「カキ (貝)」の版間の差分

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広島での杭養殖画像を追加。殺菌の文言は出典に無い。
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カキの餌となる[[植物プランクトン]]を増やすため、[[栄養塩]]が湾に流れ込む川の上流の[[植林]]なども行われている<ref>[http://www.hs-gyoren.jp/ryomin.html 漁民の森作り] - 広島県漁業協同組合HP。</ref>。
 
;=== 養殖法 ===
; 石蒔式
: [[干潟]]に石を並べ、自然に付着した貝を育てる方法。生産性は高くないが容易に出来る。
[[File:Oyster Baskets.JPG|thumb|杭に取り付けられたカゴにカキが入れられている]]
[[File:観音 Kannon Hiroshima City - panoramio.jpg|thumb|right|[[広島市]]天満川河口に設置された杭]]
; 垂下方式
# 日本で最も多く行われている'''筏方式'''は、1950年代以降急速に普及拡大した技法である。'''ロープ'''や'''針金'''に等間隔で付着基材となる[[ホタテガイ]]の貝殻を固定し、貝殻に付着したカキを潮通しの良い海域に設置した[[筏]]に吊す方法。季節毎に筏の設置場所を移動し、湾内の広い水域を養殖場として利用できる。このため効率が良く成長が早く、1年で出荷可能な大きさにまで育ち、大量生産が可能になった。しかし、筏垂下では成長に伴うロスのほか[[台風]]や時化により付着基材からカキが脱落したり、波浪のため筏が損傷したりする事がある。一方、[[延縄]](はえなわ)方式の養殖法を用いると脱落を減少させる事が可能であると報告されている<ref>[http://feis.fra.affrc.go.jp/seika/h12/feis1218.html 延縄式養殖施設を用いたカキ養殖試験 福岡県水産海洋技術センター豊前海研究所] 水産総合研究センター 平成12年度瀬戸内海区ブロック研究成果情報</ref>。
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; 陸上養殖
: 食中毒の原因となる[[寄生虫]]や病原微生物が少ない[[地下水|地下海水]]を使う[[閉鎖循環式陸上養殖|陸上養殖]]も、日本では行われている。[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]は[[大崎上島]](広島県)で育てた陸上養殖カキを「オイスターぼんぼん」の商品名で出荷している<ref>[https://www.westjr.co.jp/press/article/smt/2017/11/page_11558.html 「オイスターぼんぼん」11月30日から順次販売開始!オイスターバーに加え、新たにホテルグランヴィア、寿司・和食店、割烹、フランス料理店、カフェレストランでも!ご自宅でお召し上がりいただけるようインターネットでも販売開始!]JR西日本プレスリリース(2017年11月30日)(</ref>。
 
=== 日本における漁獲量 ===
{| class="wikitable floatright" style="text-align:center; margin-right:5em"
|+ 2015年(平成27年)道県別かき産量<ref>[http://www.maff.go.jp/j/tokei/seiryu/kamimen_gaisuu27/kaimen27.html 平成27年漁業・養殖業生産統計(概数値)] 農林水産省</ref>
! !! 道県 !! 生産量 (単位=1万t)
|-
| || 全国 || 16.41
|-
| 1 || 広島 || 10.68
|-
| 2 || 宮城 || 1.87
|-
| 3 || 岡山 || 1.07
|-
| 4 || 兵庫 || .62
|-
| 5 || 岩手 || .58
|-
| 6 || 北海道 || .41
|-
| 7 || 三重 || .32
|-
| 8 || 福岡 || .17
|-
| 9 || 石川 || .14
|-
| 10 || 長崎 || .12
|}
 
; 生産量年次推移 (1956-2012) 単位 1万トン
{{ #invoke:Chart | bar chart
| group 1 = 11.4:14.4:15.1:15:18.3:17.3:20.4:24:24.1:21.1:22.1:23.2:26.7:24.6:19.1:19.4:21.7:23:21.1:20.1:22.6:21.3:23.2:20.6:26.1:23.5:25:25.3:25.7:25.1:25.2:25.9:27.1:25.6:24.9:23.9:24.5:23.6:22.4:22.7:22.3:21.8:20:20.5:22.1:23.2:22.1:22.5:23.4:21.9:20.8:20.5:19:21:20:16.6:16.1
| links = 西暦年
| tooltip1 = tooltip2
| colors = green
| group names = かき生産量推移
| x legends = 1956:57:58:59:60:61:62:63:64:65:66:67:68:69:70:71:72:73:74:75:76:77:78:79:80:81:82:83:84:85:86:87:88:89:90:91:92:93:94:95:96:97:98:99:2000:01:02:03:04:05:06:07:08:09:10:11:12
}}
年次推移出典:総務省統計局 海面漁業生産統計調査 長期累年(昭和31年〜平成24年)<ref>[http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001024930&cycode=0 海面漁業生産統計調査 長期累年] 総務省統計局</ref>
* 1988年最大量の約27万t を記録した。2012年は約16万t。
 
