「バッテリーバックアップ」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2018年3月5日}}
{{独自研究|date=2018年3月5}}
[[File:PokemonSilverBoard.jpg|thumb|[[ゲームボーイ]]の[[ロムカセット]]内部。<br>バックアップ電池を内蔵している]]
'''バッテリーバックアップ'''(''battery backup'')とは、[[コンピュータ]]などの[[電子機器]]において、[[電池]]を使用することによって[[データ]]を[[記憶装置]]上に保存しておく技術である。英語表記の頭文字をとって「'''BB'''」「'''B.B'''」「'''B.B.'''」などと表記することもある。
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[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]などのコンピュータにおいては、主電源を切っているときのコンピュータの[[Basic Input/Output System|BIOS]]設定の保持や[[リアルタイムクロック|内蔵時計]]の動作に使用される。機器本体内でバックアップを行う場合は、電源として[[ボタン型電池]]などの[[一次電池]]や[[ニッケル・カドミウム蓄電池|NiCd電池]]などの[[二次電池]]を用いる。その他にも、[[ニッケル・水素蓄電池|NiH電池]]や[[コンデンサ#電気二重層コンデンサ|電気二重層コンデンサ]]が用いられる。
 
二次電池の場合、機器に通電している際に充電されるため電池を交換する必要がなく、日常的に使用していればデータが消える可能性は低い。しかし、長期間通電しない場合は数ヶ月程度でバッテリーが放電してしまうため、一次電池より保持期間は短い。また、10年程度以上経ったNiCd電池は、液漏れなどにより充電できない状態になる場合がある。
 
機器によっては、[[不揮発性メモリ#NVRAM|NVRAM]](小型の電池を内蔵したSRAM)を搭載している。
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=== ROMカートリッジ式ゲーム機の場合 ===
[[ロムカセット|ROMカートリッジ]]で[[ゲームソフト]]が供給された[[コンシューマーゲーム|家庭用ゲーム機]]では、ROMカートリッジの内部に電池を内蔵することで実現され、主にゲームの途中のデータを保存する目的で使用された。この技術の導入により、長い[[パスワード (コンピュータゲーム)|パスワード]]をメモして再開時に入力する、といった手間を省くことができるようになった。パスワードの写し間違いによりゲームを再開できなくなることもなくなった反面、プレイヤーの過失とは無関係にデータが消失する事態も発生した。
<!-- ゲーム機に応用され始めた説明は歴史の項にあるため削除 データ保持期間の説明はゲーム機に限らないため概要の項に移動/修正
バッテリーバックアップ式SRAMという発想自体は、ゲーム機に利用されるようになった時点で構造としては特別なものではない。それのデータ保持能力自体は、本来バッテリー寿命が続く限り実用的な利用範囲で保証されているが、ハードウェアやソフトウェア次第で保持能力には差が現れる。
-->
 
