「ジュラシック・パーク (小説)」の版間の差分

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: 『[[ジュラシック・パークIII]]』ではグラントが彼の著書に触れているが登場した少年に「自画自賛もいいところだ」とこきおろされている。原作第1〜2作を通じて独特の持論を強く主張するマルコムであるが、2作目の訳者あとがきによれば、このキャラクターは著者クライトンの思想の代弁者であろうと推測されている。
; ジョン・ハモンド([[リチャード・アッテンボロー]]・[[永井一郎]])
: インジェン社、ハモンド財団創始者。映画ではインジェン社という社名は台詞に出なかったものの、ジェットヘリにインジェンのロゴが施されている。右足が悪く、杖<ref group="注">恐竜復活の原点でもある蚊の閉じ込められた「琥珀」と骨をあしらった特徴的な杖</ref>を使っている。
: 主人公サイドから批判される立場に変わりはないが、映画版と原作では正反対の性格を持つ。
: 映画版ではグラントやティムと同様、幼いころから恐竜に思いをはせ、「まやかしや小細工のない、誰が見ても驚愕する物を作る」との信念からパークを建設する。金儲けに固執するジェナロを「このパークは金持ちのためだけに作ったのではない」とたしなめる場面もあった。子供好きの好々爺だが、計画が狂うとヒステリーを起こす。事故発生後も遺伝子操作による恐竜復活の正当性を主張し続けていたが、最終的には自らの過ちを認め、ジュラシックパーク事業を完全に撤退する。ラストでは彼の無念さが強調されている。スピルバーグの思いが強く込められたキャラクターであり、性格描写も自身をモデルにしている{{要出典|date=2017年9月}}。グラント達と共に生き残り、続篇では一転して島の恐竜達を保護する立場にまわる。
: 原作小説では悪辣なビジネスマンとしての色合いが強い典型的な[[山師]]であり、その商才は一方的に弁舌をふるう強引な金集めの面で強力に発揮される。ジュラシックパーク建設に際しては、[[遺伝子操作]]で造り上げた手の平サイズの[[ゾウ]]を持参して[[出資]]者を説得してまわった。子供達を楽しませることを目指してはいるが、これもあくまで金儲けのための過程としてしかとらえておらず、ヒステリーを起こして子供達への恨み言を心中で吐く場面もある。自己中心的かつ頑迷なその性格から、ネドリーを始めとするほとんどのスタッフから信頼されていない。マルコムは続編で「ハモンドは単なる詐欺者だった」と言い切った。恐竜を「自分の高価な財産」と考え、凶暴なラプトルの処分や緊急時の対恐竜用武器の装備、性質をおとなしくするための遺伝子改良はおろか<ref group="注">この件は、「『本物』とは何か?」というハモンドとウーの哲学的見解の相違によるもので、必ずしもハモンドの頑迷さが原因ではない。</ref>、生態解明のための解剖すら許さない。ラプトルが脱走した際にも、マルドゥーンに「わしの恐竜に何をするつもりだ」と食って掛かり「(この状況では)主語が逆ですね」と返されている。
: 物語終盤、[[コンプソグナトゥス]]の大群に襲われて昏倒し、そのまま死亡した。
; ドナルド・ジェナーロ([[マーティン・フェレロ]]・[[納谷六朗]])
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; デニス・ネドリー([[ウェイン・ナイト]]・[[桜井敏治]])
