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{{複数の問題|出典の明記|date=2013年9月|国際化=2010年5月14日 (金) 16:54 (UTC)|領域=[[日本]]}}
[[File:Higashi-Meihan Expressway01.jpg|thumb|right|250px|交通集中+サグ部による渋滞<br/>([[東名阪自動車道]] [[亀山ジャンクション|亀山JCT]]付近)]]
'''渋滞'''(じゅうたい、[[英語]]:traffic jam、traffic congestion)とは、[[インフラストラクチャー]]の能力を越える動体の流入により移動速度が遅くなった状態をいう。[[道路]][[交通]]上の'''交通渋滞'''(こうつうじゅうたい)を特に渋滞と呼ぶこともある。
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== 定義 ==
[[交通工学]]における渋滞の定義は、「[[ボトルネック]]にその区間の交通容量を上回る交通需要が到着した時に、当該区間の上流に生じる低速の待ち車両列によって形成される交通状態」を指す{{sfn|岩崎征人|2015|p=8}}。
交通渋滞の定義は、[[道路管理者]]や交通管理者ごとに異なっている。
例えば、[[警視庁]]では統計上、下記を渋滞の定義としている(警視庁交通部 交通量統計表)<ref>[http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/jyutai/data/ippan.pdf 平成23年中の都内の交通渋滞統計(一般道路、首都高速道路)] 警視庁ホームページ</ref>。
* [[一般道路]] : 走行速度が20&nbsp;[[キロメートル毎時|km/h]]以下になった状態
* [[高速道路]] : 走行速度が40&nbsp;km/h以下になった状態{{efn|かつての旧[[日本道路公団]]や旧[[本州四国連絡橋公団]]でも、走行速度40&nbsp;km/h以下になった場合を渋滞と定義した{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}。}}
また、[[首都高速道路]]では走行速度が20 km/h以下になった状態を{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=67}}、[[阪神高速道路]]や[[名古屋高速道路]]では走行速度が30 km/h以下になった状態を渋滞として扱っており、道路によって判定基準は異なっている{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}。
 
世間一般的には、自動車の列が数珠つなぎになった状態を渋滞と呼んでいるが{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}、渋滞長がいくら長くても、1回の青信号で[[信号機|信号]]待ち車列が全て捌ける場合は、一般には渋滞とは呼ばない。また、人の長蛇の列に対しても渋滞とは言わない{{sfn|浅井建爾|2001|p=180}}<ref>この「'''人の長蛇の列'''」のことは、「渋滞」ではなく、「'''行列'''」と呼ぶ。</ref>。渋滞の内容は様々で、例えば20&nbsp;km/h以下で走行している状態でも、停止して車列が動かない状態であっても渋滞である{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}<ref>そもそも、「'''停止して車列が動かない状態'''」は、「'''20&nbsp;km/h以下'''」に含まれる。なぜならば、「'''停止して車列が動かない状態'''」=0&nbsp;km/hであり、0&nbsp;km/h < 20&nbsp;km/hであるからである</ref>。車列の長さについても、正確な距離が定められているわけではないが、連なる自動車の列の長さが1キロメートルを越えた状態を渋滞と言っている{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}。
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== 渋滞のデメリット ==
渋滞は人流・物流の所要時間を増加させるため、到着時間を遅延させ、生活や産業活動に負の影響をもたらしている{{sfn|国土交通省|2003|p=6}}。[[日本]]国内における渋滞の損失時間は1人あたり年間約40時間([[2012年]]度データより)とされている{{sfn|国土交通省道路局|2015|p=2}}。産業活動における道路交通の役割は大きく、渋滞によって国内産業活動の効率化や産業の競争力向上にとって大きな足枷となる{{sfn|国土交通省|2003|p=10}}。そのため、[[警察庁]]や[[国土交通省]]は[[地方自治体]]と協力し、徹底して渋滞の解消を目指している{{sfn|国土交通省|2003|p=10}}。
 
また、渋滞は[[交通事故]]増加の原因となっている{{sfn|国土交通省|2003|p=11}}。例えば、[[生活道路]]に抜け道を目的とした車両が流入することでコミュニティ空間の安全性・快適性を損なう事例もみられる{{sfn|国土交通省|2003|p=11}}。
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さらに、渋滞による車両の速度低下により[[二酸化炭素]]や[[窒素酸化物]]などの[[物質]]が多く排出される原因となる{{sfn|国土交通省|2003|p=12}}。
 
このほか渋滞の発生は都市などの美観の問題として取り上げられることもある<ref name="creative">リチャード・フロリダ『クリエイティブ資本論』ダイヤモンド社刊(2007年)</ref>。
== 渋滞の種類 ==
渋滞は発生原因によって'''自然渋滞'''と'''突発渋滞'''の2種類に大別される{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
* '''自然渋滞''': 既に道路上にあるボトルネックによって発生するもので、ボトルネックに流入する交通需要が推定できるならば渋滞の区間や規模をある程度である{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
* '''突発渋滞''': [[交通事故]]や車両故障などの突発事象が原因で生じる渋滞で、渋滞に関する予測ができない{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
 
