「唐辛子」の版間の差分

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日本で料理に唐辛子が多く使われるようになったのは比較的最近のことである。[[1980年代]]以降、エスニック料理が浸透し、「[[激辛ブーム]]」などが起こる以前においては、薬味や香り付けに[[一味唐辛子]]や日本特有の[[七味唐辛子]]が少量使われる程度であり、市販の[[カレー]]も辛口の商品に関しては少数に留まっていた。今も年配の層には唐辛子の辛味を苦手とする人は多い。
 
[[インド料理|インド]]や[[タイ料理|タイ]]、[[韓国料理|韓国]]などの唐辛子が日常的に使われる国・地方では、小さい子供の頃から徐々に辛い味に慣らしていき、舌や胃腸を刺激に対して強くしている。一方で日常的に使う習慣のない場合は、味覚としての辛味というよりも「痛み」として認識され、敬遠される。実際、カプサイシン受容体TRPV1は痛み関連受容体に分類されており<ref>富永真琴、[http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.2425100923 カプサイシン受容体] BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 60巻 , 5号 (2008年5月) pp. 493-501</ref>、唐辛子の辛味は口内の「痛覚」である<ref>石田雄介、村上信五、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology1989/15/1/15_1_127/_article/-char/ja/ 辛味の受容体VR1は舌乳頭に局在する] 口腔・咽頭科 Vol.15 (2002-2003) No.1 P127</ref>。
[[File:Tsukudani-1.jpg|thumb|葉唐辛子の佃煮(2017年12月10日撮影)]]
このことからも、痛みを味覚として好むということ自体、多分に[[社会]][[文化]]的条件付けによるものと言える。これらの国が唐辛子を積極的に摂取するのは、[[メキシコ料理|メキシコ]]や西アフリカ、中国の[[四川省]]・[[湖南省]]など夏に暑い地域が多く、食欲を増進し発汗を促し[[夏バテ|暑さ負け]]を防ぐためであると言われる。ただし、[[台湾料理|台湾]]、[[沖縄料理|沖縄]]など暑い季節が長いにもかかわらずさほど唐辛子を好まない地域がある一方、韓国、[[ブータン]]などそれほど暑くない地域(韓国も大陸性の気候の影響が強く夏は暑くなるが、高温になる季節は長くはない)で唐辛子を特に好む食文化もあり、唐辛子の嗜好は単なる気候的要因ではなく文化的要因によるものが強いことがうかがえる。
 
フィリピン・中国などアジア圏では葉(葉唐辛子)を青菜と同様に炒めて食べたり、汁物の実とすることもある。日本でも葉唐辛子を炒めて食べたり、[[佃煮]]にすることもある。