「ダブルスキン構造」の版間の差分

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==概要==
従来、鉄道車両の構体を構成するために必要だった外板と骨組([[柱]]や[[梁 (建築)|梁]])を一体にまとめた構造であり、その断面は、[[ダンボール]]と同じように、2枚の板の間にトラス状の補強部材が入っており、それにより、骨組み無しでも強度を確保できる仕組みとなっている。車体の製造時には、[[トラス]]状の断面を持つ[[アルミニウム合金]]の大型[[押し出し成形]]材を溶接でつなぎ合わせて製造されているが、最近の溶接方法は[[摩擦攪拌接合|摩擦攪拌溶接]](FSW)が主流となっており、[[近畿車輛]]ではレーザMIGハイブリッド溶接と呼ばれる独自の溶接方法を採用している<ref>局所的な高密度の加熱によるレーザー溶接と電極棒が溶加材として自動的に母材に送られてそのまま溶融して溶接される[[アーク溶接]]の一種である[[ミグ溶接|MIG溶接]]を併用した溶接方法であり、溶接速度が速くてひずみが少なく、溶接後の盛り上がりが少ないため、その後に行われる表面仕上げの作業時間を短縮できるメリットがある。</ref><ref>『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』[[交友社]] 2016年11月号 No.667 梓 岳志 芦山 公佐「私鉄通勤形電車 新図鑑 シリーズ化と個性」p23</ref>。利点としては、[[剛性]]が強く構体の[[たわみ]]が少ないこと。外壁部のみで必要な強度を確保できるため従来の[[シングルスキン構造]]で必要だった[[柱]]や[[梁 (建築)|梁]]といった骨材が不要であるため、室内への突起がなくなり室内空間を広く取れること。そして2枚の板と板の間の隙間に制振材を挿入することができるため、客室内への[[騒音]]をきわめて低く抑えることができることである。また、車体の屋根板と側板が一体化されたことによる部品点数の削減と柱や梁の省略により製造[[工程]]の簡素化や製造[[コスト]]の低減も実現している
 
利点としては、[[剛性]]が強く構体の[[たわみ]]が少ないことである。外壁部のみで必要な強度を確保できるため従来の[[シングルスキン構造]]で必要だった[[柱]]や[[梁 (建築)|梁]]といった骨材が不要であるため、室内への突起がなくなり室内空間を広く取れる。そして2枚の板と板の間の隙間に制振材を挿入することができるため、客室内への[[騒音]]をきわめて低く抑えることができることである。また、車体の屋根板と側板が一体化されたことによる部品点数の削減と柱や梁の省略により製造[[工程]]の簡素化や製造[[コスト]]の低減も実現している。
欠点としては、2重構造のため[[重量]]的には若干重めで軽量化に対しては若干不利(たとえば構体本体の重量(1両あたり平均)はダブルスキン構造の[[新幹線700系電車]]の7トンに対してよりシングルスキンの[[新幹線300系電車]]の方が6.2トンと軽い。)であることであるが、トータルバランスではシングルスキン構造より本構造の方が圧倒的に優れているため近年開発された[[新幹線N700系電車]]などの多くの鉄道車両の構体構造として採用されている。[[日立製作所]]の[[A-train (日立製作所)|A-train]]システムおよび[[川崎重工業]]の[[efACE]]システムでも採用されている。
 
欠点としては、2重構造のため[[重量]]的には若干重めで軽量化に対しては若干不利<ref>たとえば構体本体の重量(1両あたり平均)はダブルスキン構造の[[新幹線700系電車]]の7トンに対してよりシングルスキンの[[新幹線300系電車]]の方が6.2トンと軽い。)である</ref>なことであるが、トータルバランスではシングルスキン構造より本構造の方が圧倒的に優れているため近年開発された[[新幹線N700系電車]]などの多くの鉄道車両の構体構造として採用されている。[[日立製作所]]の[[A-train (日立製作所)|A-train]]システムおよび[[川崎重工業]]の[[efACE]]システムでも採用されている。
 
== 脚注 ==