== 世界における渋滞での交通流 ==
[[File:Motorcycles in Taipei.JPG|thumb|right|220px|2008年9月、[[台北]]での交通渋滞。<br/>台北では主に[[オートバイ]]によって渋滞が引き起こされている。]]
渋滞流では、密に車両が並ぶ部分(密部)と、車頭間隔が比較的長く車両がまばらに並ぶ部分(疎部)が交互になるのが観測できる{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。この現象は「疎密波現象」と呼ばれる{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
2010年、米外交専門誌[[:en:Foreign Policy|フォーリン・ポリシー]]は、世界で最も交通渋滞が深刻な都市として、[[モスクワ]]、[[ラゴス]]、[[メキシコシティ]]、[[サンパウロ]]、[[北京]]の5つの都市を挙げている。このうちサンパウロでは2008年9月に、世界で最も長いといわれる165マイル(約265&nbsp;km)超の渋滞が発生している。また、2010年8月14日には、[[中華人民共和国|中国]]の北京~[[ラサ]]間の[[G110国道]]と[[京蔵高速道路]]で100キロに及ぶ渋滞が10日以上にわたって続いた<ref>[http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20100825/Recordchina_20100825023.html 史上最大の交通渋滞!北京-ラサ間高速道で、100キロが9日連続]レコード・チャイナ 2010年8月25日</ref>。また[[イギリス|英]][[BBC]]の2012年の調査によれば、[[バンコク]]、[[ジャカルタ]]、[[ナイロビ]]、[[マニラ]]、[[ムンバイ]]の上位5都市が、渋滞が深刻な世界の都市としてランクインしている<ref>[[NHK BS1]]「[[キャッチ!世界の視点]]」でもジャカルタを取り上げた。「[http://www.nhk.or.jp/catchsekai/marugoto/2014/08/0818.html 解消せよ!ジャカルタの渋滞問題]」 - NHK報道番組 「特集まるごと」(2014年8月18日(月)版 / 2015年10月28日閲覧)</ref>。
この疎密波現象は以下の現象を持っているとされる{{sfn|越正毅|1989|pp=112-113}}。
* 疎密波は交通の進行方向(下流)とは反対(上流)方向に伝播する。
* 疎密波は、先頭付近では密部・疎部の差がはっきりと現れないが、上流にさかのぼると疎密の差が明瞭となる。また、疎密波は並行する車線の間で同期する傾向がある。
* 疎部での速度は上限がある(例えば、[[都市高速道路]]では時速45 km程度になる)。
* 疎部で車両が相対的に速く走行できる時間は、ボトルネックでの交通容量が異なっても変化しない。しかし、密部で車両が遅く走行する時間は、ボトルネックでの交通容量が小さいほど長くなる傾向がある。
 
[[開発途上国]]では交通行動の変容によるインフラの整備が追い付いていない状況である{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=20}}。例えば、[[停電]]に伴う[[信号機]]の消灯や、河川整備の未成熟なために生じる[[冠水]]の影響によって渋滞が発生する{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=21}}。また、牛車などの極端に走行速度が遅い車両や路上での故障車両によって渋滞が生じることもある{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=21}}。さらには、交通ルールやマナーが十分に守られていないために生じる渋滞も見られる{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=21}}。
== 渋滞の原因 ==
一方で、非効率な信号制御やロータリー交差点の導入など、中途半端な渋滞対策により渋滞を悪化させている例が多い{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|pp=21-22}}。
{{出典の明記|date=2018-02|section=1}}
一般道路と高速道路で渋滞発生の原因は異なり、上り坂が渋滞の原因になるのは主に高速道路であって、一般道路での渋滞の最大の原因は信号交差点である。
 