: [[ハーバード大]]出のシステムエンジニア。肥満体型で度の強い眼鏡を着用している。映画では強欲だがどこか憎めない、間抜けな小悪党に描写されている。一連の事件を起こした張本人だが、雇用面などでは才能に反してインジェン社からさんざんな目に合わされていたことも事実である。塩基解読用のスーパーコンピューターの並列処理を実現するなど優秀な人物だが、ハモンドは勤務態度の悪さなどから彼を一切評価せず、他のスタッフからも有能だが扱いづらい厄介者とされている。
: 金目的で恐竜の胚を盗んで他のバイオシン・コーポレーション<ref group="注">原作のみ。映画には一切登場しない</ref>に渡すというスパイ的取引を企むが、港がある東ドックにジープで向かう途中、嵐のために予定が早まり焦って道に迷うというミスを犯した。おまけに東ドックへの近道をするために恐竜を囲うフェンスの電気系統を切ってしまったため、パーク脱出の途中でディロフォサウルスに襲われ死亡、盗んだ胚も車から落としてしまい泥に飲み込まれた。
; ロバート・マルドゥーン([[ボブ・ペック]]・[[田中信夫]])
: 恐竜監視員。ケニア生まれで元はアフリカのハンティングガイド。80年以降は野生動物コンサルタントとして実績を重ね、動物園における各種動物区の境界を指示していた。動物の恐ろしさを知らないハモンドを「口うるさい小男」と嫌っている。一部の恐竜は動物園で管理できる代物ではないと主張し、[[BGM-71 TOW|対戦車誘導ミサイル]]などの強力な兵器を管理本部に要求している。恐竜が逃げ出した後はT-REXやラプトルを殺傷するが、自身も負傷する。ハモンドの孫達を助ける事を承諾するなど、勇敢な性格。原作では生還したが、映画版ではラプトルに不意を突かれ生死不明となる。シナリオ初期稿ではグラント達を救う展開が用意されていたが、その役目はティラノサウルスへと変更された。
: 映画版でラプトルに殺害されたと思われていたが、コミックシリーズの『[[ジュラシック・パーク/ラプターズ・アタック|ラプターズ・アタック]]』では、ラプトルの攻撃から辛うじて生還した事実が判明しており、グラント、エリー、イアンと共に、島から持ち去られたラプトル捕獲の為に協力して行動するなど活躍していた。その後のコミック作品『[[ジュラシック・パーク/ラプターズ・ハイジャック|ラプターズ・ハイジャック]]』、『[[リターン・トゥ ジュラシック・パーク]]』にも登場。
; レイ・アーノルド([[サミュエル・L・ジャクソン]]・[[梁田清之]])
: 小説での名前はジョン。パークのチーフエンジニア、神経質で、映画と原作の人物像に相違はない。勤務態度の悪いところがある。兵器開発に携わったのち、ディズニーワールドをはじめとする大手アミューズメントパーク建設に次々に参加。その経歴はハモンドからも認められている<ref group="注">関係のこじれているネドリー以外のスタッフは、おおむねハモンドから高く評価されている。</ref>。口癖は「9月オープン」。マルドゥーンと並び、現場の立場からハモンドに対して積極的に意見する人物。カオス理論はある程度理解しており、ジェナーロに解説するほどだが、本人はマルコムの理論を完全に否定している。[[ヘビースモーカー]]らしく、映画では何本も煙草を吸っている。
: パークのシステムダウン後、電源復活のために発電所に向かったところ、所内でラプトルに襲われて死亡。後に変圧室で腕のみ見つかるが、映画では彼の死は直接描写されず、エリーの肩に彼の腕が落ち、残りの死体の影だけが見えるという形で描写された。
; レックス([[アリアナ・リチャーズ]]・[[坂本真綾]])
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イスラ・ヌブラル島は[[熱帯雨林]]に覆われており、2つの川が島の東と北に伸びている。原作では島の中心には広大な人造湖と大きな鳥小屋があるとされているものの作中では描写されなかった。
 