== 主な食用種 ==
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* 定期的な[[貝毒]]検査の実施<ref name="kaidoku"/>
* 大腸菌群最確数が一定以下の海域で採取されたもの
* それ以外の海域で採取されたものであって、[[大腸菌]]群最確数が一定以下の海水、または塩分濃度3%の人工塩水を用い、かつ、当該海水若しくは人工塩水を随時換え、又は殺菌しながら浄化したもの
のどちらかであることが規定されている<ref>[http://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/58/1291003977219.html 広島かきの衛生対策] 広島県</ref>。また、規格基準としては、細菌数''E.coli''([[大腸菌]])最確数、''V. parahaemolyticus''([[腸炎ビブリオ]])最確数も規定されている。これらに加えさらに厳しい指導基準を各生産地域が設けている場合もある<ref>[http://www.pref.mie.lg.jp/NHOKEN/HP/76773045699.htm みえのカキ安心確保の取り組みについて] 三重県</ref>。なお、生食用カキの上記加工基準を満たすために、[[紫外線]][[殺菌]]された海水中や[[人工海水]]などを充分に循環させた環境下にて絶食状態として数日間飼育される場合がある。この場合、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌の大部分を貝内から排出させほぼ無菌状態になることとは引き替えに、同様の処理がされていないものに比べ身が痩せてしまうこともあるので、加熱処理用のものよりも味が劣ることがある<ref>[http://mainichi.jp/life/food/hyoji/archive/news/2010/20101027ddm013100166000c.html 食品表示のおいしい読み方:/11 カキの「生食用」は新鮮なわけじゃない!? - 毎日jp(毎日新聞)]</ref>。
 
市販されているカキのパッケージには、殺菌処理をした「生食用」と、処理を施していない「加熱用」が記されている。故に、中毒を防ぐために加熱用のカキは生食すべきではない。
 
現代において、食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、[[細菌]]([[腸炎ビブリオ]]、[[大腸菌]]など)と[[ウイルス]](特に[[ノロウイルス]])がよく知られているが、どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、二枚貝特有の摂餌行動などによって貝内部、特に消化器官([[中腸腺]]など)に取り込まれ濃縮されるものである。
195 ⟶ 155行目:
: これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性があると言えるので、家庭で調理する際には十分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるようような時期はやはり[[食中毒]]の原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
; [[大腸菌]]
: 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射および殺菌海水や清浄海水などの循環によって同菌への対策がなされている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
; [[赤痢菌]]
: 日本国内産についてはまず問題になることはないが、韓国では[[2001年]]にカキが原因で1,000人規模の罹患者を出した。この際、韓国産のカキが日本国内において、国内産として[[産地偽装]]され流通されていることが発覚した。
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=== その他 ===
; 養殖
: カキの養殖用の[[いかだ]](カキいかだ)を用いて養殖が行われている。天然の環境を利用して半養殖の形で採取することが多い。
: 海苔の養殖などにおいて、海苔の糸状体が蛎殻に付着することを利用し、採苗に貝殻が利用される場合もある。
; 海水の浄化
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; [[肥料]]
: 粉砕された殻が「かき殻石灰」などの名前で有機石灰の一種として供給される。[[消石灰]]と異なり、作物に有効な微量元素を多く含んでいる<ref>森本正則、守本信一、宮本信彦ほか、『ケイ酸入り牡蠣殻石灰粒状肥料の水稲施肥試験』 近畿大学資源再生研究所報告 (7), 57-61, 2009-03, {{naid|120003184680}}</ref><ref>[http://lib.ruralnet.or.jp/genno/yougo/gy247.html カキ殻(かきがら)] 月刊 『近代農業』 農文協データベース</ref>。
 
=== 日本における漁獲量 ===
{| class="wikitable floatright" style="text-align:center; margin-right:5em"
|+ 2015年(平成27年)道県別かき産量<ref>[http://www.maff.go.jp/j/tokei/seiryu/kamimen_gaisuu27/kaimen27.html 平成27年漁業・養殖業生産統計(概数値)] 農林水産省</ref>
! !! 道県 !! 生産量 (単位=1万t)
|-
| || 全国 || 16.41
|-
| 1 || 広島 || 10.68
|-
| 2 || 宮城 || 1.87
|-
| 3 || 岡山 || 1.07
|-
| 4 || 兵庫 || .62
|-
| 5 || 岩手 || .58
|-
| 6 || 北海道 || .41
|-
| 7 || 三重 || .32
|-
| 8 || 福岡 || .17
|-
| 9 || 石川 || .14
|-
| 10 || 長崎 || .12
|}
 
; 生産量年次推移 (1956-2012) 単位 1万トン
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}}
年次推移出典:総務省統計局 海面漁業生産統計調査 長期累年(昭和31年〜平成24年)<ref>[http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001024930&cycode=0 海面漁業生産統計調査 長期累年] 総務省統計局</ref>
* 1988年最大量の約27万t を記録した。2012年は約16万t。
 
=== 流通に係わる法制度 ===
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同時に、大腸菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌O157、ノロウイルス、貝毒等の項目の検査と履歴の保存を指導している。また、生食用カキが原因となる食中毒が発生した際に、速やかな調査と食中毒事故の拡大を防止する目的で、採取海域の表示を義務付けている。
 
=== 日本の産地 ===
日本の[[2014年]]におけるカキの水揚げ量は183,685トン。内訳は[[広島県]]が116,672トンでシェア約64%、[[宮城県]]が20,865トンでシェア約11%、[[岡山県]]が16,825トンでシェア約9%、以下[[兵庫県]]、[[岩手県]]、[[三重県]]、[[北海道]]、[[石川県]]、[[福岡県]]、[[長崎県]]、[[香川県]]、[[新潟県]]、[[愛媛県]]、[[京都府]]…と広島産([[広島かき]])が全国の過半数を占める。また、同年の輸入量は14,892トンであり、輸入量の93%を韓国からのものが占めていた。