=== 一般道路で発生す米国における渋滞 ===
テキサスA&M大学テキサス交通研究所の調査(2004年)では、アメリカの都市部のドライバーが渋滞で動けなくなっている時間は1992年の年16時間だったが、2002年には年46時間まで悪化した<ref name="creative">リチャード・フロリダ『クリエイティブ資本論』ダイヤモンド社刊(2007年)</ref>。
[[File:Autumn Koyasan Wakayama07bs3200.jpg|thumb|right|220px|一般道路における渋滞の一例。観光地における観光シーズンの交通量増加に因る]]
[[File:Traffic congestion,tarui,ono,hyogo 8218573.JPG|thumb|right|220px|夏祭り会場へ向かう車のために起こった片側渋滞の例]]
道路の1車線には1時間あたり約2,000台の交通容量がある。例えば、片側2車線の単路部(立体交差のように信号のない部分)の交通容量は1時間あたり約4,000台であるが、これを超える量の車両が流入すると渋滞が発生する。
====信号交差点====
: 都市部では単路部は長くは続かず、信号交差点が数多くある。単路部で十分な交通容量があっても、その先の信号交差点の存在によってその道路の交通容量は低下する。例えば、信号の青信号の秒数が30秒、黄信号が0秒、赤信号の秒数が30秒という極めて単純な信号を仮定したとき、青信号時間の比率は50%となり、交通容量は青時間率が100%のとき(すなわち[[立体交差]]のとき)と比べて約半分となる。
: また交差点への進入車両が極度に増えた場合、隣接する交差点まで車両の列が伸びて渋滞が連鎖的に増える {{仮リンク|グリッドロック|en|Gridlock}}と呼ばれる「超渋滞」現象が発生する。日本では[[東日本大震災]]で発生した渋滞でグリッドロック状態が観測され、解消までほぼ一日を要した<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20121003k0000m040151000c.html グリッドロック:「超」渋滞現象、震災で初確認- 毎日jp([[毎日新聞]])]</ref>。[[File:Gridlock.svg|thumb|right|180px|グリッドロックの模式図]]
: 信号機のパラメータ設定は、渋滞の発生有無に大きく影響する。不適切に設定すると、以前は渋滞のなかった交差点に渋滞が発生するようになる。
====右折待ち車両====
: 平面な交差点を右折する場合、必ず対面する交通をまたぐ必要がある。そのため、狭い道路で右折車が本線上で対面交通が途切れるのを待機していたり、右折レーンが存在してもその容量を超えて本線にはみ出している場合は、後続車が阻まれて渋滞が起こる。対面する交通は不定期に右折車に道を譲るのでこちらも速度低下が起こる。この場合、右折レーンの距離を長くする、右折信号がない場合には右折信号を追加する、右折信号がある場合はその時間を長くする、そもそも[[w:ja:交通信号機|信号機]]が存在しない場合には[[w:ja:交通信号機|信号機]]を新設する、などが解決法として挙げられる。
: 地方によってはこれを防ぐため、地元住民の間で右折優先のルールが通用していることもある(特に狭い路地の多い都市に顕著である、例:[[松本走り]])が、旅行者など事情を知らない者にとって非常に危険であるため、取り締まりや啓発活動が積極的に行われている。
====左折待ち車両====
: 右折待ち車両ほど大きな問題になることは少ないが、大都市や鉄道駅周辺、あるいはイベント開催時の会場周辺など、横断歩行者が多い交差点では横断歩行者がなかなか途切れず左折できずにいる車によって後続の車が阻まれることがある。この対策として左折レーンを整備し、[[歩行者]]が途切れるのを待つ左折車を直進レーンから分離すると、直進方向の交通容量向上に大きな効果を得ることができる。あるいは、[[横断歩道橋|歩道橋]]や[[ペデストリアンデッキ]]を整備したり、信号機を[[歩車分離式信号機|歩車分離式]]とすることで、歩行者と車両を分離すると、左折車両の滞留が減少する。
====信号同士の協調が不適切または協調が無い====
: ある交差点の信号が青信号に変わっても、先の交差点の信号が赤信号だと先の信号で車が詰まり、手前の交差点(信号)に入れない。これを解消する方法には、まず基準信号を設け、ある基準信号が青に変わると、数か所先まで一斉に青信号や赤信号に変わる方式と、ドミノ式に青信号や赤信号に変化していく方式がある。すると、交通容量が多くなり、また、平均速度向上につながる。
====(有効)車線数の減少====
: 路上に駐車車両があるとその部分の有効車線数が減るため、交通容量は低下する。特に交差点付近の[[駐車]]車両は交通容量を著しく低下させ、特に都市部において顕著である。沿道の大規模[[商業施設]]([[ロードサイド店舗]])の[[駐車場]]に入ろうとする車列も、同じく渋滞の原因となる。このため側道の不足も流入台数の増加をもたらす。
: 道路[[工事]]による車線規制も交通容量が低下させる。道路工事を夜間に行うことが多いのは、夜間は交通量が少ないため、車線規制による渋滞の発生を軽減できるからである。
 
=== 日本における渋滞 ===
====[[踏切]]====
[[日本]]国内における渋滞の損失時間は1人あたり年間約40時間([[2012年]]度データより)とされている{{sfn|国土交通省道路局|2015|p=2}}。産業活動における道路交通の役割は大きく、渋滞によって国内産業活動の効率化や産業の競争力向上にとって大きな足枷となる{{sfn|国土交通省|2003|p=10}}。そのため、[[警察庁]]や[[国土交通省]]は[[地方自治体]]と協力し、徹底して渋滞の解消を目指している{{sfn|国土交通省|2003|p=10}}。
: [[踏切]]では列車通過時に道路が遮断され、特に都市部の踏切は遮断率が高く[[開かずの踏切]]になりやすい。さらに[[日本]]の法規制では原則的に、信号機がない場合は遮断されていなくても一時停止が義務付けられているため、踏切によって道路容量が低下する。このような状況を解消すべく、道路整備の一環とした都市計画事業の一つである[[連続立体交差事業]]というものを実施し、都市部を中心に[[鉄道]]の一定区間を高架化もしくは地下化を進めた後、踏切の撤去作業を行う。
 
