「パナマ文書」の版間の差分

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== 概説 ==
この文書は、[[1970年代]]から作成されたもので、総数は1150万件に上る。文書には[[オフショア金融センター]]を利用する21万4000社の企業の、株主や取締役などの情報を含む詳細な情報が書かれている。これらの企業の関係者には、多くの著名な政治家や富裕層の人々がおり、公的組織も存在する。たとえば、[[マレーシア]]の政府基金[[:en:1Malaysia Development Berhad|1MDB]] をめぐる[[汚職]]事件をきっかけとする捜査の進む途中で、実業家の[[:en:Khadem al-Qubaisi|Khadem al-Qubaisi]] が、パナマ文書に載っているオフショア会社を経由し、[[ジュネーヴ]]に本店があるエドモン・ド・[[ロスチャイルド|ロチルド]]銀行の[[ルクセンブルク]]支店で口座を開設したことが分かっている<ref>[[:en:Luxemburger Wort|Luxemburger Wort]], "[http://www.wort.lu/de/business/scandale-1mdb-la-justice-passe-a-l-action-578f8697ac730ff4e7f63c98 La justice passe à l'action]", Veröffentlicht am Mittwoch, 20. Juli 2016 um 16:11, Une banque luxembourgeoise perquisitionnée</ref>。
 
パリ家と[[イスラエル]]の[[オーストリア銀行|コネクション]]にちなみ、あと一例を挙げる。''[[イスラエル銀行|Bank Leumi]]'' と''[[:en:Bank Hapoalim|Bank Hapoalim]]'' それぞれの子会社も掲載されている<ref>[[ニューズウィーク]] [http://europe.newsweek.com/panama-papers-who-implicated-middle-east-443791?rm=eu Panama Papers: Who Is Implicated From the Middle East?] 2016/4/4</ref><ref>[[:en:Jewish Agency for Israel|Jewish Agency for Israel]] [http://www.timesofisrael.com/600-israeli-companies-850-shareholders-listed-in-panama-data-leak/ 600 Israeli companies, 850 shareholders listed in Panama data leak] April 4, 2016</ref>。前者は[[ボーア戦争]]の年に''Anglo Palestine Bank'' という[[アングロアメリカン]]を想起させる名前で創立しただけあって[[バークレイズ]]とも関係している。[[バブル崩壊]]したころ、バンク・レウミの議決権は大半を[[:en:Jewish Agency for Israel|ユダヤ機関]]が握っていた<ref>Yair Aharoni, ''The Israeli Economy (Routledge Revivals): Dreams and Realities'', Routledge, 2014, p. 172.</ref>。ユダヤ機関は[[ウォール街大暴落 (1929年)|ウォール街大暴落]]の年に[[ハイム・ヴァイツマン]]がつくったロビー多国籍企業である。1979年にはイスラエル内企業の株を40億イスラエルポンドも所有する[[コンツェルン]]となっていた。後者のバンク・ハポアリムは、[[イラン・コントラ事件]]で密輸の送金を受けたことが分かり預金者の暗躍が疑われた。本社所在地が[[テルアビブ]]ロスチャイルド通り50番地(50th Rothschild Boulevard)である。
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流出した文書のデータ量は2.6TBと、[[2010年]]の[[アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件]](1.7[[ギガバイト]] (GB))<ref name=DerFreitag>{{cite news |title=Leck bei Wikileaks |trans_title=Leak at Wikileaks |language=German |first=Steffen |last=Kraft |url=http://www.freitag.de/politik/1134-nerds-ohne-nerven |newspaper=Der Freitag |archiveurl=https://www.webcitation.org/65z29SarG?url=http://www.freitag.de/politik/1134-nerds-ohne-nerven |archivedate=2012年3月7日 |deadurl=no |date=August 25, 2011 |accessdate=March 7, 2012 |deadurldate=2017年9月 }}</ref>、[[2013年]]の{{仮リンク|オフショア・リークス|en|Offshore leaks}} (260GB)、[[2014年]]の[[ルクセンブルク・リークス]] (4GB) や[[2015年]]の[[スイスリークス事件|スイス・リークス]] (3.3GB) より遥かに大きい。文書には、[[1970年代]]から[[2016年]]の[[春]]までに作られた480万4618件の[[電子メール]]、215万4264件の[[Portable Document Format|PDFファイル]]、111万7026件の[[写真]]、304万7306件のモサック・フォンセカ法律事務所の内部データベースの概要ファイル、32万0166件の[[テキストファイル]]及び2242件のその他のファイルが含まれる<ref name="szabout" />。流出したデータには、約21万4千社のオフショア会社の電子メール・契約書・スキャン文書などが入っている<ref name="szabout" />。
 
