「亡国のイージス」の版間の差分

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対空戦闘システムとしては、開発されたばかりである国産の[[FCS-3]]を、FRAM改修により新たに搭載している。これは、4面の[[AN/SPY-1|SPY-1D]]多機能レーダーを中核としたシステムで、SPY-1Dによって360度の空を数百kmにわたって常時監視し、それが探知・捕捉・追尾する目標の内、12目標を同時に攻撃することが可能である。このことから、イージス艦と同等の性能だが区別をつけるために、作中では「'''ミニ・イージス艦'''」と呼ばれている。4面のSPY-1Dの設置場所は、艦橋構造物の既設マスト部とされ、そこにSPY-1Dを取り付けた構造物を建て、その上にマストを移設している<ref>公式大綱,50頁</ref>。そのため、かなりトップヘビーな外見となってしまっており、見た目に関する乗組員たちからの評判は決して良くない。
 
[[対空兵器]]としては、従来の[[スタンダードミサイル#RIM-66 SM-1MRブロックI~VI|SM-1MR]]に加えて新たに[[スタンダードミサイル#SM-2シリーズ|SM-2ER]]が搭載された。SM-2ERは、最大射程が100km以上ある[[艦対空ミサイル#艦隊防空ミサイル|艦隊防空]]用の[[艦対空ミサイル]]で、FCS-3の装備によって運用能力を獲得した。これを搭載するため、前甲板に搭載されていた74式[[アスロック]]ランチャーは撤去され、それによって空いたスペースに[[Mk 41 (ミサイル発射機)|Mk .41]] [[VLS]]が16セル設置されている。SM-2ERの搭載数は、VLSがアスロック発射器も兼務しているため、アスロックの搭載数によって変化する。
 
SM-1MRは、SM-2ERより1世代前の艦隊防空用ミサイルであるが、FRAM改修前から装備されている[[Mk 13 (ミサイル発射機)|Mk.13 ミサイル発射機]]が撤去費用の問題によって改修後も残されることになったため、引き続き搭載されている。だが、SM-2ERと比べて旧式であるため完全にお荷物扱いとなっており、「[[あまつかぜ (護衛艦)|あまつかぜ]]」時代からこれを扱ってきた仙石は複雑な想いを抱くことになっている。
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「いそかぜ」の対潜ソナーについては、資料によって設定が異なっている。原作の小説版では種類について特に明記されていないが、[[バルバス・バウ|艦首バウ]]・ソナーは、公式大綱では[[75式探信儀 OQS-101|OQS-101]]、企画書では[[海上自衛隊のソナー#OQS-3|OQS-3]]としている。しかし、実際のOQS-101は[[しらね型護衛艦]]以外では重量の問題で装備されておらず、OQS-3は、はたかぜ型が本来装備する[[OQS-4]]より旧式である。また、はたかぜ型は[[可変深度ソナー]]を本来装備していないが、小説版には使用している場面があり<ref>文庫小説版上巻,497頁</ref>、このソナーの形式は特に明記されていなかったが、企画書では[[可変深度ソナー|SQS-35(J)]]としている<ref>企画書,5頁</ref>。
 
[[対潜兵器]]としては、[[アスロック]]と[[Mk 32 短魚雷発射管|68式3連装短魚雷発射管]]の2つが搭載されている。アスロックは、FRAM改修以前に装備されていた74式アスロックランチャーから発射するタイプではなく、SM-2ERを運用するために前甲板のアスロックランチャーがFRAM改修時に撤去され、空いたスペースに[[Mk 41 (ミサイル発射機)|Mk .41]] [[VLS]]が16セル設置されたため、VLSからの発射に対応した[[RUM-139 VLA]]が搭載されている。VLAの搭載数は、VLSがSM-2ER発射器も兼務しているため、SM-2ERの搭載数によって変化する。
 
68式3連装短魚雷発射管は、小説版では[[戦闘指揮所|CIC]]からの遠隔操作が可能なタイプであったが<ref>文庫小説版下巻,273頁</ref>、映画版では手動式としている。発射されるのは、[[Mk46 (魚雷)|Mk.46]][[魚雷#魚雷の種類と直径|短魚雷]]である。
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* その他の出演者 - [[奈良坂篤]]、永妻晃、[[マイク・ハン]]、[[遠藤雅]]、[[矢柴俊博]]、[[桜井聖]]、[[竹本和正]]、[[鳥木元博]]、[[天田暦]]
 
==== 映画版の評価 ====
「[[護衛艦]]の副長が幹部自衛官達を従えて[[日本政府]]に対し叛乱を起す」というアクション・エンターテインメント的な内容ではあるが、一方で「国家としてのありようを見失った日本に、はたして守るに値する価値があるのか?」と、問いかける作品となっている。当作品に限らず福井晴敏の映画化作品は愛国的・反米的な描写が目立つが、決して戦争を賛美するものではなく(むしろ、戦争批判のメッセージさえ込められている)、前述の通り日本という国家のあり方を問いかける主題のものが多い。
 
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====映画版登場兵器====
[[File:US Navy 050609-N-5384B-007 The Japanese Maritime Self Defense (JDS) ship JDS Myoko (DDG 175), foreground, sails in formation along with the USS Shiloh guided missile cruiser (CG 67).jpg|thumb|200px|作中で「いそかぜ」を演じた「[[みょうこう (護衛艦)|みょうこう]]」]]
; [[みょうこう (護衛艦)|DDG-175 護衛艦「みょうこう」]]
: [[海上自衛隊]]の「[[こんごう型護衛艦]]」の3番艦。劇中、主役の[[イージス艦|イージス護衛艦]]「いそかぜ」を演じる。
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『亡国のイージス』の文庫版の表紙には、背景として海上に浮かぶ 「いそかぜ」の姿が小さく描かれているが、上巻では通常の[[はたかぜ型護衛艦]]の状態、下巻では改造されミニ・イージスシステムを搭載した後の姿になっている。週刊モーニング掲載のコミックの絵やピットロードが商品化した模型はこのデザインが元になっている。
 
また、解説本『映画「亡国のイージス 公式大綱』([[角川書店]])にも「いそかぜ」の描きおろしイラストが掲載されたが、主砲が背負い式になっていない等、上記のものとはデザインがやや異なっている。
 
== 脚注 ==