====[[橋]]([[河川]]) 日本における定義 ====
交通渋滞の定義は、[[道路管理者]]や交通管理者ごとに異なっている。
: 本来、[[橋]]そのものが交通容量を低下させるわけではないが、都市の道路ネットワークの構造として橋の数が少ないため、交通需要が集中し、渋滞が起こる。これを改善するためには橋を増やすか、大都市において適当な幅のある川は稀に[[暗渠]]化される(ただし暗渠化の多くはこの目的で行うものではない)。
例えば、[[警視庁]]では統計上、下記を渋滞の定義としている(警視庁交通部 交通量統計表)<ref>[http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/jyutai/data/ippan.pdf 平成23年中の都内の交通渋滞統計(一般道路、首都高速道路)] 警視庁ホームページ</ref>。
====事故====
* [[一般道路]] : 走行速度が20&nbsp;[[キロメートル毎時|km/h]]以下になった状態
: 狭義には[[交通事故]]により、車線が塞がれて起きる渋滞である。広義には[[火事]]や[[天災]]によるものも含める。
* [[高速道路]] : 走行速度が40&nbsp;km/h以下になった状態{{efn|かつての旧[[日本道路公団]]や旧[[本州四国連絡橋公団]]でも、走行速度40&nbsp;km/h以下になった場合を渋滞と定義した{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}。}}
====見物渋滞(わき見渋滞)====
また、[[首都高速道路]]では走行速度が20 km/h以下になった状態を{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=67}}、[[阪神高速道路]]や[[名古屋高速道路]]では走行速度が30 km/h以下になった状態を渋滞として扱っており、道路によって判定基準は異なっている{{sfn|浅井建爾|2001|p=184}}。
: 交通工学の本来の用語ではない。ドライバーが景色や看板や火事や対向車線の事故<sub>等</sub>に目を奪われて減速や[[停車]]をすることによって渋滞が起こる。またわき見運転は事故の危険も伴い、こうしたドライバーが事故を起こせば渋滞をさらに悪化させることになる。
====悪天候====
: 雪などで[[タイヤチェーン|チェーン]]規制となった場合、チェーンの着脱のために装着場へ入る車が多くなること、[[サービスエリア]]・[[パーキングエリア]]などに強制流入させて滑り止め装着の有無を点検すること、チェーン装着車は最高速度が30 - 50km/h程度に制限されることなどから渋滞の原因になる。
: また、[[雪]]、[[雨]]、[[路面凍結|凍結]]の場合、摩擦係数が小さくなりタイヤが滑りやすくなるため、ドライバーが慎重に運転し、また[[霧]]や[[大雨]]の場合、視界が悪く低速度で運転せざるを得ないため、道路容量が低下する。悪天候のために事故が起こればやはり渋滞は悪化する。
 
==== 高速道路で発生する総距離の長い渋滞 ====
[[高速道路]]上で、渋滞最後尾や、車間距離が詰まって速度が急に低下した場合の自動車の運転手は、追突事故の防止のために[[方向指示器#渋滞最後尾警告|ハザードランプ]]を点滅させて、後続車に注意を促す暗黙の了解があるが(道路交通法では特に定められてはいない)、[[ネクスコ|NEXCO3社]]では本用法を推奨している。
 
====分岐点での渋滞====
: [[w:ja:インターチェンジ|インターチェンジ(IC)]]や[[w:ja:ジャンクション|ジャンクション(JCT)]]では流出、流入が発生するが、本線の車は流入車を入れるため、前車との車間距離を空けるために少し減速したり、追越車線に移動したりする。本線の後続車は車間距離を一定に保とうとして、詰まった車間距離を広げるために速度を先行車より落とす。これが連鎖的に続くと渋滞となる。流入車そのものも遅い速度のまま本線に合流すれば渋滞の原因となりうる。また、流出でもカーブのため40 km/h規制、対向車線からの流出合流、料金所、一般道での渋滞などによって本線まで続くことがある。
: 織り込み(ウィービング)とは右図のようなものを言う。
:[[File:Weaving traffic.png|thumb|right|220px|織り込み交通の模式図]]
====料金所による渋滞====
: [[ETC]]の普及により、ノンストップで料金所を通過できる車両が増えたため、日本では解消されつつある。しかし料金所を抜けて一般道へつながる交差点や信号機でうまく自動車が流れず渋滞することもある。[[本線料金所]]では通行するすべての車が停車または減速を強いられるため、そこへ続く本線の交通量によっては渋滞が発生する。
====工事・事故による渋滞====
<!--- 車線規制が要因による渋滞なので工事渋滞を統合してみました --->
[[File:Congestion sign in Japan.jpg|thumb|right|180px|事故渋滞発生時の電光掲示板表示例]]
: 工事や事故のため車線が減少・規制あるいは通行止めされることで渋滞になる。ときには全く動かなくなることもある。工事による渋滞はWebページや[[VICS]]等を通じて事前に公表されることがあるが、事故による渋滞は前述のケースや料金所での渋滞と違いいつどこで起こるかわからないため、予想することは困難で、VICSなどにも情報がすぐには入りにくい。
: 車線規制が終了し交通容量が回復した後で、車線規制による渋滞列中に存在する車両がすべて通過して、渋滞解消となる。渋滞情報などで事故渋滞と表示されていても、事故車両を見かけないことが多いのはこのためである。
 
