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{{Infobox 組織2
| 名称 = 日本年金機構
| Width = 250
| 画像 = Japan Pension Service Headquarters1.JPG
| 脚注 = 日本年金機構本部
| 画像2 =
| 脚注2 =
| 正式名称 = <!--正式名称が外国語である場合に、現地の言葉で名称を記入。それ以外の場合は無記入でOK-->
| 英語名称 = Japan Pension Service
| 略称 =
| 組織形態 = [[日本年金機構法]]に基づいて設置される[[特殊法人]]
| 本部名称 = 本部<!--拠点が多数あってすぐ下の住所がどこのものか不明瞭な様な場合に記入。本部、事務局、などと記入。それ以外の場合は無記入でOK-->
| 所在国 = {{JPN}}
| 所在地 = {{color|red|〒}}168-8505<br>[[東京都]][[杉並区]][[高井戸西]]三丁目5番24号<br /><small>{{coord|35|41|20.2|N|139|36|53.1|E|region:JP|display=inline}}</small>
| 位置 = <!--経緯度を記入-->
| 予算 = 2,768億8,700万円<br />(2015年度)<ref name="jigyou">{{Cite web |url=http://www.nenkin.go.jp/info/disclosure/jigyo.files/20160721.pdf|title=事業報告書(平成27年度)|publisher=日本年金機構|accessdate=2016-08-14|format=PDF}}</ref>
| 資本金 = 1,031億1,200万円<br />(2015年度)<ref name="jigyou"></ref>
| 資金 =
| 負債 =
| 人数 = 正規職員・准職員数 13,009人<br />有期雇用契約職員数 7,202人<br /><small>(2015年度末現在)</small><ref name="jigyou"></ref>
| 代表 =
| 所長 =
| 理事長 = [[水島藤一郎]]
| 代表職名 = <!--組織トップの肩書が上の三つ以外の場合、ここにその肩書を記入-->
| 代表氏名 = <!--組織トップの肩書が上の三つ以外の場合、すぐ上で肩書を記入し、ここに人物の名前を記入-->
| 目的 =
| 活動内容 = [[公的年金]]の運営業務
| 活動領域 =
| 設立年月日 = [[2010年]](平成22年)[[1月1日]]
| 前身 =
| 設立者 =
| 廃止年月日 =
| 後身 =
| 上位組織 =
| 所管 = [[厚生労働省]]
| 下位組織 =
| 関連組織 =
| 関連団体 =
| 拠点 =
| 保有施設 =
| 保有装置 =
| 保有物分類1 = <!--施設でも装置でもない何かを保有している場合に、ここにその種別を記入。例えば船舶、衛星など-->
| 保有物名称1 = <!--すぐ上の種別に属する保有物の名称をここに記入。例えばしんかい6500、など-->
| 保有物分類2 =
| 保有物名称2 =
| 保有物分類3 =
| 保有物名称3 =
| 提供サービス =
| プロジェクト =
| 参加プロジェクト =
| 特記事項 =
| ウェブサイト = http://www.nenkin.go.jp/
}}
'''日本年金機構'''(にっぽんねんきんきこう、{{lang-en|Japan Pension Service}})は、[[日本国政府]]([[厚生労働大臣]])から委任・委託を受け、[[公的年金]]([[厚生年金]]及び[[国民年金]])に係る一連の運営業務を担う、[[非公務員化|非公務員型]]の[[特殊法人]]である。
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{{Seealso|日本の年金|日本の福祉}}
 
== 責務 ==
[[File:Pension handbook (Japan).jpg|thumb|right|250px|[[年金手帳]]]]
 
機構は、公的年金業務の適正な運営と日本国民の信頼の確保を図るため、[[社会保険庁]]を廃止し、公的年金業務の運営を担う組織として[[2010年]](平成22年)[[1月1日]]に発足した(実際の業務開始は同年[[1月4日]])特殊法人である。同機構は役員及び職員の身分は[[公務員]]としないが、役職員は刑法その他の罰則については、「[[みなし公務員]]」規定が適用される。また、役員には兼職禁止義務が、役職員には秘密保持義務([[守秘義務]])が課される。
 