一方[[ウィキリークス]]は、パナマ文書の流出には[[米国国際開発庁]]とアメリカの投資家の[[ジョージ・ソロス]]が関わっていると[[Twitter]]上で発表した<ref>{{cite news |title=#PanamaPapers Putin attack was produced by OCCRP which targets Russia & former USSR and was funded by USAID & Soros |url=https://twitter.com/wikileaks/status/717458064324964352 |newspaper=[[ウィキリークス]][[Twitter]] |agency=[[ウィキリークス]] |date=April 6, 2016 |accessdate=April 7, 2016 }}</ref><ref>{{cite news |title=ウィクリークス「パナマ文書」流出の黒幕はソロス氏 |url=http://jp.sputniknews.com/life/20160407/1914845.html |newspaper=[[ロシア・トゥデイ]] |agency=[[ウィキリークス]] |date=April 6, 2016 |accessdate=April 7, 2016 }}</ref>。
 
2016年6月にスイス当局は、モサック・フォンセカ法律事務所ジュネーブ事業所のIT技術者を、機密文書の[[情報漏洩]]の疑いで拘束していることを発表した。2017年2月パナマ検察がモサック・フォンセカ法律事務所の経営者2人を逮捕した。ブラジル国営石油公社[[ペトロブラス]]の汚職事件で、賄賂をめぐる不透明な資金の扱い方を指南し、[[資金洗浄]]に関与したとされる<ref>[http://www.jiji.com/sp/article?k=2017021400851&g=int 文書流出元の経営者2人逮捕=汚職めぐる資金洗浄指南か-パナマ] 時事ドットコム 2017年2月14日付</ref>
 
2017年2月にはマネーロンダリングなどの容疑でパナマ検察がモサック・フォンセカ法律事務所の経営者2人を逮捕した。ブラジル国営石油公社[[ペトロブラス]]の汚職事件で、賄賂をめぐる不透明な資金の扱い方を指南し、[[資金洗浄]]に関与したとされる<ref>[http://www.jiji.com/sp/article?k=2017021400851&g=int 文書流出元の経営者2人逮捕=汚職めぐる資金洗浄指南か-パナマ] 時事ドットコム 2017年2月14日付</ref>。
 
== 内容 ==
漏洩したのはモサック・フォンセカ法律事務所が1970年代から2016年初までに作成した、合計2.6[[テラバイト|TB]]の1150万件の機密文書であり<ref name="Guardian: how the rich"/>、21万4488社のオフショア法人に関する情報が含まれる<ref name="OCCRP Giant leak">{{cite web|author1=The International Consortium of Investigative Journalists|title=Giant leak of offshore financial records exposes global array of crime and corruption|url=https://www.occrp.org/en/panamapapers/overview/intro/|website=OCCRP|archiveurl=https://www.webcitation.org/6gVXG3LvI?url=https://www.occrp.org/en/panamapapers/overview/intro/|archivedate=2016年4月4日|date=April 3, 2016|accessdate=April 4, 2016|deadurldate=2017年9月}}</ref>。これらの文書は80か国のジャーナリストにより分析されている<ref name="Guardian: how the rich"/>。ICIJの[[ジェラード・ライル]]理事長 (Gerard Ryle) がこの漏洩事件を「[[オフショア市場|オフショア金融市場]]に対する今までで最も大きな打撃」と評した<ref name="BBC: reveal"/>。HSBCに[[ロスチャイルド]]、そして[[ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド]]の部門で由緒ある''[[:en:Coutts|Coutts]]'' が親会社、オフショア法人設立をあっせんした主要銀行として注目された<ref>KiwiReport [http://www.kiwireport.com/panama-papers-cast-shadow-on-british-banks/ Panama Papers Cast Shadow On British Banks] Apr 11, 2016</ref><ref>HSBCがフィナンシャル・タイムズでマスコミに慎重なハイライトを求めたからか、大手メディアがメガバンクを追及する報道が少ない。また、そのわずかなウェブ上の記事を閲覧しようとするとパソコンの動作が重くなることがある。</ref>。オフショア法人の設立あっせんで最大手はルクセンブルク国際銀行([[:en:Banque Internationale à Luxembourg|Banque Internationale à Luxembourg]])の100%子会社(Experta Corporate & Trust Services)である。親会社ルクセンブルク国際銀行は[[クリアストリーム]]の創立にかかわった一行であり、1999年[[デクシア]]に買収された
{{See|en:List of people named in the Panama Papers}}
漏洩したのはモサック・フォンセカ法律事務所が1970年代から2016年初までに作成した、合計2.6[[テラバイト|TB]]の1150万件の機密文書であり<ref name="Guardian: how the rich"/>、21万4488社のオフショア法人に関する情報が含まれる<ref name="OCCRP Giant leak">{{cite web|author1=The International Consortium of Investigative Journalists|title=Giant leak of offshore financial records exposes global array of crime and corruption|url=https://www.occrp.org/en/panamapapers/overview/intro/|website=OCCRP|archiveurl=https://www.webcitation.org/6gVXG3LvI?url=https://www.occrp.org/en/panamapapers/overview/intro/|archivedate=2016年4月4日|date=April 3, 2016|accessdate=April 4, 2016|deadurldate=2017年9月}}</ref>。これらの文書は80か国のジャーナリストにより分析されている<ref name="Guardian: how the rich"/>。ICIJの[[ジェラード・ライル]]理事長 (Gerard Ryle) がこの漏洩事件を「[[オフショア市場|オフショア金融市場]]に対する今までで最も大きな打撃」と評した<ref name="BBC: reveal"/>。HSBCに[[ロスチャイルド]]、そして[[ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド]]の部門で由緒ある''[[:en:Coutts|Coutts]]'' が親会社として注目された<ref>KiwiReport [http://www.kiwireport.com/panama-papers-cast-shadow-on-british-banks/ Panama Papers Cast Shadow On British Banks] Apr 11, 2016</ref><ref>HSBCがフィナンシャル・タイムズでマスコミに慎重なハイライトを求めたからか、大手メディアがメガバンクを追及する報道が少ない。また、そのわずかなウェブ上の記事を閲覧しようとするとパソコンの動作が重くなることがある。</ref>。
 