====山間部による渋滞====
: 日本における高速道路では山間部のように険しい地形上に路線を建設するため、傾斜が多く存在する。ドライバーが平坦部と変わらないアクセルの踏み方で上り坂を登ろうとすると、傾斜角度3%程度のドライバーも気付かないほどのわずかな傾斜でも速度が低下する。特に加速性能の低い大型車は速度低下が大きい。
: 後続の車は前方車両のわずかな減速に対し、安全のためにと前方車両以上に減速してしまうことがある。これがいくつか繰り返されると、後方の車両はかなりの低速状態になってしまい、渋滞が発生する。
: このような原因による交通容量の低下を防止するために、大きな勾配が存在する区間には付加車線([[登坂車線]])が設置されている。
====サグ部による渋滞(sag)====
[[File:Meishin Expressway02.jpg|thumb|right|220px|サグ部の一例<br/>([[名神高速]] 高槻BS付近)]]
: すり鉢状の地形にある道路(サグ)ではドライバーが凹状の底の地点(谷底)に到着して上り坂となったとき、緩慢な変化に気が付きにくいことから、アクセルを強く踏むタイミングが遅れ、速度低下が発生しやすい([[オートマチック車]]の場合はギアチェンジが起こらない)。
: 自動車のアクセルは速度を管理・調整する機能ではなく、燃焼状況([[トルク]])を調節する機能であるため、路面状況の変化にドライバーが気が付かず同じようにアクセルを操作すれば、このわずかなタイミングの遅れにより速度の低下が起こることで結果的に交通容量の低下が起こる<ref>[http://www.driveplaza.com/traffic/jyutai/jyutai_hassei/jyutai1-1.html サグ部などで起きる「渋滞」の原因とその対策について] NEXCO東日本ホームページ</ref>。なお、渋滞時のサグの容量は非渋滞時の容量に比べて大幅に低下する。回避させるために「この先上り坂」や「速度回復願います」と簡易型電光掲示板に表示する対策方法が取られている。NEXCO中日本の調査では、管内で発生する交通集中渋滞のうち約55%(平成19年)がサグ及び上り坂が原因で発生している。
====トンネルによる渋滞====
: トンネルは視覚的に狭く感じ、明るさも変化するため、ドライバーはその入り口付近でアクセルを緩めてしまいやすい。その結果、交通容量が低下する<ref>{{Cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140421/wlf14042107000001-n3.htm|title=中国道“名物”「宝塚トンネル常時渋滞」の本当の理由…2年後には劇的解消“秘策”が|work=MSN産経ニュース|newspaper=産経新聞|date=2014-04-21|accessdate=2014-04-26}}</ref>。また、雨水をはくために中央に向けて上り坂となっているトンネルもあり、これも渋滞の原因となっている。回避させるためにトンネル入り口付近の照明度を高くする、トンネル側面に水準線を描き、上り下りの状況判断をし易くする等の工夫が有効である。従来、夜間時は昼間時の5分の1に照明度を落としていたが、[[2009年]][[8月6日]]から対策としてNEXCO西日本は管内76か所のトンネルで、夜間時の照明度を昼間時の照明度と同じにする対策をとった。先行して都市部の一部トンネルで実施しており、一定の効果があったため2009年8月6日より地方部のトンネルでの運用が決まった。
 
== 総距離の長い渋滞 ==
{{出典の明記| date = 2018-02| section = 1}}
{| class="wikitable" style="text-align: center"
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|}
 
==== 日本の高速道路における渋滞の多発地点 ====
{{出典の明記|date=2018-02|section=1}}
* [[常磐自動車道]] [[三郷ジャンクション|三郷JCT]]付近
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: 全線で渋滞が多発する。並行する中国道宝塚トンネル(前述)とともに関西屈指の渋滞地点。
 
== 世界における渋滞の種類 ==
渋滞は発生原因によって'''自然渋滞'''と'''突発渋滞'''の2種類に大別される{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
[[File:Motorcycles in Taipei.JPG|thumb|right|220px|2008年9月、[[台北]]での交通渋滞。<br/>台北では主に[[オートバイ]]によって渋滞が引き起こされている。]]
* '''自然渋滞''': 既に道路上にあるボトルネックによって発生するもので、ボトルネックに流入する交通需要が推定できるならば渋滞の区間や規模をある程度である{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
2010年、米外交専門誌[[:en:Foreign Policy|フォーリン・ポリシー]]は、世界で最も交通渋滞が深刻な都市として、[[モスクワ]]、[[ラゴス]]、[[メキシコシティ]]、[[サンパウロ]]、[[北京]]の5つの都市を挙げている。このうちサンパウロでは2008年9月に、世界で最も長いといわれる165マイル(約265&nbsp;km)超の渋滞が発生している。また、2010年8月14日には、[[中華人民共和国|中国]]の北京~[[ラサ]]間の[[G110国道]]と[[京蔵高速道路]]で100キロに及ぶ渋滞が10日以上にわたって続いた<ref>[http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20100825/Recordchina_20100825023.html 史上最大の交通渋滞!北京-ラサ間高速道で、100キロが9日連続]レコード・チャイナ 2010年8月25日</ref>。また[[イギリス|英]][[BBC]]の2012年の調査によれば、[[バンコク]]、[[ジャカルタ]]、[[ナイロビ]]、[[マニラ]]、[[ムンバイ]]の上位5都市が、渋滞が深刻な世界の都市としてランクインしている<ref>[[NHK BS1]]「[[キャッチ!世界の視点]]」でもジャカルタを取り上げた。「[http://www.nhk.or.jp/catchsekai/marugoto/2014/08/0818.html 解消せよ!ジャカルタの渋滞問題]」 - NHK報道番組 「特集まるごと」(2014年8月18日(月)版 / 2015年10月28日閲覧)</ref>。
* '''突発渋滞''': [[交通事故]]や車両故障などの突発事象が原因で生じる渋滞で、渋滞に関する予測ができない{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
 
