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[[ファイル:Statue_of_Egyptian_Goddess_Hathor_from_Luxur_Museum_Egypt.jpg|thumb|right|160px|ルクソール美術館にあるハトホルの像]]
[[ファイル:GD-EG-Caire-Musée091.JPG|thumb|right|160px|太陽円盤、コブラ、並びに彼女の首飾りと王冠といった、彼女のシンボルのすべてを着けた、牝牛として表現されたハトホルの彫刻]]
'''ハトホル'''あるいは'''ハトル'''(Hathor)、'''フゥト・ホル'''は、古代[[エジプト神話]]の愛と美と豊穣と幸運の[[女神]]。聖獣は[[ウシ#性別・年齢による呼称|牝牛]]。
 
== 概要 ==
その名前の意味は、「顔の家」<ref name="Ions149">『エジプト神話』149頁。</ref>または、「ホルス神の館(家<ref name="古代エジプト百科事典421">[[ハトホル#古代エジプト百科事典|大英博物館 古代エジプト百科事典 (1997)]]、421頁</ref>)」<ref>「古代エジプト人と神々」41頁。</ref>と考えられており、'''ホル'''とは、[[ホルス]]のことを表しているとされる。ここからホルスの母あるいは、ホルス(「エドフのホルス(ホル・ベヘデティ)」)の妻と見做されるようになった。他にも多くの神の夫となり息子と考えられた神がいる。
 
その姿は、牝牛か牝牛の頭部を持つ人間<ref name="Ions153">『エジプト神話』153頁。</ref>で表された。人間の女性の姿で表される時も頭には、牛の角が生えていることがあり、角の間に太陽円盤を載せ<ref name="Ions153" />、牝牛の耳を持つ<ref name="古代エジプト百科事典421" />。
 
ラーの娘、母、妻などに位置付けられ太陽円盤は、その名残りであると考えられる。
 
== 家族 ==
初期の頃はハトホルは[[ラー]]と[[ヌト]]の間の娘とされていた<ref name="Ions149>『エジプト神話』149頁。<" /ref>。やがてラーの母、妻とされた。またラーの牡牛と結婚して音楽の神[[イヒ]]を産んだ<ref>『エジプト神話』150頁。</ref>。
 
やがてハトホルはラーとの間に[[ホルス]]を産んだ母と考えられるようになったが通常は「エドフのホルス」(ホルス・ベフデティ)の妻とみなされた<ref name="Ions152">『エジプト神話』152頁。</ref>。ハトホルという名は「顔の家」<ref name=Ions149 />または「ホルスの館(家<ref name="古代エジプト百科事典421">[[#古代エジプト百科事典|大英博物館 古代エジプト百科事典 (1997)]]、421頁</ref>)」<ref>「古代エジプト人と神々」41頁。</ref>を意味していると考えられており、'''ホル'''の部分はホルスのことを表しているとされる
 
多くの場合、イヒの父親は、エドフのホルスである。[[アメン|アメン・ラー]]を父としてイヒもホルス(「ホル・セマウ(上下エジプトの王ホルス)」)と同一視される場合もあった。
 
[[コム・オンボ]]では、夫が[[セベク]]、息子が[[コンス]]、死者を守る女神として[[アヌビス]]を夫とする場合、息子は、[[ウプウアウト]]とされた。
 
== 神話 ==
[[セト]]とホルスが戦った時、ホルスの傷を癒した。ここから治療の神とされる。
 
また死者を[[ドゥアト|冥界]]に導くとされる。
 
== 信仰 ==
主に[[デンデラ]]が信仰の中心地とされた。他にエジプト内では、[[サイス]]、[[ヘルモポリス]]、[[ヘリオポリス]]、クサエ、[[エジプト第9王朝|ヘラクレオポリス]]、[[エスナ]]、エジプト外では、[[ヌビア]]、[[プント国|プント]]、[[シナイ半島]]でも信仰されていた。
世界を生み出した天の牝牛<ref name=Ions149 />、鉱山の守護神<ref name="エジプト神々大百科143">[[#エジプト神々大百科|古代エジプト神々大百科 (2004)]]、143頁</ref>、ホルスのこの世の姿である[[ファラオ]]に乳を与える牝牛<ref name=Ions152 />、妊婦を守る女神<ref name=Ions152 />などの多様な性格をもち、{{要出典範囲|[[イシス]]に次いで広く崇拝された|date=2013年2月}}。ハトホルはしばしば牝牛の頭部をもつ姿で表され<ref name=Ions153>『エジプト神話』153頁。</ref>、その頭部を用いた装飾柱はハトホル柱(シストラム<ref name="古代エジプト百科事典221-222">[[#古代エジプト百科事典|大英博物館 古代エジプト百科事典 (1997)]]、221-222頁</ref>型柱)として知られる<ref name="古代エジプト神殿大百科149-150,177">[[#古代エジプト神殿大百科|古代エジプト神殿大百科 (2002)]]、149-150頁、177頁</ref>。ハトホルは、人間の女性の姿で表される時も頭には牛の角が生えていることがあり、角の間に太陽円盤を載せており<ref name=Ions153>『エジプト神話』153頁。</ref>、牝牛の耳を持つ<ref name="古代エジプト百科事典421"/>。
 