ゲーム『Jurassic Park: The Game』によるとイスラ・ヌブラル島には千年以上前の古代よりTun-Si(水の男)とも呼ばれる、[[:en:Bribri people|ブリブリ族]]と言う[[インディオ]]がアメリカ大陸から島に到着し定住していた。1525年にスペイン人航海士[[:en:Diego Fernández (disambiguation)|ディエゴ・フェルナンディス]]がイスラ・ヌブラル島を発見し、島に住んでいたブリブリ族と出会った。イスラ・ヌブラル島と命名され、コスタリカの西海岸の地図を作っていた地図製作者ニコラス・デ・ウエルバにもそれが示された。そしてスペインの武装商船ラ・エストレヤ(ザ・スター)は『雲の島』を見る事を解説した。1980年代にジョン・ハモンドがサンディエゴの恐竜のテーマパーク計画を破棄<ref group="注">「2」でピーター・ルドローが建設していたジュラシック・パーク・サンディエゴは、この計画が破棄された際の建物を再利用したものである。</ref>し、コスタリカ政府から島を買い取り、コスタリカ政府がインジェン社に島を渡す事に合意した為、島で暮していた先住民のブリブリ族はイスラ・ヌブラル島から強制的に追い出された。
 
ハモンド財閥は恐竜のテーマパーク「ジュラシック・パーク」を島に作った。しかし、恐竜が逃げ出す事件が起きパークは壊滅した。22年後を舞台にした4作目『[[ジュラシック・ワールド]]』のテーマパーク「ジュラシック・ワールド」も同じ、イスラ・ヌブラル島にある。
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自身恐竜に関して独自に研究を重ねて来たティペットはこの方針転換に落胆し漏らしたという「ぼくらはこれで絶滅(失業)だ。」は劇中のグラントの台詞にそのまま転用された。しかしテストフィルム([[アニマティック]])を古典的な[[ストップモーション・アニメ]]で製作し、恐竜の動作をデジタル入力するツールを開発、恐竜の動作の表現に苦心するCGスタッフたちに恐竜の動作をさせてみたり、動物園に足を運んで観察を重ねるといった努力もされ、こうした貢献は[[アカデミー視覚効果賞]]受賞という形で報われる事になった。
 
スピルバーグはハワイとユニバーサル・スタジオでの実写部分撮影終了後ポーランドに飛び次作『[[シンドラーのリスト]]』の撮影を開始したため、盟友[[ジョージ・ルーカス]]が視覚効果、音響効果、編集などのポストプロダクションを統括。パラサウロロフスの水場としてルーカスの制作拠点[[スカイウォーカー・ランチ]]に実在する池が映る。なおルーカスは本作のCGを見て、映像技術的限界を理由に延期していた[[スター・ウォーズ]]新三部作の製作に取りかかる事となった<ref group="注">同様本作の恐竜は[[スタンリー・キューブリック]]監督に『[[A.I.]]』、[[ジョー・ジョンストン]]監督に『[[ジュマンジ]]』映画化の可能性を拓かせている</ref>。
 
スピルバーグはまたグラント、レックス、ティムがガリミムスの群れと並んで疾走する場面を[[ステディカム]]で撮影する事に固執<ref group="注">スピルバーグはインパクトの強くセンセーショナルな視覚効果映像を好む傾向があり、ステレオサウンド"HiVi"誌の取材によるとシリーズ2作目「ロスト・ワールド」でトレーラーがTレックスに崖から落とされそうになる場面で、ILMのCG担当者はリアガラスに[[ジュリアン・ムーア]]が身体を打ち付けた際、ガラス面に増えていく亀裂の量を増やしている。</ref>、不規則で揺れの激しい手持ち撮影の場面にCGを合成するプロセス上にカメラトラッキングするブルースクリーンではなく実写映像上での[[マッチムーブ|マッチムーヴ]]という概念を生んでいる。芝生ではコンピューターが動きを完全に感知できないため、目印のためにゴルフボールとテープが置かれた。また、俳優の目線をトラッキングし、ガリミムスを通過させている。
 
CG使用シーンの合計時間はわずか7分。ただし尺自体は一瞬であるがティラノサウルスに踏み潰されるツアーカーや蹴散らされる倒木といった恐竜以外の素材もCGで作られ、ラプトルに破られた天井からぶら下ったレックスが一瞬見上げるシーンでは、演じたスタント代役の顔だけアリアナ・リチャーズの顔と取り替えるといった処理も可能にしている。またジェナロ弁護士がティラノサウルスに喰われるシーンでは咥えた瞬間から役者をCGに置き換えており、これが史上初めて映画で[[スタント|デジタル・スタントマン]]が使用された例とされている。<ref name="eizou">「映像+」05号(グラフィック社)</ref>
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大部分の恐竜のシーンは[[アニマトロニクス]]を使用して製作されており、特にスピルバーグがこだわったのが原寸大のティラノサウルス・レックスのアニマトロニクスであった。担当した[[スタン・ウィンストン]]は航空シミュレーターの専門会社の協力を得て油圧駆動システムを製作、高さ6m・重量6トンのまさに恐竜級のアニマトロニクスを完成させた。しかしそのパワーと重量では動作時の反作用でスタジオの床を破壊してしまうため、深さ1.8mのコンクリート床を持つ水中撮影用ステージにボルトで固定され、その周囲にセットを組んで撮影するというスター級の扱いが取られる事になった。さらに雨中のシーンでは表皮に使われたフォームラバーが水を吸って重くなり、重量過多で油圧システムの故障が頻繁、スタッフは連夜修理と乾燥に追われる事になった。
 
