「フェルミ分布関数」の版間の差分

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'''フェルミ分布関数'''(フェルミぶんぷかんすう、{{Lang-en-short|Fermi distribution function}})とは、相互作用のない[[フェルミ粒子]]の系において、一つの[[エネルギー準位]]にある粒子の数([[占有数]])の分布を与える理論式である<ref name=sinka>東京大学 知の構造化センター「物性物理学入門 (進化する教科書 Wiki)」[http://utht.t.u-tokyo.ac.jp:8080/mediawiki/index.php/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F%E5%88%86%E5%B8%83%E3%81%A8%E7%8A%B6%E6%85%8B%E5%AF%86%E5%BA%A6]</ref>。フェルミ・ディラック分布とも呼ばれる。
 
== 定義 ==
エネルギーが {{mvar|&epsilon;}} に等しい準位の占有数を与えるフェルミ分布関数は
[[量子数]]{{mvar|&nu;}}で指定されるエネルギー準位{{mvar|&epsilon;{{sub|&nu;}}}}におけるフェルミ粒子の占有数 {{mvar|n{{sub|&nu;}}}}の統計的期待値{{mvar|<n{{sub|&nu;}}>}}を考える。占有数はマクロな観測量では無いが、期待値を求めておくと量子理想気体などの解析に便利である<ref>{{Cite book|和書|author=[[田崎晴明]]|title=統計力学II|publisher=[[培風館]]|series=新物理学シリーズ|year=2008|isbn=4563024384}}</ref>。{{mvar|<n{{sub|&nu;}}>}}を[[グランドカノニカル分布]]で求めると、以下のようになる<ref>[[伏見康治]]「[http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/sites/default/files/ebook/204/pdf/ch09-01.pdf 確率論及統計論]」第IX章 量子統計力学 §75. Fermi統計法,Bose統計法 p.&nbsp;430.</ref>。
{{Indent|
<math>\langle n_\nu \rangle =f(\epsilon_\nu)\equiv \frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\epsilon_\nu-\mu)} +1}</math>
}}
ここで{{mvar|&beta;}} は[[逆温度]]、{{mvar|&mu;}} は系の[[化学ポテンシャル]]である。これを'''フェルミ分布関数'''と呼ぶ。
 
エネルギーを連続的な変数{{mvar|&epsilon;}}とすれば、
{{Indent|
<math>f(\epsilon) = \frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\epsilon-\mu)} +1}</math>
}}
となる。
で表される。パラメータ {{mvar|&beta;}} は[[逆温度]]で、[[熱力学温度]] {{mvar|T}} と {{math|1=''&beta;''=1/''[[kT (エネルギー)|kT]]''}} で関係付けられる。{{mvar|&mu;}} は系の[[化学ポテンシャル]]である。
 
で与えられる<ref>[[伏見康治]]「[http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/sites/default/files/ebook/204/pdf/ch09-01.pdf 確率論及統計論]」第IX章 量子統計力学 §75. Fermi統計法,Bose統計法 p.&nbsp;430.</ref>。フェルミ分布関数は {{math|0}} から {{math|1}} の間の値をとる。これは[[パウリの排他原理]]によりフェルミ粒子が一つの準位には一つまでしか入らないことを反映している。
== 低温でのふるまい ==
[[絶対零度]]({{math|''T''&rarr;0}}, {{math|''&beta;''&rarr;&infin;}})の極限では、フェルミ分布関数は[[ヘヴィサイドの階段関数]]を用いて
{{Indent|
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となる。このときの化学ポテンシャルは[[フェルミエネルギー]]に等しい。
 
[[量子数]] {{mvar|&nu;}} で指定される準位のエネルギーを {{mvar|&epsilon;{{sub|&nu;}}}} とすれば、このエネルギー準位の占有数 {{mvar|n{{sub|&nu;}}}} の統計的期待値は
{{Indent|
<math>\langle n_\nu \rangle =f(\epsilon_\nu)</math>
}}
で与えられる<ref>[[伏見康治]]「[http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/sites/default/files/ebook/204/pdf/ch09-01.pdf 確率論及統計論]」第IX章 量子統計力学 §75. Fermi統計法,Bose統計法 p.&nbsp;430.</ref>。フェルミ分布関数は {{math|0}} から {{math|1}} の間の値をとる。これは[[パウリの排他原理]]によりフェルミ粒子が一つの準位には一つまでしか入らないことを反映している。
==脚注==
{{reflist}}