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{{OtherusesOtheruseslist|'''喫煙道具'''|[[蒸気機関車]]の部品|蒸気機関車の構成要素|その他|キセル}}
'''煙管'''(きせる)とは、[[日本]]の[[喫煙具]]の一種で、[[パイプ (たばこ)|パイプ]]に類似する。麻薬関係での使用については、[[麻薬]]の各項目を参照されたい。
[[ファイル:Kiseru_(Japanese_smoking_pipe).jpg|thumb|300px|right|煙管。2010年5月、[[伊勢市]][[おかげ横丁]]にて撮影 ]]
 
== 語源 ==
語源については異説もあるが、[[カンボジア語]]で管を意味する「クセル」が、なまったものといわれる<ref>[[渡邊 ]] 『日本食生活史』 [[吉川弘文館]]。</ref>。
 
このほかの説として、[[ポルトガル語]]の sorver もしくは[[スペイン語]]の sorber が挙げられている。いずれも「吸う」の意である。関係代名詞 que を接頭につけ、「吸う物」の意味で que sorver もしくは que sorber とした場合、発音としては「キソルベル」となる<ref>[[鈴木達也]]著 『喫煙伝来史の研究』 [[思文閣出版]]。</ref>。
 
== 構造 ==
[[ファイル:L'amour profondément caché, par Utamaro.JPG|サムネイル|朱羅宇。羅宇(管部分)が赤く塗られたもので、[[花魁]]が使用した]]
大きくわけると、[[刻み煙草]]を詰める火皿(椀形の部分)に首のついた「雁首」(火皿の付け根から羅宇と接合する部分まで)、口にくわえる部分の「吸い口」、それらをつなぐ管の「羅宇」(らう/らお)にわけられる。また、羅宇の語源は、羅宇国(現在の[[ラオス]])の竹(黒斑竹)を使用していたことによるというのが定説である。一方「キセル」またはキセルの部位の語源を東南アジアに求めることに疑問は多く、ポルトガル語に rabo(「柄」の意)、スペイン語に rabo(「軸」の意)があることから、こちらを語源と考えたほうがより自然であるとする説もある<ref>鈴木達也著 『喫煙伝来史の研究』 思文閣出版</ref>。
 
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== 使用方法 ==
[[ファイル:Tabakobon(Japanese Ashtrays).jpg|thumb|250px|煙草盆。陶製の火入れの中に埋められた炭火を起こして火を付け、竹製の灰吹きに吸殻を捨てる]]
[[煙草]]は<!-- [[時代劇]]などでは -->以下のようにして吸われる。
 
# 細く刻まれた繊維状の[[#刻みたばこ|刻みたばこ]]を適当な大きさに丸める。
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=== 羅宇屋 ===
らう屋、またはらお屋とも読む。かつては、羅宇のヤニ取りやすげ替えを生業とする露天商があって、羅宇屋と呼ばれていた。小型のボイラーから出る蒸気で羅宇を掃除し、その際に鳴る「ピー」という笛にも似た音が特徴的であった。ラオ屋は戦後に急激に数を減らし[[昭和39年]]には東京で4軒だけとなった<ref>[[朝日新聞]] 昭和39年3月5日記事</ref>。そして{{要出典範囲|date=2017年3月17日 (金) 03:01 (UTC)|最後の羅宇屋は、[[浅草寺]]門前で営業していたが[[2000年]]頃に廃業した。一方[[2000年代]]中盤以降は和装ブームなどもあり、キセルの生産量が微増していることもあり、[[背負子]]スタイルの羅宇屋が復活している}}。
 
[[古典落語]]には[[狂歌]]に熱中するあまり、羅宇問屋から流しの羅宇屋に身をやつした人物を主人公にした「紫檀楼古木(したんろうふるき)」<ref>[https://kotobank.jp/word/%E7%B4%AB%E6%AA%80%E6%A5%BC%E5%8F%A4%E6%9C%A8-712863 紫檀楼古木(したんろうふるき)][[大辞泉]]</ref>という作品がある。
 