幾多の困難がありながらも、キャストと恐竜が絡むシーンにおいてアニマトロニクスは絶大なリアリティ効果を発揮し、後のSF映画に革命的な進歩をもたらした。CGが更に進歩した続編2作においても使用されている。<ref name="eizou"></ref>
 
=== 3D版 ===
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*T-REXがツアールートに侵入してしまうシーンで、T-REXがフェンスを破る時点とツアーカーが落下する時点で崖の高さのつじつまが合っていないように見えるが、そこの場所の部分は高い崖になっている高低差のある起伏な地形になっている場合もある。
*エリーがヴェロキラプトルに襲われた際、右足首を痛めて足を引きずって逃げている(金網の扉を閉める際にヴェロキラプトルの突進をもろに食らって倒れたため)が、ビジターセンターに入ってからはそのような描写は見られない。また発電所を脱出した後、ピンクのシャツを脱いで、[[タンクトップ]]姿になっている。
*ビジターセンターの天井裏を逃げるシーンでレックスをヴェロキラプトルが天井ごと押し上げるが、真下にそれを可能とするような足場はない<ref group="注">天井に張り付いていたとしても首の角度が不自然</ref>。
*ラストシーンでT-REXが物音一つ立てずビジターセンターのメインエントラスに侵入している。ネドリーを襲うディロフォサウルスも同様。
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:T-REXがレックスとティムの乗ったツアーカーを転倒させるシーンで、撮影機材が映り込んでいる。なお3D版では修正されている。
; 劇中のコンピュータ
: 劇中にて「[[UNIX]]なら分かるわ!」とレックスが操作するコンピュータは、[[シリコングラフィックス]]社製の実在するファイルナビゲーターソフト・[[fsn]]の画面である<ref group="注">なお、本作におけるCG作成用コンピュータもSGI製であり、パークのコントロールセンターにあるコンピュータはほとんどが[[Macintosh]]である。クライトン自身もMacユーザーである。</ref>。
: フィルムは24コマ/秒なので、コンピューター画面をそのまま撮影するとちらつきが発生する。スピルバーグはシャッタースピードは変更せずに、コンピューターのほうを24コマモニターに調整して使用した。
: コンピュータ・ディスプレイ画面を監修したマイケル・バッケス(Michael Backes)は原作者マイケル・クライトンの友人で、恐竜について多大な興味を持っていたクライトンに小説化を勧めた人物である。クライトン原作の映画化作品には『[[ライジング・サン]]』では脚本、『[[コンゴ (映画)|コンゴ]]』でも製作補佐として関わっている。
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== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
<references />
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=== 出典 ===
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== 関連項目 ==
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* CRジュラシックパーク([[パチンコ]]=[[藤商事]]版=・2008年)
* [[ジュラシック・ワールド]](映画・2015年)
** 米映画サイトComingsoon.netによると、『IV』の製作者である[[キャスリーン・ケネディ]]は2009年製作予定で準備を進めてきたが、原作者のマイケル・クライトンが死去により、今後製作されない可能性を示俊している。ケネディは、「続編についても考えたけれど、彼の死はもうシリーズに手を出すのはやめよう、というサインなのかもしれない」と続編製作から手を引くとしている。一方、IIIの監督を務めた[[ジョー・ジョンストン]]監督はIVの製作を明言しており、新三部作の構想も視野に入れているという<ref>[http://eiga.com/news/20100119/11/ 「ジュラシック・パーク」新3部作が製作へ?]映画.com 2010年1月19日</ref>。<references />
* [[ジュラシック・ワールド/炎の王国]](映画・2018年)
** 2018年に5作目が制作される。