*[[ファミリーコンピュータ]]はバッテリーバックアップを考慮していないプラットフォームである<ref group="注">ただし、専用の[[磁気ディスク]]を用いる[[ファミリーコンピュータ ディスクシステム|ディスクシステム]]や、[[EEPROM]]を内蔵したバンダイの一部ソフトなど、根本的にバッテリーバックアップに頼らないセーブ方式を採用した例はある。</ref>。すなわちCPUとカートリッジのメモリ空間がCPUのバスを通じて直接接続されており、さらに一定容量以上のカートリッジは、カートリッジ内にメモリ空間を拡張するための制御回路(MMC, Multi Memory Controller)を搭載し[[バンク切り替え]]を行っている。このため単純に電源を切ると、電源を切断して回路の電圧・電流が低下した瞬間に、CPUやMMCが誤動作する可能性がある。カートリッジバス上のMMCの誤動作やメモリ空間にSRAMが見えている(あるいはMMCが誤動作した瞬間に見えてしまう)最中にこのような状況が発生すると、SRAMのデータ化けを起こす確率が非常に高くなる。バッテリーバックアップ機能を搭載したファミリーコンピュータ用カートリッジの多くは、電源を切る際に、リセットボタンを押したまま電源スイッチをOFFにする必要があるが、これはリセットボタンを押している間はCPUの動作が完全に停止する為である<ref group="注">ただし、ソフトウェアによってはリセットボタンを押さずに電源スイッチを切るものもあった。ナムコ製のファミコンソフトのバックアップシステムはリセットボタンを押さずに電源を切る仕様だった。</ref>。
*前述のエラーや書き込まれるデータの問題によってセーブデータが化けていた場合、そのエラーの大小にかかわらず該当データはゲームによって破棄される実装になっているものが多く、取り扱いや接続端子の状態によっては記録したデータを喪失するケースも発生する。
*SRAM自体にはデータの自己修復能力がないため、何らかの保護手段(冗長性を持たせたデータを保存する、あるいは多少のデータ化けなら、適当な手順で[[誤り検出訂正]]できるようにアルゴリズムを配慮するなど)を講じない場合は、1bitでもデータが化けた時にチェックサムエラーだとソフトウェア側で判断されて、保存したデータ全体を破棄してしまう。このため、少しのエラーで(当時の技術やプレイ時間からすれば)大きな容量が損失する。
 
ROMカートリッジ式ゲームソフトの場合、バックアップ用の電源には[[一次電池]]の[[コイン形リチウム電池]]が使用されることが多い。このリチウム電池の寿命は数年程度であるが、ゲーム機の電源を入れている間はゲーム機本体から電力が供給されるため、電池寿命の長さはプレイ時間に[[比例]]する。電池が切れるとバッテリーバックアップは機能しなくなってしまうため、引き続きバッテリーバックアップを使用するには電池の交換が必要である(ユーザー自身の手で行うことが推奨されず、原則メーカーに依頼する)。ただし、交換のために電池を抜いた場合にもバッテリーバックアップは機能しなくなるため、保存されていたデータは電池交換時には消えてしまう。このため、[[ファミリーベーシック]]の専用カセット、[[アスキー]]の[[ターボファイル]]、[[PCエンジン]]の天の声2やバックアップブースターなどでは市販の単三電池が使用出来るようになっており、本体の電源を入れたまま電池交換するという処置が取られた<ref group="注">ターボファイルは内蔵のコンデンサにより、本体と接続して使用後に電源を切っても1~2分程度の間なら通電状態でなくとも電池交換は可能な仕様</ref>。これは、同時期のハードウェアにはあまり見られない珍しい仕様である。
 
1990年代後半頃から、セーブデータだけではなくカートリッジ内蔵の時計を動かす為に電池が用いられたソフトが現れた。その際、電池はセーブデータ保持と兼用である場合と、セーブデータとは別系統である場合があり、前者の場合は後者の場合やそもそも時計機能が無いものよりも消費電力が大きくなるため、同一容量の内蔵電池を使った場合にデータ保持期間はより短い傾向がある。
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はじめてバッテリーバックアップを採用したゲームソフトは、[[1986年]][[11月]]発売の『[[ハイドライドシリーズ#ハイドライドII|ハイドライドII SHINE OF DARKNESS]]』([[T&E SOFT]])の[[MSX]]版である。同社は前作『ハイドライド』ではパスワードを発明したが、『ハイドライドII』においてパスワードを採用すると、約50文字近くなってパスワードの記録ミスが頻発する可能性が高く、パスワードの入力を間違えるたびにプレイヤーが苦痛を味わう、と考えた。そこで同作においては、パーソナルコンピュータの本体に内蔵することが常識だった16KBのSRAMとリチウム電池をROMカートリッジの内部に内蔵するということが考え出され、バッテリーバックアップの採用に至ったのである<ref>MSX版『ハイドライドII』同梱の説明書の中にある開発後記による</ref>。
 
