「層位学的研究法」の版間の差分

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土層の堆積は、[[考古遺跡]]の場合、[[墓]]を埋めるなど人為的に埋め戻す'''人為堆積'''と流水等による運搬作用を中心に崩落や風化をともなって進行する'''自然堆積'''がある。いずれの場合も、上層にある遺構・遺物は下層にある遺構・遺物よりも年代的に新しいことを基本としている。
 
ただし、[[遺跡]]における層位では、明快に区分しうるような複数の層が累重する状態は、[[貝塚]]、[[遺丘]]で古い層の遺構を完全かつ平面的に破壊して整地し新しい層の遺構が築かれる場合などに限られる。この場合は、のちの時代に荒らされていない[[遺物包含層]]において、同一地点の下層の遺物は古く、上層の遺物は新しいと判断できる。この場合も、包含層が堆積する速度は、場所および時代によって異なり、決して均質ではないから、基準層面からの深さの差はかならずしも年代差を反映せず、浅かったり深かったりする。具体的には、同じ単層であっても[[洪水]]によってつくられる層はごく短期間であるが、池沼の底に泥土が沈殿していって重なる場合にはきわめて長時間にわたる。したがって、層位学的研究に際しては、土層における土砂や砂礫の粒度の観察も欠かせない。また、新しい層の古い層への破壊が著しい場合、本来なら新しい順にA、B、Cの文化層があるはずなのが、中間のB層がなくなってしまうこともありうる。
 
そのために、多くの場合、考古学における層位学的方法は、人為的なものや自然の影響によるものを含めて、包含層同士ないしは層同士の境界もしくは包含層中ないし層中に認められる「面」を規準として考えることが多い。言い換えれば、ある遺跡におけるある「面」がその遺跡におけるある特定の時間的位置を決定するものと考えるということである。
 
前述した貝塚や遺丘のような場合、複数の面が垂直的に上下関係にあると考えられるから、それらの面同士、またそれらの面にともなう遺構・遺物同士の間に層位的、時間的な先後関係(新旧関係)が確認されると考えることができる。しかし、多くの場合は、古い面を破壊して新しい面や新しい遺構が築かれている場合が多く、その場合も、面相互の切り合い関係を観察することによって、ひとつの面とその上位または下位の層に含まれる遺物との関係について、時間的先後関係を認めることができる。
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;絶対年代を示す層位
一方で、時代の判明した遺物を含む層が連続していることが確認できたり、時期の判明している[[火山灰]]層などがある場合は、[[絶対年代]]の判明したその層を基準にして堆積層同士の新旧関係やおおよその年代を知ることができる。このようにして多くの遺跡の遺構・遺物についてその層位的関係を論じることが可能になる場合がある。
 
;人工層位