同機構は、日本年金機構法(平成19年法律第109号)<ref>{{PDFlink|[http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/2houan/nenkin4.pdf 日本年金機構法]}}</ref>の理念に基づき<ref>{{PDFlink|[http://www.nenkin.go.jp/info/pdf/02.pdf 理念]}}</ref>、顧客目線の業務運営をするために、運営方針<ref>{{PDFlink|[http://www.nenkin.go.jp/info/pdf/03.pdf 運営方針]}}</ref>、及び人事方針<ref>{{PDFlink|[http://www.nenkin.go.jp/info/pdf/04.pdf 人事方針]}}</ref>を次のように定めている。
* 顧客の立場に立った親切・迅速・正確で効率的なサービスの提供。
* 顧客の意見を業務に反映していくとともに、業務の成果などについて、わかりやすい情報公開の取組みを進める。
* 1,000人規模の民間会社経験者を採用するとともに、能力・実績本位の新たな人事方針を確立し、[[組織風土]]を変える。
* [[企業コンプライアンス|コンプライアンス]]の徹底、[[リスクマネジメント|リスク管理]]の仕組みの構築など組織ガバナンスを確立する。
 
== 歴史 ==
{{Main|社会保険庁#社会保険庁改革|年金記録問題#社会保険庁改革と年金記録問題}}
[[2004年]](平成16年)[[4月1日]]に行われた[[第159回国会]]の[[衆議院]][[本会議]]において、[[小泉純一郎]][[内閣総理大臣]]は
{{Quotation|'''社会保険庁と年金行政の信頼回復'''でございますが、年金制度を安定的に運営するためには、保険料の徴収や年金給付などの年金事業を担う'''社会保険庁に対する[[日本国籍|国民]]の信頼が不可欠'''であります。
 
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と答弁して、初めて社会保険庁の組織のあり方を見直す意向を示した<ref>[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/159/0001/15904010001019a.html 第159回国会衆議院本会議・第19号・平成16年4月1日]、衆議院。</ref>。同年7月23日、[[村瀬清司]]を初の民間人出身の[[社会保険庁長官]]として登用し、社会保険庁の業務と組織の改革が進められた。
 
[[2006年]](平成18年)[[1月25日]]の[[第164回国会]]の[[参議院]]本会議で、小泉内閣総理大臣は社会保険庁を[[2008年10]](平成20年)10月を目途に廃止し、公的年金と政管健保の運営を分離の上、それぞれ新たな組織を設置する等の解体的出直しを行うことを表明した。同年[[3月10日]]、小泉内閣は同国会に社会保険庁の廃止などを定めた「ねんきん事業機構法案<ref>[http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16405077.htm ねんきん事業機構法案]、衆議院。</ref>」を提出したが、同法案は審議未了で廃案になった。なお、同法案においては「ねんきん事業機構」は厚生労働省の「[[特別の機関]]」(社会保険庁は厚生労働省の[[外局]])とされ、職員の身分は[[国家公務員]]とされていた。
 
小泉内閣の後を引き継いだ[[第1次安倍内閣|安倍内閣]]も、社会保険庁の解体的見直しを表明し、さらに年金事業を担当する組織を行政機関とせず、職員も非公務員とすることを検討した。[[2007年]](平成19年)[[1月26日]]に行われた、[[第166回国会]]の衆議院本会議において、[[安倍晋三]]内閣総理大臣は「社会保険庁については、規律の回復と事業の効率化を図るため、非公務員型の新法人の設置など、廃止・解体六分割を断行します」と答弁した。
 
同年[[3月13日]]には、内閣は同国会に社会保険庁の廃止と日本年金機構の設置などを定めた「日本年金機構法案」<ref>[http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g16605078.htm 日本年金機構法案]、衆議院。</ref>を提出し、同法案は同年[[6月30日]]に成立し、同年[[7月6日]]に公布された。同法案において「日本年金機構」は、役職員の身分を非公務員とする[[特殊法人]]とされた。
 