ハトホルを信仰する宗教儀式において楽器の[[シストラム]](シストルム)と[[メナト]]が用いられていた。
 
世界を生み出した天の牝牛<ref name="Ions149" />、鉱山の守護神<ref name="エジプト神々大百科143">[[#エジプト神々大百科|古代エジプト神々大百科 (2004)]]、143頁</ref>、ホルスのこの世の姿である[[ファラオ]]に乳を与える牝牛<ref name="Ions152" />、妊婦を守る女神<ref name="Ions152" />などの多様な性格を持ち{{要出典範囲|[[イシス]]に次いで広く崇拝された|date=2013年2月}}。
 
[[オシリス]]への信仰が主流となるとハトホルは死者を養う女神とも考えられるようになった<ref name="Ions153" />。冥界へ行く者達にパンと水{{要出典範囲|[[乳]]と[[イチジク]]から作られた食物|date=2013年2月}}を与える役割を持ち<ref>『エジプト神話』29頁。</ref>、そこから「[[エジプトイチジク]]の木の貴婦人」<ref name="oxford">''Oxford Guide to Egyptian Mythology'', Donald B. Redford (Editor), pp. 157–161, Berkley Reference, 2003, {{ISBN|0-425-19096-X}}</ref>または{{要出典範囲|「南方のイチジクの女主人」|date=2013年2月}}、ハトホル崇拝の中心地の一つであった特に[[メンフィス (エジプト)|メンフィス]]では「イチジクの女主」と呼ばれ<ref name="古代エジプト百科事典421-422">[[#古代エジプト百科事典|大英博物館 古代エジプト百科事典 (1997)]]、421-422頁</ref>、牝牛とともにイチジクも彼女の象徴とされる<ref name="Ions153" />。
 
ハトホルの頭部を用いた装飾柱は、ハトホル柱(シストラム<ref name="古代エジプト百科事典221-222">[[ハトホル#古代エジプト百科事典|大英博物館 古代エジプト百科事典 (1997)]]、221-222頁</ref>型柱)として知られる<ref name="古代エジプト神殿大百科149-150,177">[[ハトホル#古代エジプト神殿大百科|古代エジプト神殿大百科 (2002)]]、149-150頁、177頁</ref>。他にもシストラムや手鏡の柄の装飾にもハトホルの頭が用いられた。
[[オシリス]]への信仰が主流となると、ハトホルは死者を養う女神とも考えられるようになった<ref name=Ions153 />。冥界へ行く者達にパンと水{{要出典範囲|[[乳]]と[[イチジク]]から作られた食物|date=2013年2月}}を与える役割を持ち<ref>『エジプト神話』29頁。</ref>、そこから「[[エジプトイチジク]]の木の貴婦人」<ref name="oxford">''Oxford Guide to Egyptian Mythology'', Donald B. Redford (Editor), pp. 157–161, Berkley Reference, 2003, {{ISBN|0-425-19096-X}}</ref>または{{要出典範囲|「南方のイチジクの女主人」|date=2013年2月}}、ハトホル崇拝の中心地の一つであった[[メンフィス (エジプト)|メンフィス]]では「イチジクの女主」と呼ばれ<ref name="古代エジプト百科事典421-422">[[#古代エジプト百科事典|大英博物館 古代エジプト百科事典 (1997)]]、421-422頁</ref>、牝牛とともにイチジクも彼女の象徴とされる<ref name=Ions153 />。
 
ハトホルの性質の一部他の女神にも受け継がと同一視された。まずイシスは、ホルスの母えばしてファラオの守護者となった。次に[[バステト]]は、歓喜、音楽、踊りの性質を引き継いだことで崇拝は陽気な雰囲気の儀式で行われた<ref>『エジプト神話』193頁。</ref>。またそして[[セクメト]]は、人々を滅ぼしかねないほどの怒りに捕らわれたハトホルがとった化身とされた<ref>『エジプト神話』200頁。</ref>。
ハトホルを信仰する宗教儀式において、楽器の[[シストラム]](シストルム)と[[メナト]]が用いられていた。
 
母神の性格から女性ファラオが信仰し、[[ハトシェプスト]]、[[クレオパトラ7世|クレオパトラ]]などが知られる。
ハトホルの性質の一部は他の女神にも受け継がれた。たとえば[[バステト]]は、歓喜、音楽、踊りの性質を引き継いだことで、崇拝は陽気な雰囲気の儀式で行われた<ref>『エジプト神話』193頁。</ref>。また[[セクメト]]は、人々を滅ぼしかねないほどの怒りに捕らわれたハトホルがとった化身とされた<ref>『エジプト神話』200頁。</ref>。
 
時代が下るにつれハトホルへの崇拝はイシスらと共に[[ローマ帝国]]にまで広がっていった<ref>『エジプト神話』293頁。</ref>。ハトホルは、ギリシアでは[[アプロディーテー]]と同一視された<ref name="エジプト神々大百科141">[[#エジプト神々大百科|古代エジプト神々大百科 (2004)]]、141頁</ref>。
 
[[ファイル:Egypt.KV43.01.jpg|thumb|right|210px|神々に囲まれたハトホルが、新たに亡くなった[[ファラオ]]、[[トトメス4世]]を出迎えている。エジプト、[[ルクソール]]、[[王家の谷]]のトトメス4世の墓より]]