「空騒ぎ」の版間の差分

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芝居が成功して上機嫌のボラチオは、仲間にうっかり計略の詳細を話しているところを夜警に聞かれて逮捕されてしまう。ドグベリー治安官たちが拷問すると、ボラチオの背後にはドン・ジョンがいるという。ボラチオ逮捕で恐れをなしたドン・ジョンは町から逃亡する。クローディオは、すべてドン・ジョンの陰謀だったことを知る。決闘は回避される。レオナートから娘を殺したのはクローディオだと責められ、自身の罪を悟ったクローディオは、レオナートから突きつけられた要求を承諾する。それはヒーローの無実を世間に知らせて墓前に哀悼の歌を捧げることと、ヒーローに瓜二つの姪と結婚して跡継ぎになることだった。偽りの葬儀の翌朝、結婚に臨んだクローディオの面前に現れたのは、死んだはずのヒーローだった。再会と真実の結婚に喜び沸き立つ二人に加え、ベネディックもまたベアトリスに求婚する。二重の喜びに溢れる一同のもとに、捕らえられたドン・ジョンが引き出される。
 
==材==
恋人たちが騙され、互いが不実だと思い込まされるという物語は16世紀の北イタリアではよくある物語の定型であった。シェイクスピアの直接の種本は[[マントヴァ]]の[[マテオ・バンデッロ]]のノヴェッラのひとつである可能性がある。この物語は[[ペドロ3世 (アラゴン王)|アラゴン王ペドロ3世]]が[[カルロ1世 (シチリア王)|シャルル・ダンジュー]]に勝利した後、[[メッシーナ]]のサー・ティンブレオと婚約者のフェニシア・リオナータが試練を受けるという筋である。おそらくシェイクスピアはフランソワ・ド・ベルフォレのフランス語訳を通してこの作品に触れることができた<ref name="RasmussenShakespeare2007">{{cite book|last1=Rasmussen|first1=Eric|last2=Bate|first2=Jonathan||title=The RSC Shakespeare: the complete works|year=2007|publisher=Macmillan|location=New York|isbn=0-230-00350-8|page=257|chapter=Much Ado About Nothing}}</ref>。もうひとつの物語は[[ルドヴィーコ・アリオスト]]の『[[狂えるオルランド]]』に登場する恋人たち、アリオダンテとジネヴラの物語で、バルコニーで召使いのデリンダがジネヴラのふりをするところがある。本作は1591年に英訳が出ている<ref name="Shakespeare1997">{{cite book|last=Evans|first=G. Blakemore|title=The Riverside Shakespeare|year=1997|publisher=Houghton Mifflin|location=Boston|isbn=0-395-85822-4|page=361|chapter=Much Ado about Nothing}}</ref>。『狂えるオルランド』にはベネディックが『から騒ぎ』で述べるような結婚に関する考察も見受けられる<ref name="HoenselaarsMarrapodi1998">{{cite book|last=Dusinberre|first=Juliet|editor=Marrapodi, Michele|title=The Italian world of English Renaissance drama: cultural exchange and intertextuality|year=1998|publisher=University of Delaware Press|location=Newark|isbn=0-87413-638-5|page=244|chapter=Much Ado About Lying}}</ref>。しかしながらビアトリスとベネディックの機知に富んだ求愛合戦はオリジナルである<ref name="RasmussenShakespeare2007" />。