「チョウ目」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎チョウとガの区別: Nachtfalter(独)とHétérocères(仏)
チョウとガを区別しない文化の出典の追加
50行目:
見た目が「チョウ」であるのに「ガ」の属す科や属に属しているという[[アゲハモドキ]]のような例もある。
 
日本語では「チョウ」と「ガ」をはっきり区別しているが、[[ドイツ語圏]][[フランス語圏]]、[[ロシア語圏]]など、この2者を区別しない言語・文化もある{{要出典|date=2017年11月}}(鈴木孝夫「日本語と外国語」[岩波新書]pp.49-54)。元来、漢語の「蝶」とは「木の葉のようにひらひら舞う虫」を意味し、「蛾」とはカイコの成虫およびそれに類似した虫を意味する言葉であった。そのため、この漢語概念を取り入れた日本語において、そもそも「チョウ」と「ガ」は対立概念ではなかったのである。当然、今日「チョウ」と呼ぶ昆虫を「ガ」と認識することもあったし、逆もまた真である。さらに、「蛾」という語が産業昆虫として重要であり、しばしば民俗的に神聖視されるカイコの成虫がイメージの根底にあることからわかるように、今日のように不快昆虫というイメージもなかった。漢字文化圏で美人の眉のことを「カイコガの触角のような眉」を示す「蛾眉」なる語で示すことにそうした文化的背景がよく表されている。
 
むしろ日本における今日的な「チョウ」と「ガ」の線引きの起源をたどってみると、英語における "butterfly" と "moth" の線引きと一致し、英語圏からの近代博物学の導入に伴って英語の文化的分類様式が科学的分類法と混在して日本語に持ち込まれたことが推測される。英語と同じゲルマン語派のドイツ語におけるチョウ目の文化的分類様式を英語と比較してみると、日本語で「チョウ」と訳される "Schmetterling" はチョウ目の大型群、すなわち「チョウ」および大蛾類を併せた概念であり、英語の "moth" に対応する "Motte" はチョウ目の小型群、すなわち小蛾類を指す概念で、英語および近現代日本語における線引きと明瞭に異なっている。