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『'''仮面ライダーアマゾン'''』(かめんライダーアマゾン)は、[[1974年]]([[昭和]]49年)[[10月19日]]から[[1975年]](昭和50年)[[3月29日]]まで、[[テレビ朝日|NET]]系列で毎週土曜19時30分から20時00分に放送された、[[MBSテレビ|毎日放送]]・[[東映]]制作の[[特撮テレビ番組一覧|特撮テレビドラマ]]作品、および作中で主人公が変身するヒーローの名称である。
 
== 概要 ==
「[[仮面ライダーシリーズ]]」第4作として放送された。シリーズの中で最も異色の作品であるとされる<ref name="大全集144">{{Harvnb|大全集|1986|pp=144-145|loc=「仮面ライダー作品展開 仮面ライダーアマゾン」}}</ref><ref name="映画大全集98">{{Harvnb|映画大全集|1993|pp=98-99|loc=「MASKED RIDER REALISTIC ALBUM 仮面ライダーアマゾン」}}</ref>。
 
=== 企画の経緯 ===
スマートと流麗を打ち出した前作『[[仮面ライダーX]]』の後を受け、ライダーシリーズ新番組の企画書には「『仮面ライダー』はその原点である『野獣性』に立ち戻り」と記された<ref name="大全集144" /><ref name="OFM616">{{Harvnb|OFM6|2004|pp=16 - 17|loc=「作品解説 『仮面ライダーアマゾン』企画経緯」}}</ref><ref name="71-84企画書">{{Harvnb|仮面ライダー1971-1984|2014|pp=274-276|loc=「企画書完全収録」}}</ref>。以降もシリーズ新作のたびに意識される「原点回帰」という概念が明言されたのは、このときが初めてである<ref>『語れ!仮面ライダー』KKベストセラーズ〈ベストムックシリーズ〉、2013年4月、pp.83 - 84。ISBN 978-4-584-20497-9</ref>。だが、ここでいう「原点」とは、第1作『[[仮面ライダー]]』の第1話をさらにさかのぼり{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=195}}、[[立川文庫]]や『[[少年倶楽部]]』のような戦前の児童向けマスコミが内包していた世界観を志向している{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=107}}。
 
原作者の[[石ノ森章太郎|石森章太郎]]は、映画『[[未来惑星ザルドス]]』に触発されて原始的な仮面ライダーを提案し、また当時高い人気を誇っていた「ドラゴン」の異名を持つ[[ブルース・リー]]のイメージも取り入れられ、仮称『ドラゴンライダー』の構想が練られた<ref name="大全集144" /><ref name="71-84制作">{{Harvnb|仮面ライダー1971-1984|2014|p=273|loc=「仮面ライダーアマゾン制作コンセプト」}}</ref>{{efn|石ノ森章太郎の初期デザイン画に[[ムカシトンボ]]をモチーフとしたものがあるため{{Sfn|変身ヒーロー画集|2004|pp=70、109、110}}<ref name="71-84D">{{Harvnb|仮面ライダー1971-1984|2014|pp=268-272|loc=「デザイン画の世界7」}}</ref>、『ドラゴンライダー』の由来はトンボの英語名「ドラゴンフライ」にあるとする資料もあるが<ref>『仮面ライダーアートコレクション ヒーロー編』メディアワークス、2003年7月、p.102。ISBN 4-8402-2373-4</ref>、これは誤りである<ref>『仮面ライダーSPIRITS 超絶黙示録』講談社、2010年1月15日、p.83。ISBN 978-4-06-375822-1</ref>。}}。その内容は拳法の達人「リュウ」が旅をしながら敵を倒していくというものだったが、前述したもう1つの要素「原始的な世界観」とうまく馴染まないため、[[ターザン]]のようなスタイルへ変更された<ref name="71-84制作" />{{efn|没になった「旅をしながら闘う」という構想は、次回作『仮面ライダーストロンガー』で活かされた。デザイン画でも、ドラゴンライダーと城茂は上着を肩に引っかけた共通の姿勢をとっている{{Sfn|仮面ライダー1971-1984|2014|pp=269、303}}。}}。主題歌にはこの初期案の名残があり、歌詞の表現はアマゾンライダーよりもドラゴンライダーのイメージであると東映プロデューサーの平山亨は語っている<ref name="71-84制作" />。
 