2009年8月の[[第45回衆議院議員総選挙]]により、政権[[与党]]となった[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]は「日本年金機構に移行すると年金記録問題が有耶無耶になる可能性がある」「[[天下り]]規制の対象から除外されることで、天下り・渡りのやりたい放題となる」との主張から、公務員温存型の「[[歳入庁]]」の創設を含んだ、社保庁存続を[[マニフェスト]]に明記していた<ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-09-13-NewsPaper-JapanPensionService.jpg 日本年金機構の設立危機を伝える読売新聞(平成21年9月13日付)の記事。]</ref>。
 
しかし、[[厚生労働大臣]]となった[[長妻昭]]は、民間からの内定者がいることや<ref name="InformalDecision">[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-InformalDecision-JapanPensionService.JPG 日本年金機構の正規職員内定通知。]</ref>、不動産契約なども進んでいることから、これを凍結すれば現場が混乱が生じると判断し、日本年金機構を、予定通り2010年1(平成22年)1月1日に発足させ<ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-10-08-InaugurationStatement-JapanPensionService.jpg 日本年金機構の発足声明。]</ref>、同日、社会保険庁は廃止された。
 
== 組織 ==
管理及び企画部門を中心とする本部を東京に置き、その下に現場管理及び支援を行うブロック本部が9か所ある。また、各ブロック本部の下に、対面を要しない届出処理業務等を行う都道府県事務センター47か所と事業所の調査、強制徴収、年金相談などの地域に密着した対人業務を行う年金事務所(旧[[社会保険事務所]])312か所がある。設立時の職員数は約22,000人(正規・准職員12,000人、その他有期雇用職員10,000人)。[[理事長]]は厚生労働大臣が任命し、副理事長及び理事は厚生労働大臣の認可を受けて理事長が任命する<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1209-12d.pdf 日本年金機構について(第1回社会保障審議会日本年金機構評価部会資料)]}}</ref>。
 
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*[[水島藤一郎]](2013年 - 現職)
 
===ブロック本部→地域部 ===
ブロック本部はかつて存在していた組織で、本部の指示を年金事務所に徹底させるとともに、事務所業務の後方支援を行っていた。標準的な地方ブロック本部は、ブロック本部長の下に3つの部と都道府県単位の事務センターが置かれていた。
*管理部は、ブロック内の組織・業務の総合的管理、年金記録問題の総合的進捗管理・調整、コンプライアンス・リスク対策の徹底、地域的会計事務などを行う。
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地域割は以下の通り。'''太字となった県'''は一般的な地域区分と異なるケースで、一部を除いては[[国税局]]と同じ地域割になっていた。2016年度組織再編により1年をかけて本部への機能集約が図られ、「地域部」に改編の上で2017年に旧ブロック本部の事務所が閉鎖された<ref>{{Cite press release|title=日本年金機構が組織再編を行います|publisher=日本年金機構|date=2016-03-31|url=https://www.nenkin.go.jp/oshirase/press/2016/201603/20160331.files/20160331.pdf|format=PDF|accessdate=2017-07-29}}</ref>。
{| class="wikitable" style="font-size:85%; margin:1em auto"
!ブロック!!本部所在地!!管轄
!現行対応地域部!!<small>対応する国税局<br />(参照)</small>
|-
![[北海道]]
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|北海道地域部||<small>[[札幌国税局]]</small>
|-
! rowspan="2" |東北
| rowspan="2" |[[仙台市]][[青葉区 (仙台市)|青葉区]]||[[宮城県]]、[[山形県]]、[[福島県]]
|東北地域第一部|| rowspan="2" |<small>[[仙台国税局]]</small>
|-
|[[青森県]]、[[岩手県]]、[[秋田県]]
|東北地域第二部
|-
! rowspan="2" |北関東・信越
| rowspan="2" |[[さいたま市]][[浦和区]]||[[埼玉県]]、[[茨城県]]、[[栃木県]]
|北関東・信越地域第一部|| rowspan="2" |<small>[[関東信越国税局]]</small>
|-
|[[群馬県]]、[[新潟県]]、[[長野県]]
|北関東・信越地域第二部
|-
! rowspan="2" |南関東
| rowspan="2" |[[新宿区]]||[[東京都]]23区・島嶼部
|南関東地域第一部|| rowspan="2" |<small>[[東京国税局]]</small>
|-
|[[千葉県]]、東京都多摩、[[神奈川県]]、[[山梨県]]
|南関東地域第二部
|-
! rowspan="2" |中部
| rowspan="2" |[[名古屋市]][[中区 (名古屋市)|中区]]||[[愛知県]]尾張、[[富山県]]、[[石川県]]、[[岐阜県]]
|中部地域第一部||<small>[[金沢国税局]]<br />[[名古屋国税局]]</small>
|-
|愛知県三河、[[静岡県]]、[[三重県]]
161行目:
|<small>名古屋国税局</small>
|-
! rowspan="2" |近畿
| rowspan="2" |[[大阪市]][[中央区 (大阪市)|中央区]]||大阪市、'''[[福井県]]'''、[[滋賀県]]、[[京都府]]
|近畿地域第一部||<small>金沢国税局<br />[[大阪国税局]]</small>
|-
|大阪市以外の[[大阪府]]、[[兵庫県]]、[[奈良県]]、[[和歌山県]]
177行目:
|四国地域部||<small>[[高松国税局]]</small>
|-
! rowspan="3" |九州
| rowspan="3" |[[福岡市]][[博多区]]||[[福岡県]]、[[佐賀県]]、[[長崎県]]、[[大分県]]
|九州地域第一部||<small>[[福岡国税局]]</small>
|-
|[[熊本県]]、[[宮崎県]]、[[鹿児島県]]
| rowspan="2" |九州地域第二部
|<small>[[熊本国税局]]</small>
|-
189行目:
|}
 
