以内(船舶所有者は10日以内)に、被保険者資格取得届を機構又は組合に提出することで、報酬月額を届け出る(規則第24条)。
==== 随時改定 ====
報酬月額に大幅な変動があったときは、年の途中でも標準報酬月額を改定できる(第43条)。ただし'''固定的賃金の変動のみが対象'''で、超過手当等の変動的賃金の大幅な変動があっても随時改定は行わない。'''実際に昇給・降給による賃金が支払われた月から起算して'''3月間に受けた報酬の総額を3で除して得た額を随時改定後(実際に昇給・降給による賃金が支払われた月から起算して4月目以後)の報酬月額とする(昭和36年1月26日保発4号)。'''報酬支払基礎日数が17日未満である月があるときは随時改定は行わない'''。
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*決定された標準報酬月額は、1月から6月までに改定があった場合はその年8月まで、7月から12月までに改定があった場合は翌年の8月まで有効である。
*一時帰休に伴い就労していたならば受けられたであろう報酬よりも低額な休業手当が支払われることとなった場合は、これを固定的賃金の変動とみなし、その状態が継続して3月を超える場合には随時改定の対象となる。その後に一時帰休が解消した場合も随時改定の対象となる。
*事業主は、要件に該当したときは'''速やかに'''(船舶所有者は10日以内に)報酬月額変更届を機構又は組合に提出しなければならない。
==== 育児休業等終了時改定 ====
3歳未満の子を養育する被保険者が、育児休業等([[育児介護休業法]]による[[育児休業]]もしくは同法による育児を理由とする所定労働時間の短縮等の措置等をいう。以下同じ<ref>同法による[[介護休業]]もしくは介護を理由とする所定労働時間の短縮等の措置等の場合は対象とならない。</ref>)を終了し、職場復帰したときの報酬に低下がみられるような場合は、申出により標準報酬月額を改定する(第43条の2)。随時改定の場合と異なり、2等級以上の変動や固定的賃金の変動は必ずしも必要ではない。育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から、標準報酬月額を改定する。育児休業等終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間(その事業所に継続して使用された期間に限り、かつ報酬支払基礎日数が'''17日未満'''である月があるときはその月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額とする。
*決定された標準報酬月額は、1月から6月までに改定があった場合はその年8月まで、7月から12月までに改定があった場合は翌年の8月まで有効である。
*育児休業等終了日の翌日に次に述べる産前産後休業を開始している被保険者は対象とならない。
*事業主は、要件に該当したときは'''速やかに'''(船舶所有者は10日以内に)報酬月額変更届を機構又は組合に提出しなければならない。
==== 産前産後休業終了時改定 ====
[[労働基準法]]上の[[産前産後休業]]の終了日が平成26年4月1日以降の被保険者を対象に、職場復帰したときの報酬に低下がみられるような場合は、申出により標準報酬月額を改定する(第43条の3)。随時改定の場合と異なり、2等級以上の変動や固定的賃金の変動は必ずしも必要ではない。産前産後休業終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から、標準報酬月額を改定する。産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間(産前産後休業終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限り、かつ報酬支払基礎日数が'''17日未満'''である月があるときはその月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額とする。
*決定された標準報酬月額は、1月から6月までに改定があった場合はその年8月まで、7月から12月までに改定があった場合は翌年の8月まで有効である。
*産前産後休業終了日の翌日に前に述べた育児休業等を開始している被保険者は対象とならない。
*事業主は、要件に該当したときは'''速やかに'''(船舶所有者は10日以内に)報酬月額変更届を機構又は組合に提出しなければならない。
==== 任意継続被保険者 ====
「当該任意継続被保険者の資格喪失時の標準報酬月額」と「前年9月30日現在の当該任意継続被保険者の属する全被保険者の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合の場合、規約で定めた額があるときは、その規約で定めた額)を報酬月額とみなした場合の標準報酬月額」のいずれか'''少ない'''額とする(第47条)。原則として任意継続被保険者である期間中、改定はされない。船員保険における疾病任意継続被保険者についても、同内容となっている(船員保険法第23条)
*平成28年9月30日現在、[[協会けんぽ]]における標準報酬月額の平均額は、28万円となっている。
==== 特例退職被保険者 ====
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被保険者資格喪失月において、資格喪失前に支払われた賞与については、保険料賦課の対象とならない(つまり、月末退職でない限り、賞与を受けた月に退職してもその賞与に係る保険料は徴収されない)。ただし、年度の累計額には算入される。
 
事業主は、賞与を支払った日から5日以内(船舶所有者は10日以内)に、'''賞与支払届'''を機構又は組合に提出しなければならない。同一月に2回以上賞与を支払った場合は、最後の賞与支払日に一括して提出する。
 
;健康保険・船員保険