「弦楽のためのレクイエム」の版間の差分

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=== 総譜 ===
[[総譜]]は、当初[[音楽之友社]]から発売されていたにもかかわらず、武満の名声を聞きつけた[[サラベール出版社]]が出版権を買収して、現在はサラベール出版社が独占して出版している。この行動は当然日本国内から多数の批判を集めたものの、日本国内でもフランス音楽の幾多の海賊版が出回っていたため、これに対して文句が言えなかった事情もあった。当然ミスプリントだらけで校訂はなされていない。これは「版権を譲渡した楽譜の加筆訂正を認めない」というサラベール社の方針に拠るものである
 
武満自身もこの楽譜の校訂を強く求めていたが、初演の際のヴァージョンが正しかったのか、自筆譜のcol legno+pizzicato<ref>初演の際に指揮者上田正によって破棄されたが、武満の自筆譜には撤回の痕跡はない。</ref>が正しかったのかは、正しい見解は得られていない。武満没後の[[2000年]]、[[川島素晴]]が全曲のミスプリントの校訂を音楽雑誌『[[エクスムジカ]]』誌上で、研究論文として発表した。ただし、[[著作権]]継承者で作曲者の妻である武満浅香の許可が下りておらず、この校訂版は出版されていない。
 
これに関しては、当時浅香夫人と校訂のコンタクトを取っていた川島が「弦楽のためのレクイエム」のヴァイオリンとピアノのための編曲版を演奏会にかけようとした際、許可が下りないうちに公示してしまったため両者の関係が悪化し、浅香夫人がサラベールおよびその代理店である日本ショットを通して、1回のみの上演許可を条件にこの川島の編曲を破棄させたという経緯がある。川島は「この作品がたった一本の旋律に和声が付属している」だけの構造であることを見抜き、『エクスムジカ<ref>ExMusica Vol.2</ref>』誌で発表した。「たった一本の旋律に和声をつける」という方針はその後の「For Away」でも曲頭から見られ、弦楽四重奏のための「ア・ウェイ・ア・ローン」やピアノのための「雨の木素描II」でも顕著なテクニックであることから、武満が原則的に作曲法を初期から一貫して変えなかったことの証明にもなっている
 
== 研究 ==