=== 事務センター ===
地方ブロック本部の一部署として、主要都道府県に事務センターが設置されている。センターでは、年金事務所の機能を適用事業所等の調査や強制徴収、年金相談などの対人業務に集中させるために、対面を要しない届書等の審査・入力・決裁業務等を集約して行う。
 
標準的な事務センターは、センター長の下に、4つのグループ(管理・厚生年金適用G、国民年金G、年金給付G、記録審査G)があり、各種届書・申請書、請求書等に係る受付・審査・入力・決定、各種通知書・告知書等の作成・送付(交付)、各種届書・申請書、請求書等の編綴・保管、特別障害給付金、老齢福祉年金に関する処理、死亡・特別・脱退一時金に関する処理、年金記録確認地方第三者委員会への進達、委託業務の業務内容の現地的管理・監視、コンピュータ記録と紙台帳との記録の突合せなどを行う。
 
事務センター規模によっては副事務センター長が置かれている事務センターもある。また、規模によっては1つのグループを複数に分ける事務センターもある<ref>例:事務センターの年金給付グループ    年金給付第1グループ、年金給付第2グループ</ref>。
 
この事務センターについても組織再編の一環として広域化集約が図られ、統廃合が進められている。
 
=== 年金事務所 ===
事業所の調査・職権適用、強制徴収、年金相談などの地域に密着した対人業務を行う年金事務所は、全国に312ヶ所ある。事務所の規模は、小規模(職員数20人未満)が104ヶ所、中規模(同20人~39人)が192ヶ所、大規模が(同40人以上)が16ヶ所である。標準的な事務所は、所長、副所長の下に5つの課が置かれている。
*厚生年金適用調査課は、所内の庶務(小額調達案件の調達契約事務含む)、本部・ブロック本部との連絡調整、事業所指導、事業所調査、未適用事業所の職権適用などを行う。
212行目:
===中期目標===
厚生労働大臣は、3年以上5年以下の期間において、機構が達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)を定め、日本年金機構に対して示し公表する。中期目標は、
# 中期目標の期間(3年~5年の間)。
# 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項。
# 業務運営の効率化に関する事項。
# 業務運営における公正性及び透明性の確保、その他業務運営に関する重要事項。
の4つである。また、厚生労働大臣は、中期目標の達成状況について、評価を行い、評価の結果必要があると認めるときは、機構に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずる。
 