{{更新|date=2016年6月|section=1}}
パナマ文書には、以下の通り現職・元職の[[元首]]や[[首相]]の名が列挙されている([[:en:List of people named in the Panama Papers|英語版での一覧]])<ref name="Power Players"/>。報道によると、複数の政治家やその親族がオフショア会社と金銭的・権力的なつながりを持っている<ref name="Fusion: Wikileaks of the mega-rich"/><ref name="Guardian: how the rich"/><ref name="Power Players">{{cite web |title=Panama Papers: The Power Players |url=https://panamapapers.icij.org/the_power_players/ |publisher=International Consortium of Investigative Journalists |accessdate=April 3, 2016 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160404042238/https://panamapapers.icij.org/the_power_players/ |archivedate= April 3, 2016 |dead-url=no}}</ref>。例えば、アルゼンチンの[[マウリシオ・マクリ]]大統領はバハマのある貿易会社の取締役であるが、この情報は[[ブエノスアイレス]]市長時代に公開しなかった。ただし、当時非株式取締役に関する[[情報公開]]の必要があったかどうかは不明である<ref name="Fusion: Wikileaks of the mega-rich"/>。また、『ガーディアン』の報道によると、[[国際サッカー連盟|FIFA]]倫理委員会の委員の1人と[[エウヘニオ・フィゲレド]]元副会長 (Eugenio Figueredo) との間には、[[利益相反]]の故に大規模な争いがあったことも明らかにした<ref name="Guardian: FIFA Ethics"/>。2016年5月12日、[[オーストラリア]]の[[マルコム・ターンブル]]首相が文書に名前を発見された。
 
{{更新|date=2016年6月|section=1}}
パナマ文書には、以下の通り現職・元職の[[元首]]や[[首相]]の名が列挙されている<ref name="Power Players"/>。
* 肩書は文書流出時
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=== ウクライナ ===
ウクライナの[[ペトロ・ポロシェンコ]]大統領は自身の租税回避疑惑について、「[[説明責任]]を果たしていた」「極めて透明性が高い」と主張した。ポロシェンコが所有した菓子会社の売却を委託された法律事務所は公開声明で、イギリス領バージン諸島にあるオフショア会社はウクライナの法律に基づいて設立されたものであると述べた<ref>{{Cite web|url=http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN0X11YL.html|title=ウクライナ大統領、租税回避疑惑で自身を擁護|accessdate=April 7, 2016|author=|date=April 5, 2016|publisher=朝日新聞}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2743892.html|title=ウクライナ大統領「不透明な取引は行っていない」|accessdate=April 7, 2016|author=|date=April 6, 2016|publisher=[[TBS News]]}}</ref>。
 
=== 日本 ===
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== 関連項目 ==
{{Commonscat|Panama Papers}}
* オフショア金融センター
* [[租税回避]]、[[脱税]]
* [[タックス・ヘイヴン]] - [[タックスヘイヴン対策税制]]
* [[ペーパーカンパニー]]
* [[フリーライダー]]
* [[資金洗浄]]
* [[汚職]]
* [[説明責任]]
* {{仮リンク|オフショアリークス|en|Offshore leaks}} - 2013年に公開されたリスト
* [[バハマ文書]] - 2016年に公開されたもの