「ワームホール」の版間の差分

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==実用化への問題==
通過可能なワームホールを考えることは研究上の遊びでもあり、[[キップ・ソーン]] (Kip Thorne) らの1988年の論文を端緒に市民権を得ている。小説「[[コンタクト_(映画)|コンタクト Contact]]」を執筆中だった[[カール・セーガン]] (Carl Sagan) が、地球外生命との接触が可能になるようなシナリオをなんとか科学的に作れないか、とソーンに話を持ちかけたのがきっかけだったという。ソーンらは「通過可能であるワームホール (traversable wormhole)」を物理的に定義し、[[アインシュタイン方程式]]の解としてそれが可能かどうかを調べた。そして、「もし[[負のエネルギー]]をもつ[[物質]]が存在するならば、通過可能なワームホールはアインシュタイン方程式の解として存在しうる」({{要出典範囲|負のエネルギーの存在は実験により確認済み。米ワシントン州立大学の研究者らが発表|date=[[http://tocana.jp/2017年4月}}/04/post_12913_entry.html]][[http://www.sciencealert.com/physicists-say-they-ve-created-a-fluid-with-negative-mass]])と結論し、さらに、時空間の[[ワープ]]や[[タイムトラベル]]をも可能にすることを示した。ただし、ここでの研究は、現在の技術では制御が難しい高密度(中性子星の中心部ほど)の負のエネルギーの存在を前提としており、また、どうやってワームホールを通過するのか、あるいは出口がどこなのかは全くの未知の問題として棚上げされた上での研究である。
 
後に、ソーンの考えたワームホール解は不安定解であることが数値計算から報告されている。数値計算ではワームホールを正の質量をもつ粒子が通過した場合、ワームホールは加速度的に潰れてブラックホールに変化してしまうという結論が得られている。そのため通行可能なワームホールは自然なままでは一度きりしか使えない一方通行の道になってしまう。しかしもし通行のたびに旅行者が加えた擾乱の分だけワームホールに人工的な補正を加えて恒久的に維持し続けられるなら、相互通行に使用できるということも数値計算から導かれている。