== 渋滞での交通流 ==
[[開発途上国]]では交通行動の変容によるインフラの整備が追い付いていない状況である{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=20}}。例えば、[[停電]]に伴う[[信号機]]の消灯や、河川整備の未成熟なために生じる[[冠水]]の影響によって渋滞が発生する{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=21}}。また、牛車などの極端に走行速度が遅い車両や路上での故障車両によって渋滞が生じることもある{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=21}}。さらには、交通ルールやマナーが十分に守られていないために生じる渋滞も見られる{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|p=21}}。
渋滞流では、密に車両が並ぶ部分(密部)と、車頭間隔が比較的長く車両がまばらに並ぶ部分(疎部)が交互になるのが観測できる{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。この現象は「疎密波現象」と呼ばれる{{sfn|越正毅|1989|p=112}}。
一方で、非効率な信号制御やロータリー交差点の導入など、中途半端な渋滞対策により渋滞を悪化させている例が多い{{sfn|浅田薫永・川口裕久|2015|pp=21-22}}。
この疎密波現象は以下の現象を持っているとされる{{sfn|越正毅|1989|pp=112-113}}。
* 疎密波は交通の進行方向(下流)とは反対(上流)方向に伝播する。
* 疎密波は、先頭付近では密部・疎部の差がはっきりと現れないが、上流にさかのぼると疎密の差が明瞭となる。また、疎密波は並行する車線の間で同期する傾向がある。
* 疎部での速度は上限がある(例えば、[[都市高速道路]]では時速45 km程度になる)。
* 疎部で車両が相対的に速く走行できる時間は、ボトルネックでの交通容量が異なっても変化しない。しかし、密部で車両が遅く走行する時間は、ボトルネックでの交通容量が小さいほど長くなる傾向がある。
 
== 渋滞の原因 ==
{{出典の明記|date=2018-02|section=1}}
一般道路と高速道路で渋滞発生の原因は異なり、上り坂が渋滞の原因になるのは主に高速道路であって、一般道路での渋滞の最大の原因は信号交差点である。
 
=== 一般道路で発生する渋滞 ===
[[File:Autumn Koyasan Wakayama07bs3200.jpg|thumb|right|220px|一般道路における渋滞の一例。観光地における観光シーズンの交通量増加に因る]]
[[File:Traffic congestion,tarui,ono,hyogo 8218573.JPG|thumb|right|220px|夏祭り会場へ向かう車のために起こった片側渋滞の例]]
道路の1車線には1時間あたり約2,000台の交通容量がある。例えば、片側2車線の単路部(立体交差のように信号のない部分)の交通容量は1時間あたり約4,000台であるが、これを超える量の車両が流入すると渋滞が発生する。
====信号交差点====
: 都市部では単路部は長くは続かず、信号交差点が数多くある。単路部で十分な交通容量があっても、その先の信号交差点の存在によってその道路の交通容量は低下する。例えば、信号の青信号の秒数が30秒、黄信号が0秒、赤信号の秒数が30秒という極めて単純な信号を仮定したとき、青信号時間の比率は50%となり、交通容量は青時間率が100%のとき(すなわち[[立体交差]]のとき)と比べて約半分となる。
: また交差点への進入車両が極度に増えた場合、隣接する交差点まで車両の列が伸びて渋滞が連鎖的に増える {{仮リンク|グリッドロック|en|Gridlock}}と呼ばれる「超渋滞」現象が発生する。日本では[[東日本大震災]]で発生した渋滞でグリッドロック状態が観測され、解消までほぼ一日を要した<ref>[http://mainichi.jp/select/news/20121003k0000m040151000c.html グリッドロック:「超」渋滞現象、震災で初確認- 毎日jp([[毎日新聞]])]</ref>。[[File:Gridlock.svg|thumb|right|180px|グリッドロックの模式図]]
: 信号機のパラメータ設定は、渋滞の発生有無に大きく影響する。不適切に設定すると、以前は渋滞のなかった交差点に渋滞が発生するようになる。
====右折待ち車両====
: 平面な交差点を右折する場合、必ず対面する交通をまたぐ必要がある。そのため、狭い道路で右折車が本線上で対面交通が途切れるのを待機していたり、右折レーンが存在してもその容量を超えて本線にはみ出している場合は、後続車が阻まれて渋滞が起こる。対面する交通は不定期に右折車に道を譲るのでこちらも速度低下が起こる。この場合、右折レーンの距離を長くする、右折信号がない場合には右折信号を追加する、右折信号がある場合はその時間を長くする、そもそも[[w:ja:交通信号機|信号機]]が存在しない場合には[[w:ja:交通信号機|信号機]]を新設する、などが解決法として挙げられる。
: 地方によってはこれを防ぐため、地元住民の間で右折優先のルールが通用していることもある(特に狭い路地の多い都市に顕著である、例:[[松本走り]])が、旅行者など事情を知らない者にとって非常に危険であるため、取り締まりや啓発活動が積極的に行われている。
====左折待ち車両====
: 右折待ち車両ほど大きな問題になることは少ないが、大都市や鉄道駅周辺、あるいはイベント開催時の会場周辺など、横断歩行者が多い交差点では横断歩行者がなかなか途切れず左折できずにいる車によって後続の車が阻まれることがある。この対策として左折レーンを整備し、[[歩行者]]が途切れるのを待つ左折車を直進レーンから分離すると、直進方向の交通容量向上に大きな効果を得ることができる。あるいは、[[横断歩道橋|歩道橋]]や[[ペデストリアンデッキ]]を整備したり、信号機を[[歩車分離式信号機|歩車分離式]]とすることで、歩行者と車両を分離すると、左折車両の滞留が減少する。
====信号同士の協調が不適切または協調が無い====
: ある交差点の信号が青信号に変わっても、先の交差点の信号が赤信号だと先の信号で車が詰まり、手前の交差点(信号)に入れない。これを解消する方法には、まず基準信号を設け、ある基準信号が青に変わると、数か所先まで一斉に青信号や赤信号に変わる方式と、ドミノ式に青信号や赤信号に変化していく方式がある。すると、交通容量が多くなり、また、平均速度向上につながる。
====(有効)車線数の減少====
: 路上に駐車車両があるとその部分の有効車線数が減るため、交通容量は低下する。特に交差点付近の[[駐車]]車両は交通容量を著しく低下させ、特に都市部において顕著である。沿道の大規模[[商業施設]]([[ロードサイド店舗]])の[[駐車場]]に入ろうとする車列も、同じく渋滞の原因となる。このため側道の不足も流入台数の増加をもたらす。
: 道路[[工事]]による車線規制も交通容量が低下させる。道路工事を夜間に行うことが多いのは、夜間は交通量が少ないため、車線規制による渋滞の発生を軽減できるからである。
 