232行目:
総合健康保険組合協議会が実施する社会保険制度の改善に係る[[官公庁]]への提言における、制度改善への啓発等に協力している。
 
== チェック機関 ==
日本年金機構に対して第三者の立場からチェックする機関は、日本年金機構評価部会と運営評議会の2つがある。また、民間企業の経営管理等の識見を機構の業務運営に反映するために、日本年金機構の中に非常勤理事がいる。
 
=== 日本年金機構評価部会 ===
厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の中にあり、委員は厚生労働大臣が任命する。業務は、1.厚生労働大臣が定めた日本年金機構の中期目標の審議、2.各事業年度及び中期目標期間の業績の評価、3.評価に基づいて改善が必要な場合は、業務改善についての審議<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1209-12c.pdf 日本年金機構評価部会について]}}</ref>。
 
=== 運営評議会 ===
運営評議会は、被保険者、事業主、受給権者、その他の関係者の意見を機構の業務運営に反映するために置かれており、委員は理事長が委嘱する<ref>[http://www.nenkin.go.jp/info/unei/index.html 運営評議会]</ref>。理事長は、中期計画及び毎事業年度の年度計画、その他理事長が必要と判断する業務運営に関する重要事項について、あらかじめ運営評議会の意見を聴かなければならない。
 
== 採用 ==
常勤職員は、正職員と准職員がいる。准職員は、有期雇用で正職員に相当するような業務を行う。正職員と准職員は、常勤職員として同一の[[給与]]規定が適用される<ref>{{PDFlink|[http://www.nenkin.go.jp/disclosure/pdf/kyuyo.pdf 日本年金機構職員給与規程]}}</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.nenkin.go.jp/disclosure/pdf/syoyo.pdf 日本年金機構職員賞与規程]}}</ref>。常勤職員以外の有期雇用職員として、特定業務契約職員及びアシスタント契約職員がいる<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/dl/s0326-9d.pdf 有期雇用職員の募集について]}}</ref>。
 
日本年金機構設立時の職員については、2008年12月22日、設立委員会(委員長:[[奥田碩]][[トヨタ自動車]]株式会社取締役相談役)<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1112-8a.pdf 日本年金機構設立委員会委員名簿]}}</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1204-6a.pdf 日本年金機構設立委員会規則]}}</ref>が職員の労働条件<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1222-7b.pdf 日本年金機構の職員(正規職員及び地域限定期限付職員(仮称))の労働条件]}}</ref>及び採用基準<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1222-7c.pdf 日本年金機構の職員の採用の基準]}}</ref>を決定し職員を募集した<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1222-7a.pdf 日本年金機構の職員の募集について]}}</ref>。採用審査は、職員採用審査会(委員長:[[岩村正彦]]東京大学大学院教授)<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1204-6b.pdf 職員採用審査会委員について]}}</ref>が行い、設立委員会は、職員採用審査会の意見を聴いて職員採用の採否を決定し、2009年10月に採用通知を出している。
 
=== 採用基準 ===
日本年金機構設立委員会が決定した採用基準は以下のとおり。
*国民本位のサービスを提供するという意識、そして、公的年金という国民生活にとって極めて重要な制度の運営を担っているという高い使命感を持ち、法令等の規律を遵守し、公的年金業務を正確かつ効率的に遂行するとともに、被保険者等のために業務の改革やサービスの向上に積極的に取り組む意欲がある者であること。また、機構の理念・運営方針及び人事方針に賛同する者であること。
254行目:
*[[国家公務員法]]第38条各号に定める欠格事由に該当しない者であること。
 
=== 旧社会保険庁職員の採用 ===
2007年に、[[森永卓郎]]が当時与党だった[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]参議院幹事長の[[片山虎之助]]に尋ねた際には、優秀ではない人材は[[分限免職]]にすると答えている<ref>{{cite web|url=http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/88/index2.html |title=社会保険庁ではリストラできるのに… |publisher=[[日経BP]] |author=[[森永卓郎]] |date=2007-07-02 |accessdate=2011-01-01}}</ref>。
 
