「眼下の敵」の版間の差分

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==概要==
元[[イギリス海軍]][[中佐]]D・A・レイナーの実体験を元にした小説・「水面下の敵」を、20世紀フォックスが映画化した作品。[[対潜戦]]の心理的駆け引きと1対1の決闘を描き、[[戦争映画]]・潜水艦映画の古典的名作として名高い。また、主演の[[ロバート・ミッチャム]]の代表作の一つである。共演した[[クルト・ユルゲンス]]にとっては初のハリウッド映画出演で、戦後ドイツを代表する俳優として知られつつあった彼は本作で知名度をさらに高め、以後、戦争映画でのドイツ軍人を当たり役とするようになった。俳優出身である[[ディック・パウエル]]の、映画監督としての代表作でもある。
 
破壊シーンは[[ミニチュア]][[特撮]]が使われているが、撮影には[[アメリカ海軍]]が全面協力しており、実際の[[駆逐艦]]を用いての砲撃・爆雷投下シーンは大迫力で評判になった。また

米独どちらかを一方的に悪役とはせず、両者を公平に描いている。原作では連合国側駆逐艦はイギリス海軍所属「ヘカテ」とされたが、映画化に際してはアメリカ海軍の駆逐艦に差し替えられている。
 
ドイツ人役も英語であるが、ドイツ語訛りの英語で差別化を図っている。
 
音響効果を担当したウォルター・ロッシは、[[1957年]]度アカデミー賞最優秀特殊効果賞(現[[アカデミー音響編集賞]])を受賞。
 
==あらすじ==
[[第二次世界大戦]]中の南[[大西洋]]。[[トリニダード・トバゴ]]へ向け航行中の[[アメリカ海軍]]の[[バックレイ級護衛駆逐艦]]「ヘインズ」は、民間出身の新任艦長マレルが指揮していたが、出港以来艦長室から出てこないため乗組員たちは「素人艦長」と陰口[[船酔い]]叩き疑い、その手腕資質に疑問を抱いていた。ある日の夜、ヘインズは浮上航行中の[[ドイツ海軍 (国防軍)|ドイツ海軍]]の[[UボートIX型]]を発見する。マレルはUボートを追尾し、Uボートの艦長シュトルベルクは追跡を振り切ろうとする。しかし、Uボートは[[イギリス]]の暗号表受け取りのため進路140([[方位|360°式]]で南東)を取らざるを得なかったため、追跡を振り切って逃げ出すことができず、その意図を見抜いたマレルは、早朝に爆雷攻撃を指令する。シュトルベルクも魚雷を発射して反撃するが、ヘインズはマレルの指揮で魚雷を交わし、Uボートは海底に潜航していく。的確な攻撃と回避を果たしたことで、乗組員たちはマレルへの態度を改め、その指揮に敬意を示すようになる。
 
マレルは近海の友軍に援軍を求めるが、到着まで半日以上かかることが判明し、援軍の到着前にドイツ艦隊に捕捉される可能性があった。これに対し、マレルは波状攻撃を仕掛けてUボートの乗組員を心理的に追い込む作戦を立案し、実行に移す。度重なる爆雷攻撃により、Uボートの乗組員たちは目論み通り心理的に追い詰められ混乱が生じていく。しかし、[[第一次世界大戦]]以来のUボート乗りであるシュトルベルクの人望で乗組員たちは正気を取り戻していく。聴音機からその様子を知ったマレルは、敵であるシュトルベルクに敬意を抱くようになり、一方のシュトルベルクも戦いを通じてマレルを好敵手と認識するようになる。
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; マレル艦長
: 演:[[ロバート・ミッチャム]]
: [[バックレイ級護衛駆逐艦]]「ヘインズ」の艦長、階級は[[少佐]]。[[貨物]]の三等航海士だったが船をUボートに撃沈され、一緒に乗船していた妻を失い、自らも長期間海を漂流していた。治療を終えた後に海軍に志願するが完全に回復しておらず比較的負担の少ない海域に回された。当初は部屋で休養していたため乗組員から「海軍も落ちたものだ、民間船酔いする素出身の艦長とは」と軽んじられていた。しかし実際には卓越した戦術指揮能力と勝負勘の持ち主であり、Uボートの動きを読み切って攻撃を再三かわし、部下の信頼を一挙に得る。
: ただ戦争に対しては批判的で、戦争を繰り返す人間に対して「破壊と苦痛に終わりはない。やがてこの戦争は終わるが、次がまた始まるだろう」と諦観している。
; 軍医
: 演:{{仮リンク|ラッセル・コリンズ|en|Russell Collins}}
: 町医者から徴用された軍医で階級章は[[大尉]]。元々の診療科は[[小児科学|小児科]]。いつもパイプを燻らせ穏やかな物腰ながら、人間性に対しては希望を持っており、マレル艦長とも時に議論を戦わせる。
: 作中では常に役職(Doctor)で呼ばれており本名は不明。
; ウェア副長
: 演:{{仮リンク|デイヴィッド・ヘディスン|en|David Hedison}}
: 新進気鋭の若手将校。学生時代は[[ヨットレース]]選手艇長だった。当初はマレル艦長の能力に懐疑的だったが、Uボートとの戦いの中で艦長を尊敬するに至る。
 
=== ドイツ海軍 ===
; シュトルベルク艦長
: 演:[[クルト・ユルゲンス]]
: ドイツ海軍Uボート艦長。[[第一次世界大戦]]からの古参の士官で、叩き上げで艦長になった。こちらも卓越した戦術指揮能力と豊富な経験、騎士道精神により部下から持ち主信頼も厚い。作品中に階級に関する言及はないがくたびれた尉官の制帽を着用している。
: 軍人一家で息子二人は既に戦死したが、軍人の務めと割り切ろうとしている。しかし[[国家社会主義ドイツ労働者党|ナチス]]に批判的であることや、戦争の機械化と大量破壊が進む現状等から「昔の戦争は負けても名誉が残った。しかしこの戦争には名誉などない。勝っても嫌な記憶が残るだけだ」と厭戦気分を募らせている。
; ハイニ先任士官
: 演:[[セオドア・ビケル]]
: シュトルベルク艦長とは士官候補生時代からの友人。艦長が腹を割って話せる艦内で唯一の人物。
; クンツ
: 演:アラン・ラ・サール
: 新人の士官。[[アドルフ・ヒトラー]]の信奉者で暇があると[[我が闘争]]を読み、[[ナチス式敬礼]]をするため艦長には呆れられている。
 
==日本語吹替==
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==関連項目==
*[[対潜戦]]
*[[駆逐艦]]
*[[潜水艦]]
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*[[Uボート]]
*[[U・ボート (映画)]]
* [[ファゾム]]
 
==外部リンク==