====[[踏切]]====
: [[踏切]]では列車通過時に道路が遮断され、特に都市部の踏切は遮断率が高く[[開かずの踏切]]になりやすい。さらに[[日本]]の法規制では原則的に、信号機がない場合は遮断されていなくても一時停止が義務付けられているため、踏切によって道路容量が低下する。このような状況を解消すべく、道路整備の一環とした都市計画事業の一つである[[連続立体交差事業]]というものを実施し、都市部を中心に[[鉄道]]の一定区間を高架化もしくは地下化を進めた後、踏切の撤去作業を行う。
 
====[[橋]]([[河川]])====
: 本来、[[橋]]そのものが交通容量を低下させるわけではないが、都市の道路ネットワークの構造として橋の数が少ないため、交通需要が集中し、渋滞が起こる。これを改善するためには橋を増やすか、大都市において適当な幅のある川は稀に[[暗渠]]化される(ただし暗渠化の多くはこの目的で行うものではない)。
====事故====
: 狭義には[[交通事故]]により、車線が塞がれて起きる渋滞である。広義には[[火事]]や[[天災]]によるものも含める。
====見物渋滞(わき見渋滞)====
: 交通工学の本来の用語ではない。ドライバーが景色や看板や火事や対向車線の事故<sub>等</sub>に目を奪われて減速や[[停車]]をすることによって渋滞が起こる。またわき見運転は事故の危険も伴い、こうしたドライバーが事故を起こせば渋滞をさらに悪化させることになる。
====悪天候====
: 雪などで[[タイヤチェーン|チェーン]]規制となった場合、チェーンの着脱のために装着場へ入る車が多くなること、[[サービスエリア]]・[[パーキングエリア]]などに強制流入させて滑り止め装着の有無を点検すること、チェーン装着車は最高速度が30 - 50km/h程度に制限されることなどから渋滞の原因になる。
: また、[[雪]]、[[雨]]、[[路面凍結|凍結]]の場合、摩擦係数が小さくなりタイヤが滑りやすくなるため、ドライバーが慎重に運転し、また[[霧]]や[[大雨]]の場合、視界が悪く低速度で運転せざるを得ないため、道路容量が低下する。悪天候のために事故が起こればやはり渋滞は悪化する。
 
=== 高速道路で発生する渋滞 ===
[[高速道路]]上で、渋滞最後尾や、車間距離が詰まって速度が急に低下した場合の自動車の運転手は、追突事故の防止のために[[方向指示器#渋滞最後尾警告|ハザードランプ]]を点滅させて、後続車に注意を促す暗黙の了解があるが(道路交通法では特に定められてはいない)、[[ネクスコ|NEXCO3社]]では本用法を推奨している。
 
