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[[力学系]]において'''ホップ分岐'''(ホップぶんき、{{Lang-en-short|Hopf bifurcation}})とは、系の安定性の変化により周期解が生じる[[分岐 (カオス理論)|分岐]]の一種である。この分岐でより正確には、[[固定点]]での線形近似に対する[[複素共役]]な二つの[[固有値]]のペア[[複素平面]]の[[座標軸|虚軸]]を横切る際に、ある力学系の[[固定点]]が安定性を失う局所的な分岐のことをいう。ある程度一般的な力学系に対しては、固定点から小さい振幅の[[リミットサイクル]]が分岐する。
 
[[アンリ・ポアンカレ]]、{{仮リンク|アレクサンドル・アンドロノフ|en|Aleksandr Andronov}}および{{仮リンク|エバーハルト・ホップ|en|Eberhard Hopf}}の名にちなみ、'''ポアンカレ・アンドロノフ・ホップ分岐'''と呼ばれることもある。
ホップ分岐の[[正準系]]は、
 
== 概要 ==
{{Indent|<math>\frac{dz}{dt}=z(\lambda + b |z|^2), </math>}}
 
=== 超臨界ホップ分岐と亜臨界ホップ分岐 ===
である。ここで、''z'' , ''b'' は[[複素数]] 、<math> \lambda </math>はパラメーターである。また、 ''b'' は、'''リアプノフ係数'''と呼ばれることもある。
 
ホップ分岐も、[[ピッチフォーク分岐]]と同様に、'''超臨界'''と'''亜臨界'''の二種類がある。リミットサイクルは、'''第一リアプノフ係数'''(the first Lyapunov coefficient)と呼ばれる値が負ならば軌道安定であり、このとき分岐は超臨界である。第一リアプノフ係数が負でないならば、リミットサイクルは不安定であり、分岐は亜臨界である。
ホップ分岐も、[[ピッチフォーク分岐]]と同様に、スーパークリティカルとサブクリティカルの二種類がある。
 
ホップ分岐の{{仮リンク|正準系|en|normal form (dynamical systems)}}は、
 
{{Indent|<math>\frac{dz}{dt}=z((\lambda+i) + b |z|^2), </math>}}
 
である。ここで、''z'' , ''b'' は[[複素数]] 、<math> \lambda </math> はパラメーターである。また、 ''b'' '''リアプノフ係数'''と呼ばれることもある。
 
{{Indent|<math> b= \alpha + i \beta. \,</math>}}
 
と表すとき、<math>\alpha</math> を第一リアプノフ係数と呼ぶ。
 
* <math>\alpha</math> が負ならば、''&lambda;''&nbsp;>&nbsp;0 に対する次の安定なリミットサイクルが存在する:
 
::<math> z(t) = r e^{i \omega t} \,</math>
 
: ここで
::<math> r=\sqrt{-\lambda/\alpha}\text{ and }\omega= 1 + \beta r^2 \, </math>
: である。このときの分岐は'''超臨界'''と呼ばれる。
* <math>\alpha</math> が正ならば、''&lambda;''&nbsp;<&nbsp;0 に対するある不安定なリミットサイクルが存在する。このときの分岐は'''亜臨界'''と呼ばれる。
 
ホップ分岐は、[[ベロウソフ・ジャボチンスキー反応]]などで起こる。