*旧社保庁職員については、正職員に9,673人、准職員に580人を採用する通知が出された。社保庁職員からの採用に当たっては、2008年7月29日、法令違反者、業務改革に後ろ向きな者など、公的年金業務に対する国民の信頼を著しく損ねたような者は採用しない、特に[[懲戒処分]]者は採用しないとし、[[ヤミ専従]]行為を行った職員などは、速やかに厳正な処分を行うなどが閣議決定されており<ref>{{PDFlink|[http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/pdf/sinsoshiki_03.pdf 日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画]}}</ref>、日本年金機構設立委員会は、社保庁職員(過去に社会保険庁に在職し、機構設立前に退職した者を含む)からの採用基準を以下のように定めた。
# 懲戒処分を受けた者は採用しない。なお、採用内定後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には、内定を取り消す。また、採用後に懲戒処分の対象となる行為が明らかになった場合には、機構において、労働契約を解除する。
# 過去に矯正措置などの処分を受けた者については、処分歴や処分の理由となった行為の性質、処分後の更生状況などをきめ細かく勘案した上で、採否を厳正に判断する。
# これまで改革に後ろ向きな言動のあった者及び改革意欲の乏しかった者については、改革意欲の有無や勤務実績・能力を厳正に審査し、採用の可否を慎重に判断する。また、採用内定後に、社会保険庁で行う各種調査に協力しないなど、改革に前向きでないことが明らかとなった場合には、設立委員会において採用の可否を再検討する。
不採用になった職員<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0519-5e.pdf 社会保険庁職員からの日本年金機構職員採用に係る審査結果の概要]}}</ref>については、過去に懲戒処分を受けた職員とともに[[厚生労働省]]への配置転換、退職勧奨、[[官民人材交流センター]]の活用等による民間への再就職斡旋など、組織廃止に伴う分限免職回避のための努力を行うことが必要とされた<ref>{{PDFlink|[http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/pdf/sinsoshiki_04.pdf 参考資料(日本年金機構の職員採用と分限免職との関係)]}}</ref>。
 
[[全日本自治団体労働組合]]の[[岡部謙治]]委員長は、[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]の[[仙谷由人]][[衆議院議員]]同席で、問題のあった社保庁職員の分限免職回避・[[雇用]]の確保を、前[[政権]]の[[舛添要一]]厚生労働大臣に要請していたが<ref>[http://s04.megalodon.jp/2009-0520-1014-47/www.jichiro.gr.jp/news/2009/04/090427.html 社保庁職員の雇用確保と年金記録問題に関して舛添厚労大臣に要請]2009年4月27日自治労</ref>、結果的に2009年12(平成21年)12月28日、長妻昭厚生労働大臣は、懲戒処分を受けていた251人の職員を含めた525人を、分限免職とする方針を決定し公表した<ref>{{PDFlink|[http://www.sia.go.jp/infom/press/houdou/2009/h091228_02.pdf 社会保険庁の廃止に伴う職員の移行等の状況について]}}</ref>。また、当時の社会保険庁長官[[渡辺芳樹]]も、[[1996年]](平成8年)の厚生省[[汚職]]事件に関して、[[減給]]の懲戒処分を受けていたため、機構に副理事長として採用されず、他のポストへの異動も認められなかったことから、2009年12(平成21年)12月31日付で退官した<ref>社保庁長官退職  厚労相「懲戒処分歴、例外認められぬ」 朝日新聞 2010年1月5日</ref>。
 
=== 民間からの採用 ===
民間からの採用については、平成21年4月から[[ハローワーク]]等の求人媒体を通じて一般公募し<ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-04-08-JobOpeningInformation-JapanPensionService.jpg 日本年金機構の職員募集の求人票]</ref>、正職員1,127人(内訳は管理職355人、IT企画30人、監査関係13人、企業会計・調達関係8人、一般事務関係721人)、准職員970人の約2,000人に採用通知<ref name="InformalDecision"/><ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-InformalDecisionApprovalCertificate-JapanPensionService.jpg 日本年金機構の職員採用内定承諾書]</ref>が出された。
 