== 刻みたばこ ==
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File:Japanese - Smoking Set with Masks - Walters 7381.jpg|根付と煙草入と煙管筒
</gallery>}}
多くの[[時代劇]]等で煙管は重要な小道具として登場するが、[[16世紀]]以前には伝来していない。また[[武家]]や商家などでは、贅沢の禁止と防火の意味から[[使用人]]には喫煙を禁止することもあり、誰もが煙草入れをぶら下げていたわけではない。
 
[[武士]]の場合はステータスシンボルと同時に自分の志の表現として、特別に自分の好みを施した煙管を注文したりした。[[明治維新]]後に[[廃刀令|刀の携帯が禁止]]されたので、護身用にと[[鉄扇]]ないし重量のある鉄の煙管を持ち歩く[[士族]]達もいた。
 
[[江戸時代]]においては、多くの場合に大店の主人や[[番頭]]等が自分にあった道具を誂えたりと、嗜好の世界というより一種の[[ファッション]]やステータスシンボルであった。また、煙草入や煙管筒に流行もあったといわれる。この中では[[根付]]<!-- 煙草入れ限定じゃないけど -->のような関係する工芸文化も存在し、この根付は[[明治|明治時代]]の交易に関連して海を越え、[[イギリス|英国]]にまで愛好者を増やした。[[ロンドン]]の[[ヴィクトリア&アルバート美術館|ビクトリアアンドアルバート美術館]]には、この根付コレクションの展示室も存在する。
 
[[File:Kitagawa Utamaro - Hinakoto the courtesan - Google Art Project.jpg|thumb|120px|煙管を吸う遊女]]
[[江戸時代]]の[[吉原_(東京都)|吉原]]等の[[大見世]](上等な女郎屋)の[[太夫]](上等の[[遊女]])などの間では、位が上ると帯の幅が広くなり、それに合せてその帯に挿す煙管の赤塗りの羅宇も長くする仕来りがあり、煙管の長さで女郎の格をはかることができた。(長羅宇:ながらう・ながらお)
 
[[遊女]]は気に入った客に煙管を差し出し、客が受け取るとその遊女を気に入ったということになる。[[歌舞伎]]『[[助六|助六由縁江戸桜]]』の台詞にある「煙管の雨」とは、助六の男っぷりを暗に示す。
 
[[時代劇]]及びここから派生した時代物の劇画では、登場人物の[[ヤクザ]]や武士等が咥え煙草を動かしたり、煙草盆に叩き付ける仕草をする。特に[[ヤクザ映画]]等では、煙管を口に銜えたまま振ったりと、親分の意思表示の小道具に使用される。例えば、銜えたままの煙管の雁首を上げることは、強く噛み下唇を突き出す怒りや不快感の表情を強調するなどであるが、この他にも煙草盆に強く叩き付ける(灰を捨てる)動作で、休息を取り止め行動に移るなど気持ちの切り替えを表す。またこれ以外にも身近な棒状の道具として、手に持ったり銜えたりした煙管を振るなどの動作で配下に対して、[[指し棒|指示棒]]のように指示を出したりした。しかしながら現実問題としては火が付いたまま雁首を上げてしまうとヤニが煙管内部に侵入し、耐久度が下がるばかりかその後の喫煙に支障を来す恐れがある(俗に言う「ヤニが下がる」という状態)。煙草盆に叩きつける行為についても煙管自身の破損の恐れが出てくる他、火が付いたままのたばこが飛び散ってしまい当時の基本であった木造家屋では火災へと直結する非常に危険な行為である。'''時代劇等で表現される本行為はあくまでも演出としての意味が強いことを念頭に置く必要がある。'''
 
[[茨城県]]の[[加波山神社]]では毎年9月5日に「きせる祭」が開かれる。
 
== 現代の煙管 ==
現在は、たばこの喫煙用としての煙管使用者の絶対数は少なく、煙管の製造業者も激減している。例えば金属加工が盛んな[[燕市|新潟県燕市]]では[[戦前]]、200軒近い煙管[[工場]]で400人近くが働いていたが、2017年時点では職人1人が残るのみである<ref>飯塚昇「手作りキセル心込める◇細工にこだわり伝統守る、新潟・燕で唯一の職人◇」『[[日本経済新聞]]』朝刊 [[2017年]]8月17日(文化面)</ref>。とはいえ下記の理由などでその文化は存続している。
 
