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'''グルタルアルデヒド'''(Glutaraldehyde)は、示性式OHC(CH<sub>2</sub>)<sub>3</sub>CHO として表される[[アルデヒド]]の一つ。'''グルタールアルデヒド'''とも呼ばれる。[[IUPAC命名法]]では'''1,5-ペンタンジアール'''(1,5-Pentanedial)。分子量 100.12。[[CAS登録番号]]は [111-30-8]。[[融点]] &minus;14 ℃ の無色またはわずかに薄い黄色の[[液体]]で、特異な刺激臭がある。[[水]]、[[アルコール]]、[[アセトン]]に易溶。比較的不安定で、加熱すると[[重合]]することがある。また、酸化によって[[グルタル酸]]に変化する。
 
グルタルアルデヒドは[[殺菌薬|殺菌消毒薬]]として利用され、2~20%溶液がグルタラールという商品名で販売されている。主に医療器具の[[滅菌]]、[[殺菌]]、[[消毒]]に用いられる。ほとんど全ての[[細菌]]、[[真菌]]、[[芽胞]]、[[ウイルス]]に有効である。作用機序は[[細胞質]]の[[アミノ基]]の部分をアルキル化することによる。[[炭疽菌]]の芽胞にも有効であり、[[ホルムアルデヒド]]、[[次亜塩素酸ナトリウム]]、[[過酸化水素]]、[[過酸|過酢酸]]とともに[[WHO]]([[世界保健機関]])が炭疽菌の消毒薬として推奨する消毒薬の一つである。人体へは毒性が強いために使用できない。
 
[[生化学]]や[[形態学]]など[[生物学]]分野においては[[固定 (組織学)|固定液]]として利用される。特に[[電子顕微鏡]]([[透過型電子顕微鏡|透過型]]、[[走査型電子顕微鏡|走査型]]双方)観察用の標本調整では、固定力が強く、[[細胞]]の微細構造をよく保存するので基本的な固定液として重要である。植物[[プランクトン]]の[[標本]]固定にも、通常グルタルアルデヒドが用いられる。[[ホルムアルデヒド]]([[水溶液]]は[[ホルマリン]])よりも[[細胞]]内への浸透は遅いが、固定力は強い。ホルマリン同様[[酵素]]活性や免疫学的活性もある程度保存するが、これらの保存性はホルマリンの方がよい。そのため、しばしばこれらの2つの[[アルデヒド]]を併用して互いの欠点を補うような用い方をする。[[オスミウム酸]]より少し速く細胞に浸透するが、透過型電子顕微鏡観察に際しては切片の電子染色効果が低いので、オスミウム酸固定と併用する。