また、職員採用内定者には、希望を募った上で同年9月から社会保険庁の謝金職員([[非常勤職員]]:民間企業等に言う[[パートタイマー]]に相当)として、地元の[[地方社会保険事務局]](県単位の[[地方支分部局]])で予め勤務させるとともに、[[社会保険大学校]]での研修を受講させた<ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-InformationProspectiveEmployee-JapanPensionService-001.jpg 日本年金機構の職員内定者へのお知らせ(表面)]</ref><ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-InformationProspectiveEmployee-JapanPensionService-002.jpg 日本年金機構の職員内定者へのお知らせ(裏面)]</ref><ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-PartTimeStaffWorkCondition-JapanPensionService-001.jpg 日本年金機構の非常勤職員の勤務条件(表面)]</ref><ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-PartTimeStaffWorkCondition-JapanPensionService-002.jpg 日本年金機構の非常勤職員の勤務条件(裏面)]</ref><ref>[http://commons.wikimedia.org/wiki/File:2009-07-28-PartTimeStaffWorkRecord-JapanPensionService.jpg 日本年金機構の非常勤職員への勤務希望調書]</ref>。
 
=== 人事・人材育成 ===
いわゆる三層構造問題<ref>社会保険庁の幹部として短期間在籍する厚生労働本省採用のキャリア職員、本庁採用のいわゆるノンキャリア職員、かつて[[地方事務官]]として都道府県単位で採用された職員が一体性を欠いたまま存在するという構造は、組織を分断させ、組織ガバナンスの欠如の原因とも指摘された。</ref>を解消すべく、人事の一体化を図り、企画業務と現場実務のを双方経験をして、マネジメントをしていくというキャリアパターンになっている。また、能力・実績本位の人材登用、給与体系、それを裏づける人事評価制度が導入されている。
 
=== 給与体系 ===
給与体系は、できるだけ年功序列を廃し、仕事(役割)が適正に反映されるように設計されている。基本給は、役割等級制度(経営幹部職群、マネージャー職群、一般職群)に基づく範囲給としている。仕事の難易度、責任の重さを明確化して、下位等級の基本給金額が上位等級の基本給金額を上回らないようにしている。年功的な給与上昇を是正するために、各等級の上限と下限の金額幅を圧縮し同一等級内での基本給の昇給を抑制している。上位等級へ昇格する場合は、昇格前の号俸にかかわらず、原則として1号俸を初任号俸とし格付する。なお、旧社会保険庁からの移行組は、原則として、社会保険庁退職時の等級に対応する等級に格付している。
 
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退職手当は、毎年度の在級する等級のポイントを積み上げる方式(ポイント制)としている。
 