その後、企画書が起こされた時点ではすでに『仮面ライダーアマゾン』という正式名称が確定していた{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=92}}。あまり試行錯誤せずにこれほど早く番組の題名が決まるのは、珍しいことであった<ref name="71-84企画書" />。
 
ストーリーの展開上、放送前半の敵組織ゲドンは1クールという短さで壊滅しているが、これは中途の変更ではなく、当初から予定されていたことである<ref name="OFM616" />。
 
クランクインは8月末を予定していたが、9月9日にずれ込んだ<ref name="OFM616" />。本作品の遅れに伴い、『仮面ライダーX』は当初の全33話の予定から2話分延長され、全35話となった{{Sfn|仮面ライダー1971-1984|2014|pp=250、254}}。
 
=== 特徴 ===
「噛みつき」や「引っ掻き」といった野性味あふれる攻撃、切り裂かれて血しぶきを上げながら散っていく[[怪人]]など、シリーズでは異色の作品となっている。主役ライダーのメインの必殺技が、歴代ライダーで初めてキック技ではないのも特色である。
 
生後まもなく[[南米]][[アマゾン熱帯雨林|アマゾン]]の奥地で遭難し、野獣の中で育ったがゆえに言葉もわからず、文明も理解できないまま日本に1人で放り出され、周囲の誤解に遭いながらも、ゲドンと孤独な戦いを続ける野生児の主人公「仮面ライダーアマゾン」ことアマゾン / 山本大介の悲哀を描いたハードなドラマも魅力だった<ref name="大全集144" />。
 
悪の組織ゲドンが尖兵とする獣人は、[[動物]]や[[昆虫]]の特性を直截的に取り込んだ造形となっており、人間よりも獣の要素が色濃い。この理由は、擬闘の[[高橋一俊]]のアクションがマンネリ化したと懸念した東映生田撮影所初代所長の内田有作が、アクションの質を変えるために意図的に動きにくい着ぐるみを作成するよう、指示を出したからである<ref name="71-84D" />。その話を聞かされた高橋は、ショックを受けたという{{Sfn|アマゾン大全|2004|pp=195 - 196}}。
 
ゲドンの獣人は食料となる人間を片っ端から誘拐してはその生き血を抜き取って殺していき、その遺体を食肉として保存する。しかし、その怪奇性とヒーローの孤独を中心に据えた作品展開が仇となって子供たちに敬遠されてしまい、当初は好調だった視聴率が徐々に低迷してきたため、 第6話でモグラ獣人がアマゾンの仲間になってから大きな方向転換を余儀なくされ、低年齢向けの作風へ変化して視聴率の回復が図られた。そのための強化策は、以下の3点である。
 
* アマゾンがキックやパンチといった、従来の仮面ライダー同様のアクションを多用するようになる<ref name="映画大全集98" />。
* 岡村まさひこ、岡村りつ子、[[立花藤兵衛]]といった仲間たちのサポートを受けて戦う。
* 明朗な痛快活劇を基本とした平板な展開が中心となり、モグラ獣人を中心としたコミカルな要素も加わる。
 
低年齢向けを目指した路線変更は、第14話でガランダー帝国が登場してからさらに加速していくこととなる。古代[[インカ帝国]]の秘宝と、その秘密のカギであるギギの腕輪をアマゾンから奪うことを作戦の中心に据えたゲドンとは異なり、ガランダー帝国はインカの秘宝よりも世界征服作戦を優先させていく。その結果、従来の悪の組織ではあまり例のない規模の都市破壊をはじめとする大掛かりな作戦を次々と行うガランダー帝国と、それを阻止していくアマゾンの活躍がダイナミックかつテンポよく描かれるようになった。
 