* 自然なたばこの味を楽しむため([[香料]]を使わない刻みたばこを吸う方法として最良であること)
* 紙の[[タール]]問題への配慮から(紙巻たばこの紙からのタールが癌の原因という説があるため)
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** [[CR花の慶次]] - 上記を元にしたパチンコ機。[[CR花の慶次#キセル予告|キセル予告]]が採用されている。
* [[銀魂]] - 高杉晋助、月詠、十徳の娘など
* [[ぬらりひょんの孫]]-奴良リクオ、ぬらりひょんなど
* [[タイムボカンシリーズ]] - 『[[タイムボカン]]』のマージョなど[[三悪 (タイムボカンシリーズ)|敵役]]女ボスが先端にドクロをつけた煙管でたばこを吹かし、ドクロ形の煙を出している。
* [[テイルズ オブ ヴェスペリア]] - 主人公の飼い犬が口にくわえている。前の主人の形見。
* [[座頭市 (2003年の映画)]] - [[賭場]]のシーンで、賭場荒らしめいた賭けを行う市に対し、頭目が煙管を叩いて子分にイカサマを指示する場面がある。
* [[モノノ怪]] - 6,7話『のっぺらぼう』に登場する仮面の男が持つ。主人公とキセルで戦う他、煙も術のように使った。
* [[嘘喰い]] - 鞍馬蘭子が愛用。
* [[娼婦と淑女]] - 清瀬ミツが使用。機嫌が悪くなると使用人を打つなど、武器としても用いた。
* [[XXXHOLiC]] - 壱原侑子が使用。後に店を継いだ四月一日君尋も使用。ウサギの羅宇屋も登場する。
* [[新撰組異聞PEACE MAKER]] - 土方歳三が使用。
* [[落日燃ゆ]] - 広田弘毅が外務大臣の頃、大臣室内で鉈豆煙管に刻みたばこを詰めて吸いながら部下からの報告を聞く描写がある。
* [[機動刑事ジバン]] - 30話「美少年小太郎一座」に登場した犯罪結社バイオロンの怪人、カブキノイドが、身の丈ほどの大キセルを愛用。打撃武器として使われたほか、先端から出る光の弾で銃撃。さす股に変化して締め上げ攻撃、あるいはこれを頭上に振り上げ、キセルから無数の花吹雪を繰り出し、ジバンの目をくらまし爆破攻撃をかける必殺技「花吹雪爆弾」と、多彩な武器として活躍した。-->
 
== キセル乗車 ==
{{See also|不正乗車#手法・鉄道での例#キセル}}<!-- * [[不正乗車#キセル]]が除去されているため -->
'''キセル乗車'''('''キセル''')あるいは('''中間無札'''<small>(ちゅうかんむさつ)</small>)とは、旅客の旅行区間において、有効区間が連続せず乗車駅および下車駅についてのみ有効な乗車券を所持し、中間の区間の運賃支払いを不正に免れようとする行為を指す。中間無札はとりわけ[[定期乗車券]](定期券)や[[回数乗車券]]、および[[入場券]]や初乗り運賃の乗車券を使用(悪用)したものが見られる。
* 言葉の由来は、'''煙管'''では吸い口と[[たばこ]]を乗せる部分である雁首(がんくび)にのみ金属を使用することから、「入るときと出るときは金を使うが、中間には金を使わない」意味とされる。
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* [[たばこ]]
* [[パイプ (たばこ)]] - 原型
 
== 外部リンク ==
* [https://art.famsf.org/kimbei-kusakabe/itinerant-pipe-seller-1999156237 明治時代の羅宇屋] {{en icon}} - [[日下部金兵衛]]撮影、[[サンフランシスコ美術館]]
 
{{日本の喫煙}}
 
{{DEFAULTSORT:きせる}}
[[Category:喫煙具]]