しかしながら、[[1988年]]にMSX2+規低価移行MSX2などの発売によって[[フロッピーディスク]]が規格化され普及すると、MSX用ゲームでは不安定なバッテリーバックアップに代えてディスクメディアでのセーブがメインとなった。また、他にコンピュータゲームのプラットフォームとして当時流通していた[[PC-8800シリーズ|PC-8800MkIIシリーズ]]、[[PC-9800シリーズ]]、[[Macintosh]]シリーズなどではすでにフロッピーディスクドライブが標準搭載となっていた。
 
『ハイドライドII』の翌年に登場した[[ファミリーコンピュータ]](ファミコン)版およびMSX/MSX2版の『[[ドラゴンクエストII 悪霊の神々]]』([[エニックス]])では、最大52文字の復活の呪文(パスワード)が使用されている。ファミコンで初めてバッテリーバックアップを採用したゲームソフトは、[[1987年]][[4月]]発売の『[[森田将棋]]』([[セタ (企業)|セタ]])となった<ref group="注">ゲームソフト以外を含めると、1984年6月に発売された[[ファミリーベーシック]]が先となる</ref>。その後は[[コンピュータRPG|RPG]]を中心に、多くのゲームソフトにバッテリーバックアップが採用された。特にRPGでは『[[未来神話ジャーヴァス]]』([[タイトー]])、『[[インドラの光]]』([[コトブキシステム|ケムコ]])などがいち早くバックアップ・システムを取り入れたさきがけとして知られており、[[ドラゴンクエストシリーズ]]の比較対象としてしばしばその名が挙げられる[[ファイナルファンタジーシリーズ]]([[スクウェア (ゲーム会社)|スクウェア]])や[[ファンタシースターシリーズ]]([[セガゲームス|セガ・エンタープライゼス]])も1987年12月に発売された第1作『[[ファイナルファンタジー]]』、[[セガ・マークIII]]ソフト『[[ファンタシースター]]』で追随した。[[ドラゴンクエストシリーズ]]では、翌[[1988年]]2月発売の『[[ドラゴンクエストIII そして伝説へ…]]』から同システムが導入された。
 
1990年代中ごろから、[[フラッシュメモリ]]([[EEPROM]])などの、データの保持に電源が不要な不揮発性メモリが小型化および低価格化したために、バッテリーバックアップに替わってこれらが徐々に記憶媒体の主流となっていった。過渡期の機種である[[NINTENDO64]]や[[ゲームボーイアドバンス]]のタイトルには、セーブ方式にバッテリーバックアップと不揮発性メモリが混在している<ref group="注">『[[ファイアーエムブレム 封印の剣]]』『[[ファイアーエムブレム 烈火の剣]]』のように、同一タイトルでありながら初期出荷ロットではバッテリーバックアップで発売され、後の出荷ロットでEEPROMに変更されたタイトルも存在する。</ref>。
 
2016年現在では、現行機種でロムカセットがゲーム用メディアとして使われる事は携帯型ゲーム機のみであり、読み出し専用の[[光ディスク]]に、前述の不揮発性メモリを用いた外部記憶装置や、本体内蔵の補助記憶装置(フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ)を組み合わせる方式が主流となった。
 
フラッシュメモリは、SRAMに比べて記録速度が遅いため、『[[不思議のダンジョン]]』シリーズをはじめとする[[ローグライクゲーム]]など、リアルタイムセーブを採用してきたゲームタイトルの中には仕様を変更している例もある。例えば、ゲーム開始時にペナルティを付加した状態でセーブを行なうこと<ref group="注">予めペナルティー挙げられ(途中状態記録されているため、リセットするとを行ってもペナルティ付加適用された状態のデータる。</ref>読み出さければならなくどの仕様変更が行われこともあった
 
フラッシュメモリには書き込み回数に制限があるが、ゲームに用いられているものは現実的な使用範囲で限界に達したという例はほとんど無く、普通は説明書等でも触れられていない。
 
== 脚注 ==
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<references />
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
{{Reflist}}
 
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