====分岐点での渋滞====
: [[w:ja:インターチェンジ|インターチェンジ(IC)]]や[[w:ja:ジャンクション|ジャンクション(JCT)]]では流出、流入が発生するが、本線の車は流入車を入れるため、前車との車間距離を空けるために少し減速したり、追越車線に移動したりする。本線の後続車は車間距離を一定に保とうとして、詰まった車間距離を広げるために速度を先行車より落とす。これが連鎖的に続くと渋滞となる。流入車そのものも遅い速度のまま本線に合流すれば渋滞の原因となりうる。また、流出でもカーブのため40 km/h規制、対向車線からの流出合流、料金所、一般道での渋滞などによって本線まで続くことがある。
: 織り込み(ウィービング)とは右図のようなものを言う。
:[[File:Weaving traffic.png|thumb|right|220px|織り込み交通の模式図]]
====料金所による渋滞====
: [[ETC]]の普及により、ノンストップで料金所を通過できる車両が増えたため、日本では解消されつつある。しかし料金所を抜けて一般道へつながる交差点や信号機でうまく自動車が流れず渋滞することもある。[[本線料金所]]では通行するすべての車が停車または減速を強いられるため、そこへ続く本線の交通量によっては渋滞が発生する。
====工事・事故による渋滞====
<!--- 車線規制が要因による渋滞なので工事渋滞を統合してみました --->
[[File:Congestion sign in Japan.jpg|thumb|right|180px|事故渋滞発生時の電光掲示板表示例]]
: 工事や事故のため車線が減少・規制あるいは通行止めされることで渋滞になる。ときには全く動かなくなることもある。工事による渋滞はWebページや[[VICS]]等を通じて事前に公表されることがあるが、事故による渋滞は前述のケースや料金所での渋滞と違いいつどこで起こるかわからないため、予想することは困難で、VICSなどにも情報がすぐには入りにくい。
: 車線規制が終了し交通容量が回復した後で、車線規制による渋滞列中に存在する車両がすべて通過して、渋滞解消となる。渋滞情報などで事故渋滞と表示されていても、事故車両を見かけないことが多いのはこのためである。
 
====山間部による渋滞====
: 日本における高速道路では山間部のように険しい地形上に路線を建設するため、傾斜が多く存在する。ドライバーが平坦部と変わらないアクセルの踏み方で上り坂を登ろうとすると、傾斜角度3%程度のドライバーも気付かないほどのわずかな傾斜でも速度が低下する。特に加速性能の低い大型車は速度低下が大きい。
: 後続の車は前方車両のわずかな減速に対し、安全のためにと前方車両以上に減速してしまうことがある。これがいくつか繰り返されると、後方の車両はかなりの低速状態になってしまい、渋滞が発生する。
: このような原因による交通容量の低下を防止するために、大きな勾配が存在する区間には付加車線([[登坂車線]])が設置されている。
====サグ部による渋滞(sag)====
[[File:Meishin Expressway02.jpg|thumb|right|220px|サグ部の一例<br/>([[名神高速]] 高槻BS付近)]]
: すり鉢状の地形にある道路(サグ)ではドライバーが凹状の底の地点(谷底)に到着して上り坂となったとき、緩慢な変化に気が付きにくいことから、アクセルを強く踏むタイミングが遅れ、速度低下が発生しやすい([[オートマチック車]]の場合はギアチェンジが起こらない)。
: 自動車のアクセルは速度を管理・調整する機能ではなく、燃焼状況([[トルク]])を調節する機能であるため、路面状況の変化にドライバーが気が付かず同じようにアクセルを操作すれば、このわずかなタイミングの遅れにより速度の低下が起こることで結果的に交通容量の低下が起こる<ref>[http://www.driveplaza.com/traffic/jyutai/jyutai_hassei/jyutai1-1.html サグ部などで起きる「渋滞」の原因とその対策について] NEXCO東日本ホームページ</ref>。なお、渋滞時のサグの容量は非渋滞時の容量に比べて大幅に低下する。回避させるために「この先上り坂」や「速度回復願います」と簡易型電光掲示板に表示する対策方法が取られている。NEXCO中日本の調査では、管内で発生する交通集中渋滞のうち約55%(平成19年)がサグ及び上り坂が原因で発生している。
====トンネルによる渋滞====
: トンネルは視覚的に狭く感じ、明るさも変化するため、ドライバーはその入り口付近でアクセルを緩めてしまいやすい。その結果、交通容量が低下する<ref>{{Cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140421/wlf14042107000001-n3.htm|title=中国道“名物”「宝塚トンネル常時渋滞」の本当の理由…2年後には劇的解消“秘策”が|work=MSN産経ニュース|newspaper=産経新聞|date=2014-04-21|accessdate=2014-04-26}}</ref>。また、雨水をはくために中央に向けて上り坂となっているトンネルもあり、これも渋滞の原因となっている。回避させるためにトンネル入り口付近の照明度を高くする、トンネル側面に水準線を描き、上り下りの状況判断をし易くする等の工夫が有効である。従来、夜間時は昼間時の5分の1に照明度を落としていたが、[[2009年]][[8月6日]]から対策としてNEXCO西日本は管内76か所のトンネルで、夜間時の照明度を昼間時の照明度と同じにする対策をとった。先行して都市部の一部トンネルで実施しており、一定の効果があったため2009年8月6日より地方部のトンネルでの運用が決まった。
 
== 渋滞対策 ==