== 事件・不祥事 ==
*'''遺族年金の過払い'''
**2017年に[[会計検査院]]が、[[遺族年金]]の受給者をサンプリング調査したところ、再婚などで受給資格を失っているにもかかわらず受給されていた人数が約1,000人弱に及ぶことが明らかになった。同年春までに計約18億円が支払われた模様だが、うち約8億円分が[[消滅時効]](5年)を迎えていて、返還請求ができなくなっている<ref>[https://mainichi.jp/articles/20171011/k00/00m/040/158000c 日本年金機構 遺族年金、18億円過払い  検査院指摘へ] 毎日新聞 2017年10月11日</ref>。
*'''年金事務所からの個人情報持ち出し'''
**2017年6月、勤務先の年金事務所から個人情報20人分を持ち出したとして、[[淀川区|淀川]]年金事務所に勤務していた年金機構の職員と、社会保険庁職員OBの2名が、[[大阪府警察]]に[[窃盗罪|窃盗]]容疑で逮捕された。この事件による情報流出は400人分にも及ぶとされている<ref>[https://mainichi.jp/articles/20170630/k00/00m/040/151000c 年金情報 窃盗で機構職員ら逮捕  400人分流出か] 毎日新聞 2017年6月30日</ref>。その後7月に、見返りに12万円の現金を受け取ったとして職員が[[収賄罪|加重収賄]]容疑などで再逮捕され、社会保険庁職員OBについては、公訴時効が成立しているため贈賄容疑での立件は見送られたが、別の窃盗容疑で再逮捕された<ref>{{Cite web | url = http://www.jiji.com/sp/article?k=2017071901184&g=soc| title = 年金情報見返りに賄賂=容疑で機構元職員再逮捕-大阪府警| publisher = 時事通信| date = 2017-07-19| accessdate = 2017-07-19}}</ref>。OBの男は受け取った個人情報を探偵や占い師として悪用していたとみられている<ref>{{Cite web | url = http://www.mbs.jp/news/sp/kansai/20170720/00000074.shtml| title = 年金情報漏えい  探偵業や占いに個人情報悪用か| publisher =毎日放送| date = 2017-07-20| accessdate = 2017-07-26}}</ref>。
*'''年金管理システムサイバー攻撃問題'''
**2015年、年金情報を管理しているシステムに不正アクセスがあり約125万件とみられる個人情報が流出した<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150601/k10010099511000.html 不正アクセスで年金情報125万件が流出か]NHKニュース 2015年6月1日</ref><ref>[http://www.sanspo.com/geino/news/20150607/tro15060705000001-n1.html 日本年金機構、ずさん管理で不要データの削除怠り流出か]</ref>。
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**2013年、国家の失態によって支払われなかった年金の受給権利の「時効」を撤廃する時効特例給付を1,300件、10億円以上放置したことが発覚した。機構内職員からの指摘があったにも関わらず、機構は1年以上に渡って隠匿を続けたことも確認された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/news/130420/trd13042018010010-n1.htm 年金10億円支払う気なかった?日本年金機構の仰天業務実態 MSN産経ニュース 2013年4月20日]</ref>。
*'''社会保険庁OB官製談合事件'''
**2010年10月、機構発注業務についての入札にて内部情報を業者に漏洩したとして、機構職員と[[NTTソルコ]]社員(社保庁OB)が[[官製談合防止法]]違反容疑で逮捕された<ref>{{Cite news|agency=共同 |title=年金機構職員と社保庁OB逮捕  入札情報漏えい容疑 |date=2010-10-15 |url=http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010101401000894.html}}</ref>。
 
== 実質的天下りに対する懸念 ==
民営化し[[特殊法人]]となることで、職員の身分が非公務員となることから、[[国家公務員法]]の天下り規制の対象外となり実質的な天下りが行われるのではないかといった懸念が示された<ref name="minister">{{cite web|url=http://www.cao.go.jp/minister/0612_y_watanabe/kaiken/2007/0615kaiken.html |title=渡辺内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成19年6月15日 |publisher=内閣府 |date=2007-06-15 |accessdate=2011-01-01 }}</ref><ref>日本年金機構 監視の目が届くのか [[東京新聞]] 2007年6月30日</ref><ref>{{cite web|url=http://www.dpj.or.jp/special/passbook/index.html |title=役人が「日本年金機構」に抵抗しなかったワケ |publisher=[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]] |accessdate=2011-01-01}}</ref>。これについて[[渡辺喜美]][[内閣府特命担当大臣]]は[[記者会見]]で移行する2年先までに考えてもらうことになると述べた<ref name="minister"/>。
 
発足した1ヵ月後の平成22年2月1日付けで、多くの社会保険庁OB(元[[国家公務員]])が健康保険組合又は厚生年金基金などの外郭団体へ実質的に天下り、そのタイミングを逃したOBも着々と同様の天下りを果たしている。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}
 
== 関連項目 ==
*[[日本の年金]]
*[[地方支分部局]]
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*[[RISS]]([[情報処理安全確保支援士]])
 
== 外部リンク ==
*[http://www.nenkin.go.jp/ 日本年金機構]
*[http://www.nenkin.go.jp/pamphlet/index.html 日本年金機構用パンフレット] - 日本年金機構