前作から引き続いて藤兵衛が登場しており、設定上は前3作品とつながっているが、歴代ライダーが客演することはなかった<ref name="大全集127">{{Harvnb|大全集|1986|p=127|loc=「特別撮影」}}</ref>。平山亨と内田の対談で「アマゾンは今までと違ってまったくのゼロからスタートした作品なので先代ライダーを登場させにくい」「なるべく次の展開までとっておくつもりだったので、スタートしてしばらくはまだ必要ないと思っていたら、打ち切りが決まったから」と語られた{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=196}}。{{要出典範囲|しかし、ステージイベントではそういった事情にとらわれず、[[東京ドームシティアトラクションズ|後楽園ゆうえんち]]の『危うし6人ライダー』と題したショーなどで歴代ライダーと共闘する姿が見られた。|date=2017年4月}}雑誌『[[テレビマガジン]]』でも、6人の仮面ライダーが集合するグラビアが掲載された<ref name="大全集127" />。
 
=== 撮影 ===
本作でも撮影は『X』までと同様に過酷となった。特に本作では主人公のアマゾンが当初、上半身裸だったうえに時期が冬という事情も重なり、彼を演じた[[岡崎徹]]は「[[富士急ハイランド]]の[[ジェットコースター]]のレールを命綱無しで登り、迫ってくるコースターを寸前で回避する」「[[伊勢丹]]新宿店のビルとビルの間を命綱無しで渡る」など、過酷な撮影だったことを後年に述懐している<ref>[http://eiga.com/news/20160511/20/ 仮面ライダーアマゾンとマサヒコ少年が40年ぶりに再会!命がけの撮影を振り返る] - 映画.com</ref>。
 
=== ネットチェンジと番組の終了 ===
[[毎日新聞社]]系列の[[毎日放送]]と[[朝日新聞社]]系列の[[テレビ朝日|NET]]は、「[[ネットチェンジ|腸捻転]]」と呼ばれていた資本系列に対して捻れていたネットワーク体系の解消を目的として、制作局である毎日放送が1975年春(3月31日)から[[TBSテレビ|TBS]][[Japan News Network|系列]]に参入することとなり、それに伴って『仮面ライダーアマゾン』は全24話で終了した<ref name="大全集144" /><ref name="U154">{{Harvnb|宇宙船154|2016|pp=130-133|loc=「宇宙船Archives 仮面ライダーアマゾン」}}</ref>。これは連続テレビドラマとして制作された仮面ライダーシリーズでは最短話数の作品となっているが、不人気による[[打ち切り]]ではなく初めから決まっていたことであり、毎日放送側が用意した{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=194}}第1話放映日の読売新聞記事でも「全二十四話」と告知されている{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=95}}{{Sfn|仮面ライダー1971-1984|2014|p=282|loc=「第1話の新聞切り抜き」}}。だが、このことは現場スタッフには知らされていなかったらしく、平山亨と内田有作{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=194}}、阿部征司{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=199}}といった主要スタッフは口をそろえて「途中で番組終了を聞かされた」と述べている。
 
本作をもって[[1964年]]9月開始の『[[ルーニー・テューンズ|バッグス・バニー・ショー]]』(第3期)以来、10年半続いた土曜夜7時30分の毎日放送制作枠は撤廃となった。
 
=== 評価 ===
主人公・アマゾンのインパクトあふれるキャラクター性は大きな人気を集め、初回放送時の視聴率は前作『仮面ライダーX』終盤から回復したが、その後数字は低下を続けた<ref name="OFM616" />。2004年のインタビューで内田有作は「今ね、『アマゾン』は再評価されている感じはあるね。あの当時はそれこそクソミソや」と述懐している{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=195}}。
 
{| class="wikitable" border="1"
! 視聴率{{Sfn|アマゾン大全|2004|p=217}} !! 最高 !! 最低 !! 平均
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| 関東 || 16.2% || 15.2% || 15.7%<ref name="大全集144" />
|-
| 関西 || 19.5% || 15.9% || 17.7%<ref name="大全集144" />
|}
 
== あらすじ ==